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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第3章 ヤンデレうさ耳獣人と魔王

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第21話 うさ耳獣人(うさ耳なし)と出会う0歳児


 やがて慰問も終わりの方に近づく。

 既に太陽が傾いて野営の話が出始めたころ。

 ようやく最後の馬車へとたどり着いた。


「失礼、ご挨拶させていただきたい。こちら聖子イクラウス様です」


 ゴレイヌの口上もだんだんおざなりになってきたが仕方がない。

 既に20回近く同じことを言っているのだから。


「あん? 何だって?」

「聖子? んだそりゃ」


 しかし今回は冒険者側の様子が異なっていた。歓迎されている様子がない。

 こりゃササっと終わらせてしまおうか。


「これは説明が足らず申し訳ない。これから戦地に向かう皆様を励まさせていただこうと、聖イルミナス教会の代表の物から挨拶させていただきたいのです。どうか中に入れてくれませんか?」


 ゴレイヌが丁寧に説明しなおす。

 さすが、子どもの僕と違って忍耐力があるようだ。


「まぁいいけどよ。暇だし」

「お、坊主が代表か? ちっちぇえなぁ!」

「…………フン」


 中にいたのは3人。

 ガラの悪そうな男性2人と、帽子――ハンターハットを深くかぶった人。おそらく男性。

 帽子の人はこちらを睨むと鼻を鳴らし、帽子を深く被りなおす。口元もマフラーのようなものを巻いているためほとんど表情が読めない。

 まあ、歓迎されていないことはわかるが。


「では皆さん。早速ですが――」


 これまでと同様、母様の素晴らしさを説きつつ銅貨を渡す。

 ガラ悪の2人は喜んでくれたが、帽子の人は銅貨を見つめたまま動かないでいる。


「あの――」

「…………」


 渋々声をかけると、帽子の人が何も言わずに馬車の外を指さす。

 早く帰れってことだろうか。そうしようか。

 しかし僕が入ってきた方とは反対側を指さしたのはなんでだ?


「…………仲間がまだいる」

「へ?」


 思ったほど低くない、というより中性的な声にも驚いたが、それだけではない。

 外に仲間がいる?


「おいおい、あんな奴どうでもいいだろうが」

「あれか? 情婦だから死んでほしくねぇってか? 獣くせぇやつをよく抱く気になるぜ」

「…………」


 その仲間をバカにされた帽子の人が鋭い目つきで2人を睨む。

 それすら意に介さず2人は話を進める。


「怒りたいのはこっちだ!」

「2人組の冒険者で一緒に組みたいって言われたから組んだけどよぉ、まさか獣人なんて聞いてなかったっつーの!」

「…………」


 2人に一瞬諦めの目を向けた後、帽子の人はこちらに向き直る。


「…………君はどうする?」


 獣人。

 目の前で行われている獣人への侮蔑。

 この世界に獣人がいることすら知らなかったという僕の状況。

 間違いなく迫害を受けている人々なんだろうなぁ。


「…………ふふ」

「なぜ笑う! 貴様も――」

「知っていますか? 当代聖女フルルーチェ様は歴代で最も慈悲深くてかわいいのです」

「――は?」

「その母様の息子である僕が、獣人だからと言って差別するなどありえません。人はみな、主の元に平等なのですから」

「はぁ?」


 最後の『はぁ?』はゴロツキの方によるものだ。

 それだけ意外だったのだろう。

 獣人差別についてもっと理解しないといけないな。


「く、口では何とでも言える!」

「そうですね。では――ゴレイヌ、お客様を我々の馬車へ案内しろ」

「御意に」


 嬉しそうな顔をしているゴレイヌを見れば、自分が正しい行動をしたのだと確信できる。

 彼もきっとそういうの嫌いそうだし。

 筋肉もまた、万人共通、主の加護によるものなのだから。


「もちろん、お兄さんもどうぞ」

「…………」


 突然見知らぬお坊ちゃまに馬車へと連れ込まれるなんて恐ろしいことだろう。

 知り合いがいれば安心できるというもの。


「…………ボクはお姉さんだ。不思議な少年」

「嘘だろ!?」

「まじかよ!?」


 僕より先にガラ悪の2人が驚きの声を上げた。

 どうやら仲間をも欺いていたらしい。

 つまり、僕がわからなくても仕方がないということだ。


「し、知っていましたよ?」

「声が裏返ってるよ、少年」

「本当ですってば!」

「ふふ。いいよ、騙していたのはボクの方だから。さて――ロロップー! こっちにおいで!」


 ロロップー。

 さてはウサギの獣人だろう。

 というか、外にいたってことはずっと馬車と並走してたってことか?


「な、何かな……私、またなにかやっちゃった……ぴょん?」

「こちらの方がお前に挨拶したいらしい」

「えっ……」


 推定ウサギさん。しかしうさ耳はない。

 帽子のお姉さんと同じように被っているハンターハットで隠しているのだろうか。そうは見ないが……。


「あ、あの……私……私!」

「落ち着け、話がしたいってだけらしいから!」

「あの……ご、ごめんなさい……ぴょん!」


 どうしたことだろう、急にウサギさんが土下座をしてしまった。

 あまりのことに呆気にとられていると、更に事件が起こってしまった。


「――危ない!」

「ぐべっ」


 憐れ、ウサギさんは後続の馬に踏みつぶされてしまったのだった。


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