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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第9章 母様普及の旅

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第142話 戦い後の1歳児


 治療を施された皇帝。

 彼は今、水浸しの玉座の上に座らせられている。

 床の上では冷たいだろうと言う判断だ。


 壊れた壁の向こう側では護衛と思われる兵士がひしめき合っている。

 どうやらこの部屋に皇帝単独で来たのは、最初から例の水魔法を使うためだったらしい。

 我々もその意思を尊重して兵士の入室を許可していない。

 

「では、貴国はイクラウス様が『悪魔の子』であるという宣言を撤回し、教会との協力を解消すると」

「…………」

「は、はい!」

「賠償と治療費として、イクラウス様に白金貨100、我がグランデシャイン王国にも同様に白金貨1000を支払うと」

「…………」

「は、はい!」


 タリアさんとデズモンでこの戦争の清算について話し合っている。

 話し合っていると言うよりは、ほぼタリアさんの言い分を受け入れさせているだけだ。

 皇帝は無言で座り、それを眺めている。口が糸で塞がれているのは気のせいだろう。


「そして最も重要なことですが、聖女フルルーチェ様とイクラウス様を真の神の使徒として認め、国民に知らせるとともに聖女像の設置に協力させる、と」

「…………」

「はい!」


 宗教戦争は結局勝ったもん勝ちである。仕方がない。

 いやそもそも教会と帝国の方が嘘ついていた訳だし、それを正しただけか。

 主よ、僕はやり遂げました。


「あ、あのぉ~……」

「何でしょうか、ジリアス皇女殿下」

「はい! お父様はなぜ口を縛られているのでしょうか?」

「いい質問です。喋らないようにです」

「なるほどぉ~! それはいい考えですね。お父様は口うるさいですから!」


 どうやらジリアス皇女はかなり残念な性格のようだ。

 普通は父親の口が塞がれて『いい考え』なんて言わない。

 そもそも皇帝がそんな状況になってる時点でおかしいことに気付いてほしい。


「あらあら、どうしたんですかイクラウスちゃま。何だか難しい顔をしてますよぉ~」

「いい加減旦那様を放せこのどくされビッチが」

「え~? イクラウスちゃまが離れないんですもの~」


 暗黒うさぎの威嚇にも動じず、僕を抱っこし続けるジリアス皇女。

 仕方ない、仕方がないんだ……体が彼女を求めている。抱っこされずにはいられない。


「ロロップ、すまないが彼女を悪く言わないでくれ……僕にも理由はわからないが、ジリアス皇女を傷つけてはいけない……」

「ぴょん……旦那様がそう言うなら……」


 ここまで頑張ってくれたロロップに対して本当に申し訳ない気持ちでいっぱい。

 ロロップだけじゃない、アステラにも、タリアさんにも。


「それと、貴国が我が国を攻めた理由でもあるジリアン皇女の暗殺。これについて今日この場で改めて、王国の関与を否定します」

「……はい」

「事実です。主と、イクラウス様、そして聖女フルルーチェ様に誓いましょう」

「……わかりました。帝国もこれを認め、以後はグランデシャインに責任を求めるようなことはしないと誓いましょう」


 これだけは、帝国もかわいそうではある。

 国の中心だった人物の暗殺。国を大きくした皇女の殺害。

 一体どこの誰がやったのか気になるところではある。


 そしていい加減認めよう。

 僕とジリアン皇女には、何か関係がある。

 でなければ顔が似ているジリアス皇女に引っ付く理由がない。


「では詳細につきましては後日改めてということで――」


 なので、話し合いが終わりそうなのを見計らって提案する。


「ちょっといいですか?」

「はい、イクラウス様。白金貨100では足りませんか?」

「いえ、そうではなく……皇帝陛下に提案がありまして」


 未だ沈黙を守り続ける男――の糸を解除し、口を自由にしてあげる。

 ここまでの様子から、既に抵抗の意思はなさそうだし。


「……何だ?」

「ジリアン皇女のことで提案が――」

「わたくしですかぁ!? まっまままままさかぁ~~~……!」


 ジリアス皇女ではない。

 一体何が『まさか』なのだろうか。


「ネクロマティック奥義というのがあるのですが……」

「む?」

「ふえぇぇえええ~~~!?」


 いい加減黙ってくれないかな。




 ◇◇◇◇◇◇


「……ここがジリアン皇女の遺体を埋葬した場所だ」


 皇帝に連れてこられたのは、城の中庭だった。

 日当たりのいい場所に1つだけ、豪華な墓が安置されている。

 それだけでもいかに彼女が帝国にとって重要な存在だったことがわかる。


 普通は偉人だからと言ってお墓を城のど真ん中に置くだろうか。

 夜トイレに行きたくなっても怖くないのだろうか。


「一応言っておくが、死霊術を用いての会話の試みは既に帝国屈指の闇魔法使いで試している。だがその誰もが失敗、呼び出した彼女が全く反応しなかったのだ」


 彼が言う通り、今から試すのは死霊術だ。

 殺害されたときの状況を本人から聞き出そうと言うもの。

 さすがに公然とはできないため、僕と皇帝の他は、僕ら側のタリアさんたち、帝国側はデズモンと少数の護衛だけの参加だ。ついでにジリアス皇女も。


「お前も無駄だと思うがな」

「その闇魔法使いに『悪魔の子』はいました?」

「……好きにしろ」


 言質(げんち)はいただいたので、早速やってみよう。

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


次話は21時20分頃に投稿します!

よろしくお願いします!

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