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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第10章 聖女から生まれました

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第149話 ゲオルディクスと1歳児


 東の空が薄っすらと青く染まる頃。

 僕らは、グランデシャイン王国は聖イルミナス教会正面に辿り着いた。

 門を隔て、横に広がる布陣。


 対して敵軍は、門の内側の広場を埋め尽くすように武装した神官が並んでいた。

 その先頭にはかつての騎士団長ギャバンを始め、見慣れた人たちが揃っている。

 そして、神官たちのちょうど真ん中辺り。派手な神輿の上に鎮座した人物が見えた。


「ゲオルディクス……」


 どうやら教皇自らが出陣するようだ。

 その様子を、地上でヴェルに乗ったまま、グランデシャイン王国軍の先頭で眺める。


「兵の数は同じくらい、いや向こうの方が多いか?」

「敵は総力戦の構え。対するこちらは移動もあってどうしても人数を削らざるを得なかったからね……」


 グラウゼルとグラリオンが厳しい目を向けながら、状況を話す。

 敵の前で悠長な、と思うがまだ待っているのだ。

 夜明けと、友軍を。


 来てくれるだろうか。

 不安だ……。

 後方で待機している母様に会いたくなってきた。

 でも、我慢だ……。


「……時間だ」


 しかし、友軍は現れなかった。

 ついに東の空に白い光が昇った。

 それと同時に、グラウゼルが敵に向かってあらん限りの声を張り上げた。


「聖イルミナス教会軍に告ぐ! 貴様らは主イルミナス様の名を掲げながらも、その使徒であるイクラウス様を神殿から追い、あまつさえ『悪魔の子』などと(のたま)った。我らは(ゆる)さぬ。彼は我が国の恩人であり、光であり、世界の希望そのもの! それを踏みにじった教会よ……今日、我らは主に成り替わりその暴虐に終止符を打つ!」


 ちょっと照れる。

 対して、教会側はギャバンが口上を述べるようだ。


「神を汚す者よ、よくも神の御名(ぎょめい)(かた)り、我らを裁こうとする。そなたらが“希望”と呼ぶ悪魔は、奇跡を装い、他者を操り、民の信心を惑わせた背信の徒。なにより、聖女様の身を汚し(おとし)めた許しがたき悪魔の子である。神の御前(みぜん)にて正しきは我ら。神により裁かれるのは、悪魔を信じた愚かなる貴様らの方だ!」


 一瞬の静寂。

 そして――。


「貴様らこそ悪魔だ! いくぞグランデシャイン王国軍! 正義を示すのだっ!!!」

「“炎よ、最初に現れし火よ。我が熱情とともに、燃え上がれ――”」


 グラウゼルの合図で、魔法部隊が詠唱を開始する。

 まずは教会の門の破壊が目的だ。


「させるか! 総員、我に続け! 『オーラ』!」


 ギャバンが勇者にも劣らないほどの光を放ち、その肉体を強化する。

 彼の後方でも『オーラ』をいう声と共に、眩しい光がいくつも上がる。

 さすが神官兵、光の属性の適合者たち。肉弾戦最強らしい。


「魔法兵を守れ! 盾を構えろ!」


 迫りる神官兵たちに対処するため、こちらは大盾を持った兵士たちが最前線に立つ。

 その時、遂に懐かしい声が戦場に響き渡った。


「今こそ神の名を(かた)る背神者共に天罰を! かかれ!」

「ゲオル、ディクス……」


 遂に、彼の声が。

 僕を心配してくれた、僕を守っていてくれた声が……遂に僕を殺せと叫んだ。

 ゲオルディクス……。


「なっ!? なんだあれは!?」

「どうなっているのです!?」


 しかし、俯く僕が次に聞いた声は……信じられないものを見たような、グラウゼルとグラリオンの声だった。

 つられて顔を上げると、そこには本当に信じられない光景があった。


「背神者を捕まえろ!」

「裏切り者共が!」

「イクラウス様を(たばか)った奴ら……絶対に許すなぁぁぁ!!!」


 神官が、神官と……戦っている?


「――っ!? 貴様ら何をしている!!!」


 後方を振り返ったギャバンも、驚愕(きょうがく)の目でそれを見ていた。


「『何をしている』だと? こちらのセリフだ愚か者め!」

「ゲオルディクス貴様!? 何を!?」

「イクラウス様に……坊ちゃんに慈悲を施されながら! その腕で剣を向けるとは何事か! 恥を知れ恩知らずの畜生めっ!!!」

「な……んだと……?」


 ゲオルディクス……!


「貴様裏切ったか!?」


 ギャバンが何を言かを喚いていたが、聞こえなかった。

 ただただ、足がゲオルディクスに向かって進み続ける。

 不思議なことに、彼の元まで何の障害もなかった。


「裏切ったのは貴様だといっている! 主の教えに! 人として――おっとっと……」

「ゲオルディクス! ゲオルディクス!! ゲオルディクス!!!」

「くっくっくっ……愚か者の相手をしている場合ではありませんでしたな。お久しぶりです、坊ちゃん」


 ゲオルディクスの胸に飛び込む。

 久しぶりの含み笑い、張り付いた笑顔すら懐かしい。


「ゲオルディクス! ごめんねごめんなさい! 僕はひどいことを言ってしまったお金も勝手に使っちゃったごめんなさぁい!!!」

「何を仰る。坊ちゃんのする悪戯など大したことはありませんよ」


 ゲオルディクスが僕の頭を撫で、本当に何でもないかのように言葉を紡ぐ。


「それよりも、私こそ申し訳ございません。この場で御身(おんみ)を守るためとはいえ、坊ちゃんを傷つけてしまった……」

「何を言ってるの! そんなことない、そんなことなかったよ!」

「くっくっくっ……坊ちゃん、忘れないでください。私はどんなときでもあなたの味方ですよ」


誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日は10時10分頃投稿します!

よろしくお願いします!

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