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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第9章 母様普及の旅

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第145話 ジリアス皇女と1歳児


 それから一夜明け、いよいよ帝国を発つ時が来た。

 昨日聖女像と魔導士像を建てた広場て、護衛を引き連れた皇帝、デズモン、そしてジリアス皇女が見送りに来てくれている。


「イクラウスちゃま……本当に行っちゃうのですか……?」

「ジリアス皇女、また会いに来ますよ。あなたもよろしければ来てください」

「…………」


 しかし返事はない。

 まあこの世界での旅は命の危険が伴う。

 皇女ともあれば気軽に来れる訳ではないだろうし。


「……『もえ盛る花よ。ひとひらに秘めし影、胸に抱いたまま、風の彼方へ溶けてゆく』」

「へ?」

「私の大好きな歌です! イクラウスちゃまにお捧げいたしますわ~!」

「あ、ありがとう……」


 意味はよく分からない。

 詩を贈られてもいまいち嬉しくない。子どもだもの。


 戸惑っていると、彼女は寂しそうに笑いながら僕を抱きしめた。


「……また、会いましょう」

「ジリアス皇女……もちろんです!」


 しかしいくら僕が子どもとはいえ、王族の方と触れ合っちゃってるけど大丈夫だろうか。おっぱい当たってるし。皇帝も微妙な顔して見てるし。

 また『悪魔の子』、いや『えっちな子』とか言って襲われたりしないだろうか。


「……なんだジリアス。その小僧――イクラウス様が気に入ったのか?」

「…………」


 そんな心配していたら、当の皇帝本人が口を開いた。


「ならばお前もついて行け。我ながら大事にしすぎて世間知らずに育ててしまった。生意気なガキを相手していれば、それも直るだろう」


 どういう意味だこら、という言葉を必死に飲み込む。

 何で僕らが連れてかなきゃいけないんだという言葉も飲み込む。

 皇女と違って、僕は空気が読めるんだ。


「…………よろしいのですか?」

「ああ。お前は…………いなくてもいい」

「……はい。お父様、ありがとうございました」

「…………うむ。生きよ、健やかに」


 まるで今生の別れのように抱き合う2人。

 大げさな気もするが、箱入り娘にしちゃうくらい大事にし、されてきたのだから仕方がないか。

 大丈夫、ちゃんと彼女も守ってあげるから。


「では、ジリアス皇女は我がグランデシャインが責任もってお預かりいたしましょう。貴国が約束を違えぬよう、人質として」 

「お願い申し上げます。タリア王妃殿下」

「…………確かに、承りました」


 タリアさんと皇帝が固く握手をする。

 まるで強調するように言った『人質』という言葉は物騒だが……まあ戦国時代でもよくあったことだ。


「……そろそろよろしいでしょうか」

「ああ。そなたも達者でな」

「はい。では――ヴェラぁぁぁ!!!」


 ありったけの力を込め、大声で叫ぶ。

 最後はかっこよく退場したい、そのために人々の目につく広い場所を指定したのだ。

 これで『竜騎士イクラウス様かっこいい!』と帝国の民に語り継がれるだろう。


「…………」

「どうした、大声出して」

「…………」

「……?」


 あ、来た。


「…………」

「ド、ドラゴンだ!?」

「待て、あれはイクラウス様の……!」


 30秒くらい音沙汰なかったから心配になったが、来てくれた。

 もし来なかったら、ただただ大声出した悪戯っ子で終わるところだった。

 そして予想通り、兵士の方々も畏怖と尊敬の目を僕に向けているぞ。


「……イクラウス様、お待ちしておりました」

「お待たせ! けがとかはない?」

「はい」


 最初は帝国に思いっきり魔法浴びせられていたからね。

 大丈夫だとは思ったが、念のため。


「行かれますか?」

「うん! あ、彼女はこの国の皇女で――」

「はわぁ~! ドラゴンさんですか! わたくしジリアスと申しますわ!」


 すごい興奮している。さっきまでのしんみりさが欠片も存在しない。

 さすが空気読めない皇女。


「……ということで、彼女も一緒に行くことになったんだ。ヴェラ、乗せてくれるかい?」

「もちろんです。イクラウス様のご友人は私の主同然ですから」

「ありが――」

「本当ですか!? ではヴェラ様! わたくしの命に従い、出発進行ですわぁ~~~!!!」


 あ、はい。




 ◇◇◇◇◇◇


 それから1週間後。


「よし! これで……終わりですね!?」

「はい、イクラウス様。お疲れさまでした」


 帝国領の端、小さな村でようやく最後の聖女像設置を終わらせた。

 最後の記念として、母様や僕だけでなくジリアン皇女、それにロロップたちみんな揃った豪華版だ。

 村長さんも『村の半分が……』と嬉しそうに泣いてらっしゃる。


「これで母様の元へ帰れる!?」

「いえ、その前に私と既成事実を――おや?」


 タリアさんが真顔で冗談とも本気とも取れないことを言う……と思ったのだが。

 なぜか上の方を向いてポケッとしている。

 アステラたちを見ると、彼女たちも同様にポケッとしている。

 上の方にゴミムシでも飛んでいるのだろうか。


「……『成った。約束の時は10の夜明け後』……」


 タリアさんも何訳が分からないことを口走ってるのやら。

 ねぇ、ジリアス王女?


「はわぁ~! 今のが主! 主の声ですのね!? 前の時は寝ちゃってましたけど、今度は聞こえましたわぁ~~~!」


 ……ね。

 僕なんか前も今も起きてたのに。ね。

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日は18時20分頃投稿します!


次章が最終章になります。

よろしくお願いします!

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