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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第9章 母様普及の旅

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第137話 ドラゴンに乗る1歳児

 そして翌日。


「ドラゴン――ヴェラ様。どうかお気をつけて。我らはあなた様の居場所をお守りしております」

「助かります。目的を成し遂げたら必ず戻ってきましょう」


 ドラゴンを守り続けていた魔族。

 どうやらその年月は20年も経つのだとか。

 そんなに長い間怒れるドラゴンを鎮め続けていた彼らの献身、その思いは僕らの想像が及ばない領域なのだろう。


「イクラウス様……そして聖女様と主神イルミナス様のご慈悲に感謝を申し上げます」

「いえ、僕もあなた達の長年の思いが叶ったこと、とても喜ばしく思います」

「イクラウス様……どうかあなたも、いつでも来てくださいね」

「はい!」


 名残を惜しみながらも、ヴェルの背中に乗る。

 彼女の背中はとても広く、4人が乗っても余裕がある。

 はて、何か忘れている気もするが……気のせいだろう。


「よし! しゅっぱーつ!」

「はい!」


 大きな翼を羽ばたかせ、大空へ。

 すぐに魔族たちは小さくなっていく。


「すすすっ! すごい~……」

「本当にドラゴンに乗ってます! 本の中でしか見たことなかったのに!」


 タリアさんとアステラも興奮しているようだ。

 しかしわかる。

 ドラゴンに乗ると言うのは誰もが憧れることである。


「ぴょん! 旦那様の1番の乗り物の座は譲らないぴょん!」

「ロロップ……」


 君を乗り物扱いした覚えはないんだけど。

 その扱いで嬉しいのか?


「ええ、スピードでは私は勝てないでしょう」

「ぴょん?」

「ロロップ様こそ至高の乗り物ですよ」

「話の分かるやつぴょん……いいぴょん、お前のこと認めてやるぴょん!」

「それは光栄です」


 すごい……!

 ドラゴンに食ってかかるロロップもすごいが、ひどい暴言をさらりとかわすヴェルもすごい。

 これがドラゴニック理性……!


「方向はどちらですか?」

「あ、ああああ……あっちですぅ~……」

「タリア様。恐れなど不要です。魔力で背中を覆っていますから、落ちることはありませんよ」

「そ、そそそそそうなんですかぁ~……?」


 何それ、便利。

 間違いなく乗り物としてはロロップより――。

 いや余計なことは考えないでおこう。乗り物じゃないし。


「もしや私が恐ろしいでしょうか? でしたらご安心を。指揮官であるあなた様の方が立場は上だと改めてお伝えしておきます」

「そ、そうですか……ひっひっふー……よし、頑張ります!」

「はい、よろしくお願いいたしますね」


 なんてできたドラゴンだろう。

 今まで出会った誰よりも冷静で沈着で理性的だ。

 それに比べて人間など、いかに矮小で愚かな存在だろうか。母様以外。


「よーし! 行くぴょん! 目標は西! 小さな村でも見つけ次第下りるぴょん!」

「かしこまりました」


 指揮官が交代した件。




 ◇◇◇◇◇◇


 ヴェラが仲間になってからと言うもの、旅は非常に順調に進んだ。

 移動速度もさることながら、ドラゴンという強大な存在を伴う僕らに対しての人々の目だ。

 村や町だけでなく、いくつかの小国でもすんなりと聖女像を設置することができたのだ。

 力で従わせている訳ではない、とも言いきれないのが。

 

「これで……訪問を予定していた国は、1つを残して終了です」


 そしてヴェラと旅立ってから僅か2週間。

 目標にしていた場所全てを回ることができた。

 それだけでなく、ルートからそれるため当初は予定になかった国にも寄ることができた。

 ヴェラ様様である。母様よ、主よ。どうかこの龍にご慈悲を。


「残す国は1つ……オフィ-リアス帝国です」

「……なるほど」


 グランデシャインを襲った国、オフィ-リアス。

 教会と手を組み、『悪魔の子』を討つべく挙兵した敵国。

 最終目的地は、まさかの敵国だった。


「タリア様、時間が余っているなら他の国にしたらどうですか? さすがにオフィ-リアスは……」


 アステラの疑問ももっともである。

 聖女像設置を予定していた国は、教会を中心に東側がほとんど。

 ヴェラのおかげで西側にも向かうチャンスができた訳だし。


「仰る通りです。が、オフィ-リアスを説得できれば、教会の勢力を大きく削ることができる」

「そうだけど! さすがに私たちだけで説得は――」

「十分可能です」


 可能か?

 無理だろう。

 『悪魔の子』が直接出向いて『怖いからやめて!』って言っても聞いてくれそうにない。


「そもそも、オフィ-リアスが挙兵した理由、それはグランデシャインを討ち滅ぼすこと。『悪魔の子』については都合がよかっただけでしょう」

「それは……そうかも?」

「はい」


 そうなのだろうか。

 確かに、前の世界でも宗教上の『聖戦』を謳っておきながら、その実金儲けのため、という戦争は少なからずあった。

 今回は『聖戦』を盾にグランデシャイン滅亡を目論んでいたにすぎないのだろうか。


「何で帝国はそんなにグランデシャインを……?」

「それは……」


 言いにくそうに顔を伏せるタリアさん。

 少しの間の後、意を決したように口を開いた。


「かつての大魔導士、ジリアン皇女暗殺の疑いを持たれているからです」

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日も18時20分頃投稿します!

よろしくお願いします!

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