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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第9章 母様普及の旅

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第140話 遊ぶ1歳児


 皇帝、アズなんちゃらの目論見。

 『聖女の守り』で水自体は弾くが、このまま閉じ込められればいずれ空気が無くなり窒息する、ということだろう。

 本当にその状態で死ぬかは検証の余地があるが、とりあえず今回は別の方法を考えることとする。


「……降伏するなら今だ。皇帝陛下も命までは取らん……かもしれん」

「デスモンさん!? あんたまでいたの!?」


 既に周囲は水。

 皇帝の話通りなら、デズモンも死んでしまうのでは。

 皇帝はどうかというと、空気の幕のようなもので覆われており、無事なようだ。


「皇帝陛下は無能なものを容赦なく切り捨てる。むしろお前らを油断させるための囮としたのだろう」

「え? デズモンさんも切り捨てられたってこと?」

「……そうだ」


 だったら降伏しても命は取られそうなのだが。


「それほどにジリアン皇女を想う気持ちが強いのだよ。アズラギィル皇帝……皇女の弟君は」

「ジリアン皇女の弟……」

「そうだ。敵を討つためならば、例え神を敵にしようと構わないほどにな」

「そう……」


 彼らもわかっているんだ。

 いや、例の主の神託で気付いたのだろうか。

 僕が『悪魔の子』だということが事実ではないことに。

 世界一偉大で慈悲深い母様の子だと言うことに。


「……これだけ人数がいれば空気の消費も早いだろう。早めに降伏することを勧める」

「そうかな? まあいいや。『聖女の守り』、広がって」


 『聖女の守り』の領域を押し広げる。

 なかなかの圧力、抵抗を感じるがヴェルのブレスほどではない。


「な、何を……?」

「広げてる」

「そんなことが!?」

「できたね」


 つまり、僕の勝ちである。

 一応話し合いを目的としているので、まだ大きくは広げないでおこう。


「ぴょん? 大丈夫になるぴょん?」

「もちろん。みんなを傷つけることなんて許す訳ないだろ」

「ぴょんぴょん♡ ちゅっちゅっ♡」


 きっと彼の皇帝の前でちゅっちゅっしたのは僕らだけだろう。

 イラっとしている顔が見える。


「キスをしている場合か! 空気の量は変わらないだろう!」

「そうかもね。狙いは別だよ」

「別?」

「密閉された部屋の中、押し広げられる水。どうなるかな」

「……どうなるんだ?」

「爆発するだろうね。お城、崩れるんじゃない?」


 密閉空間内の空間が膨張すると、逃げ場のない水に圧力がかかる。

 その圧力が密閉空間――この部屋が耐えきれなくなれば、崩壊するだろう。爆発するかはわからない。


「そんな! 待ってくれ! ここには様々な――」

「僕に言われても……水溢れさせてるの、あの人だし」

「だが!」


 皇帝の涼しげな顔を見るに、こちらの会話は聞こえていない様子。

 ずっとこちらをニヤニヤしながら眺めているけど、死ぬのを待っているのか? 趣味悪くない?


「陛下! 陛下ぁーーー! ダメだ、聞こえない……!」


 残念、デズモン決死の叫びも聞こえていない。

 こうなれば、僕の遠距離通話魔法を使うしかないか。やれやれ、仕方がない。


「「『悪魔囁く(ディアボリック・)聖杯(テレフォン)』」


 地の魔法で作り出したコップ状の兵器を、糸の先に括り付ける。反対側にも同じものを付ける。

 そしてそれを皇帝に放つ。糸をピンと張る。

 高度の魔法だが、簡単に言うと糸電話。


「あーあ、聞こえますか?」

「む? 何だこれは!」

「我が力を用いた暗黒魔法です。離れた相手と会話ができます」

「なん……だと……!?」


 めちゃくちゃ驚かれた。

 どうやら復讐心に囚われるばかりで遊び心がなかったらしい。悲しいことだ。


「この部屋、もうすぐ爆発します」

「……何をバカな。この魔法を使うために作った特別な部屋だぞ?」


 どうやら謁見の間に見せかけた大掛かりな暗殺部屋だったらしい。


「はぁ。『聖女の守り』はこの中でも領域を広げられるのです。すると行き場のなくなった水がどうなるか……わかりますか?」

「……どうなる?」

「爆発します」


 本当に爆発するかはわからない。

 試してみるのも悪くない。

 子どもはいろんなことを試して成長する生き物だもの。


「……やってみるがいい! 悪魔の戯言など信じるに値せん!」

「陛下!? こいつ多分本気ですよ!?」

「黙れデズモン! 悪魔に唆されおって! 潔く死ね!」

「陛下……!」


 むむむ、これは困った。

 僕としては城の破壊も皇帝殺害も目的ではない。

 ただ聖女像の設置を認めてもらいたくて――と思ったけど、こいつらと教会が手を組まなければその必要もなかったんだ。

 やっちゃうか。


「それじゃあ……ジリアン皇女に――」


 『よろしく』そう言いながら『聖女の守り』を広げようと思ったのだが……。

 胸の奥がジンジンして苦しい。

 やはり無益とは言わないまでも、必要のない殺生はよくないと言うことでしょうか、母様。


「……腹立つ」

「ぬがっ!?」


 間抜けな声を最後に、糸電話は皇帝を水中に引きずり込んだ。


「腹立つ!」

「ぼがぼがぼが!?」


 子どもがおもちゃを振り回すように、皇帝を左右上下に振り回す。

 肺の空気が無くなろうが、知ったこっちゃない。


「ぼがぼがご……――ッ!?」

「お、おい……坊主――イクラウス様! それ以上やると死んでしまう! やめてくれ!」


誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日は21時20分頃に投稿します!

よろしくお願いします!

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