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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第9章 母様普及の旅

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第138話 煽るつもりはなかった1歳児

 オフィ-リアス帝国。


 グランデシャイン王国と並び、この国で最も国力の高い国。

 グランデシャインが同盟国との連携でその国力を高めているのに対し、オフィ-リアス帝国は単独でその位置にいる。

 つまり、正確に言えば最強の国はオフィ-リアス帝国ということに。

 そしてこの強い帝国を生み出したのが――。


「ジリアン皇女……」


 まただ。

 その名前を聞くと胸の奥がざわつく。

 名前しか知らないはずなのに。


「ジリアン皇女は……およそ20年前のお方です。強力な地属性の魔法を操り、同時に魔法使いの育成に力を注ぎ、帝国を比類なき強国に育て上げた傑物(けつぶつ)です。私もお会いしたことはありませんが……」


 聞くところによると、彼女の魔法は巨大隕石を降らせるほどだとか。

 類まれな魔力と想像力を持っていたに違いない。


「そのお方がある日突然行方をくらまし、発見されたときには既に無残な姿だったと」

「それに……王国が関わっているの?」

「いいえ。恐らく、ですが。違うでしょう」


 そんな強力な魔法使い、敵国からしたら暗殺してでも排除したいのは当然だろう。

 そう考えるのは何もグランデシャインだけではないはずだし、暗殺は誰でも可能なはず。

 『魔法使い、魔法を使わせなければ木偶の坊』という言葉がある。気がする。


「しかし、それが可能な国は唯一我が国だ、そうオフィ-リアスは決めつけ、現在に至っております」

「つまり、証拠は?」

「ありませんね。仮に我が国の手のものであれば、死体をわざわざ戻したりしないでしょう」


 それもそうだ。

 いやそれもどこの国でも一緒では?

 まあグランデシャインではないというのは安心した。


「ちなみに、ジリアン皇女発見時はどんな姿だったですか?」


 別にグロい想像をしたい訳じゃない。

 死因に繋がる何かがわかればいいと思っただけだ。

 本当だよ。


「……お腹を中心に、破裂していたと」

「ひぃっ」

「まるで何かが腹を食い破ったように」

「ふぇっ!」


 こわっ。

 聞くんじゃなかった。

 そして死因なんてわかっても仕方がなかった。


「話を戻しますが、オフィ-リアスへの訪問、そして聖女像設置の許可が下りればその影響力は計り知れません」

「国土が広大ですものね。今までみたいに先に村や町から回るのですか?」

「いえ、もしそれが皇帝に知られればよろしくない……『敵国が国力を削ぐための陰謀だ』と。ですから、まずは皇帝の元へ行きましょう」


 それがいいだろう。

 なにせ奴らとは戦争中なんだ。遠回りでも安全に事を進めるのが吉である。

 主もそう言っている。急がば回れと。将を射んとする者はまず将を射よと。


「よし、目標はオフィ-リアス帝国首都だ!」

「承知」


 もしかしたら、彼の帝国もドラゴンであるヴェルに恐れをなして降伏するかもしれないし。

 という考えは、やはり甘かった。




 ◇◇◇◇◇◇


「さて、ドラゴンに乗って我が国を強襲したことの説明をしていただこうか。『悪魔の子』殿」


 捕まった。


 予定通りヴェルに乗って帝国の首都上空までたどり着いたまではよかった。

 しかし帝国は上空にいるヴェルに向かって魔法を放つ。

 『聖女の守り』があるため傷つくことはなかったが、驚いたタリアさんが落下。

 助けるために地上に降りたところを帝国軍に包囲されてしまったのだ。

 押し通ることもできたが、交渉のことを考えるとよろしくない。


「ぐぬぬぬ……」

「……申し訳ありません……」

「タリアさんのせいじゃ……ないよ……!」


 ということで捕まってしまった。

 逆に言えば、敵の中枢に潜り込めたとも言う。そうしよう。

 今は城の応接間らしきところで尋問を受けている。

 たくさんの兵士が剣を構えて威嚇している。こわい。

 ちなみにヴェルには逃げるように言ったので大丈夫だと思う。


「えと、あなたは?」

「私は帝国閣下に仕える宰相、デズモンと申す。それで? 我が国を襲った理由は?」


 戦争中なんだから襲っても不思議ではないだろう、と叫びそうなのを堪える。

 目の前のデズモン――宰相という割には重そうな金属の鎧を着こんだ30代程の男は、何かあればこちらの首をすぐに跳ねるだろう。

 鋭い目がそう言っている。


「失礼、私から――」

「私は『悪魔の子』に尋ねている。余計な口を開くな」

「…………」


 こわっ。

 宰相じゃなくて鬼将軍と名乗って欲しい。

 タリアさんもプルプル震えている。


「では説明させていただきます。まず、貴国に敵意はないと言うことだけは――」

「ドラゴンに乗って王城の上を飛んでいた者が? それを信じろと? 笑わせてくれる」

「はい、冗談は得意なんです! あっはっはっ!」

「…………ほう」


 やばっ、ついイラっとして変なこと言っちゃった。

 けど仕方がない、子どもだもの。


「で、ご理解していただけたようなので話を進めますね。実は私は――」

「おい、ふざけるな。誰が――」

「主や聖女様の正しき慈悲を各国に届けるため、こうして旅を――」

「勝手に話を進めるな!!!」

「している訳です。ドラゴンに乗って貴国に来たのもそのためです」


 ふう、どうにか邪魔されずに説明できたぞ。

 まったく、人の話をちゃんと聞かないと後悔するのは自分だぞ!


誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日も18時20分頃投稿します!

よろしくお願いします!

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