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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第9章 母様普及の旅

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第141話 揺れる1歳児


 死んでしまう、デズモンのその言葉に仕方がなく皇帝を元の場所に戻す。

 皇帝は口から大量の水を吐き出し、咳き込んているようだ。


「はぁ……」


 城を爆発させる実験も中止することにし、硬質化した糸で壁にだくさんの穴を開ける。

 水圧に耐えられなくなったか、壁が壊れて水が勢いよく流れて行った。


「ぴょん! 怖い旦那様もかっこいいぴょん!」

「イクラウス様……」


 能天気なロロップと異なり、アステラは僕の心のイライラに気が付いているようだ。

 自分でも説明できない、イライラもやもや。


「ご慈悲をありがとうございます! このデズモン、何としても皇帝陛下を説得して見せます!」

「ん……」


 死ねと言われても、殺されそうになっても、尚皇帝を守ろうとする男。

 いい家臣だね。


「ガハガハッ……デズモンンン~~~……っ!」

「陛下! ジリアン様の件とグランデシャインは無関係だと! そう仰っております! もうおやめください!」

「黙れ! 黙れ黙れ黙れ! 死ねデズモン! 『アクアランス』!」


 皇帝が立ち上がり、高密度の魔法の槍を放つ。

 その向かう先は――。


「がはっ……へ、いか……」


 デズモンの胸だった。

 槍に貫かれたデズモンは、血を噴き出しながら倒れる。


「デズモン!?」

「貴様も死ねぇっ! 悪魔の子イクラウスぅぅぅっ!!!」


 血走った目、剣を両手に迫る皇帝。

 僕を庇うように立ったのは、アステラだった。


「イクラウス様、あなたができないときは私が!」

「アステラ……」


 剣を右手に持ち、脱力するアステラ。


「グラリオン流剣術秘奥技――」

「死ねぇぇぇ!」


 皇帝の剣がアステラに触れる瞬間。


「グランドセクスタイル!」

「ごばぁっ!?」


 六芒星が皇帝の胸に刻まれた。


「……峰打ちです」


 6本の、鎧ごと大きくへこんだ傷を見ると、確かに切断はされていない。

 だけど致命傷には変わりないのでは。


「『聖女の癒し』」

「――はっ!? へ、陛下……! いやこの光は……」


 まずは忠誠心の男デズモンを回復させてやる。

 次は……どうするか。


「これ、戦争相手国のトップ暗殺成功ってことでいい?」

「ぴょん! クールぴょん!」

「確かに!」

「戦争の結末としてはよくあることですね」


 タリアさんたちの了解も得られたことだし、このままでもいいか。

 代わりの頭を僕らの言うこと聞くやつに()()えれば万事解決。

 ああ主よ、罪深い僕をお許しください。


「何卒! 何卒ご慈悲をぉぉ!」

「ん~……」


 デズモンが何度も地に頭を打ち付けるが、こちらとしては殺す理由は何個もあれど許す理由はない。

 殺されそうになるし、対話も断られるし。そもそもの元凶だし。

 ここは勇気の決断だ。


「悪いけど――」

「お、お待ちください! 聖子様!」


 何とも場違いな甲高い声、そして懐かしい呼ばれ方。

 その声の主を見ると、破壊された壁から1人の女性がこちらを覗いているのが見えた。


「ど、どうか父を……皇帝陛下をお助け下さい……!」

「悪いけど、たった今殺すことに決めたんだ」

「そんなぁ!」


 15歳くらいだろうか、とても煌びやかなドレスをきた皇女様らしき女の人。

 その人がこちらに近寄ってくる。

 暗めの黄土色の長い髪が地属性を――。


「……母様?」

「え? いえ……」


 母様?

 何で僕は彼女を母様と呼んだ?

 母様――フルルーチェ母様とは似ても似つかない。

 髪の色だけ多少似ているが、こっちは黄土色だ

 ならばどうして?


「わたくし、あなたを産みましたでしょうか……?」

「ジリアス皇女! お下がりください! 護衛は何をしている!」

「い、いえ宰相様! わたくし聖子様にお願いしなければならないのです!」


 皇女――ジリアスと呼ばれた少女とデズモンの声が遠くに聞こえる。

 対照的に、ジリアス皇女の顔だけに意識が向く。


「ぴょん! あの女の人にそっくりぴょん!」


 ロロップが指さしたのは、ジリアン皇女。

 確かにそっくりだ。

 そっくりだ……。


「……ごめんね、ごめんね……」


 頬を伝う涙が何のかわからない。

 『ごめんね』の意味も分からない。

 しかし皇帝を許してやれという思いが溢れてくる。

 

「『聖女の癒し』」

「まあまあ! わたくしのお願い聞いてくださったのね! 聖子様ありがとうですわ!」


 間の抜けた言葉、状況にそぐわない言葉。

 普段なら鼻で笑うところ。

 なのに、僕はジリアス皇女に抱き着いていた。


「ごめんね、ごめんね……」

「あらあら、どうしちゃったんでしょうか……いいんですよ、聖子様」

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日は10時10分頃と21時20分頃に投稿します!

よろしくお願いします!

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