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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第9章 母様普及の旅

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第125話 騙される1歳児


 そして数日後。


「恐らくこの辺りから『空白地帯(獣人の領域)』になると思われます!」


 アステラが言ったように、クードリックの影響圏から離れてしばらく。

 深い森が生い茂る場所に辿り着いた。


「……まさか街道までここで終わってるとは」


 人間の領域はこれで終わり、とでもいうように舗装された道もここで終わっている。

 舗装されていると言っても、なだらかに踏み固められて草木が生えていない程度の物だが。

 この先は生えっぱなしの草が広がる野原だ。

 左手には深い森。


「仕方ありません。速度を落とし、このまま平原を進みながら獣人に出会うのを待ちますか」

「――チチチ……その必要はない、人間」


 突如かけられた声、その方角を見ると誰もいない。

 いや、木の上に誰かがいる。

 女性の人間の体、しかしその手からは翼が生えていた。違う、手が翼になっている。

 白鳥のように白く、そして大きな翼だ。


「か、かっこいい……!」

「は?」

「あ、失礼しました。ぜひあなたのお名前をお聞かせください」


 決してナンパ目的ではない。

 健全なコミュニケーションを取るためにも名前が必要だからだ。


「……なぜ人間が私の名前を聞く!」

「それはもちろん、あなたのことが知りたいからです。勇ましく美しい翼を持ったあなたと」

「……何を言っているんだ?」


 どうやらこちらを警戒しているようだ。

 肩くらいまでの短い、きれいな桃色の髪を逆立てるようにこちらを睨みつけている。


「――はっ!? そこの兎人は!?」

「……ぴょん」


 ロロップのことに気が付いたらしい。

 僕らには獣人の仲間がいる、ということで彼女の警戒心も薄れてくれればいいのだが。


「お前ら! やはり奴隷狩りの人間だな!?」

「何でそうなるんですか! この子は僕の大切な友達です!」

「ふざけるな! そんな昏い目をした獣人が友達だと!? 奴隷にしてひどいことしてるんだろ!」

「…………」


 あの、違うんです。

 この子の昏い目は、違うんです。

 確かに僕のせいですが、僕のせいじゃないんです。


「しかも! 首輪までしているじゃないか!」

「ぴょん! この首輪は旦那様が『お前は俺の物だ』と言ってくれた首輪だぴょん!」

「やはり! おのれ人間め・・っ!!!」


 どうしてこうなるんだ。

 主よ、教えてください……。




 ◇◇◇◇◇◇


「チチチ! 何だぁ~、それならそうと早く言ってくれればいいのに!」

「ぴょん! 旦那様はいい人ぴょん!」


 必死の説明の結果、ようやく誤解が解けた。

 ついでにここに来た目的を話すと、鳥のお姉さんが集落に案内してくれるとのこと。

 木々の合間を縫うように、馬車でも通れる隙間をなんとか探しながら進んでいるため、かなり遅い。

 逆にセキさんは木の間をすいすいと飛び回っている。


「私は鳥獣人のセキって言うの! イクラウスさんだっけ? チチチ! この羽、気に入った?」

「ええ。とても美しいあなたにお似合いの美しい羽です」

「……そんな! えへへ……困っちゃうよぉ~」


 語彙力のへったくれもない誉め言葉だったが、羽が褒められたのが嬉しいらしく、身をくねらせながら照れている。


「私、今年で15になるの!」

「そうなんですか」

「そ!」


 15歳か。

 人間の15歳よりも大人びて見えるのは、やはり成長が早いと言われている獣人だからだろう。

 ……15歳?


「番候補もいないから、いいよ♪」

「…………」

「羽を褒めるのって、求愛行動だもんね!」

「…………」

「私もイクラウスさんのこと、かわいいから気に入っちゃった!」

「……へへ」


 『へへ』じゃないんだよなぁ。

 しかしそれ以外の言葉が見つからない。

 どうしたもんか。


「旦那様に色目使うな殺すぞ」

「こわっ! 別にいいじゃん減るもんじゃないし!」

「減るの! 旦那様は減っちゃうの!」

「え? 最近の人間って減るの?」


 減らない。

 僕は減るが。

 しかしそういう問題ではない。


「チチチ、着いたよ! あれが私のいる集落!」


 何か妙案は浮かばないか考えていたところ、セキさんの暮らす集落に辿り着いたようだ。

 集落には様々な見た目の人間がいる。

 種族も様々なようで、虎の顔以外は人間の体をした人や、馬の4本足を持った獣率が高い人、それにまるでゴブリンみたいな肌と顔をした者もいる。

 彼のようなものが魔族と言われるのだろうか。


「おおセキ! 人間を(さら)ってきたのか? 確かにいい女だな、いい孕み袋になってくれそうだぜ」

「そんなとこです! でもこの男の子は私のにします!」

「あん?」


 虎の顔をした男と――2メートル以上はあるだろうか、筋肉もすごい。

 その虎人が下品な顔でタリアさんやアステラを見る。

 非常に不快だ。

 というか、セキさんの言葉も何だか怪しいぞ……?


「おめぇ……いつから俺に指図できるようになったんだ?」

「そんな……おこぼれに預かるくらい……」

「文句があるなら俺に勝ってから言え! ここじゃ強い者が全てを決める、そうだろうがぁ!」

「そんなぁ~……」


 嘆きたいのは、どうやらこちらのようだ。

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


次話は20時20分頃に投稿します!

よろしくお願いします!

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