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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第9章 母様普及の旅

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第123話 悶える1歳児


 聖女像の設置を終え、食事をごちそうになった後。

 諸々の話も終え、再び出発の時を迎える。


「イクラウちゅよ、本来ならば我もちゅいていきたいが……この姿では足手まといとなってちまう」

「セレチュ様、ご厚意ありがとうございます。お気持ちだけで十分でございます」

「うむ……時がくれば必ずお前の元に馳せ参じるぞ!」

「ありがとうございます」


 なんて頼りになることを言ってくれているが、見た目は幼女。

 胸を張って偉そうに喋ってるのが微笑ましい。

 つい手が頭に伸びて――しまった、頭を撫でてしまった。


「むぅ。我は本来は子どもではないのだが……特別に許そう!」

「じゃあ私も――」

「タリアは許さん! 本当にお前は不敬だ!」


 これ以上ここにいたらタリアさんが不名誉な最期を遂げかねない。

 早く行こう。


「それではセレチュ様、我々はこれで失礼します」

「セレチュ――セレスティア女王陛下、我々グランデシャインと貴国は既に友好国。何かありましたらお頼り下さい」

「……うむ」


 僕たちの馬車が来た道を戻る。

 ちっちゃくなっていくセレチュ様に手を振りながら、無事に目的を果たせたことに胸を撫でおろす。

 その横でアステラが何か考え事をするような顔で呟いた。


「ん~……」

「アステラ? どうしたの?」

「何ていうか……何かが引っかかる――」

「アステラ様!」


 突然タリアさんが大声でアステラの名前を呼ぶ。


「――お、恐らく、我々……というか、アステラ様やロロップ様のことをイクラウス様の従者だと思い込んだままになっていることかと」

「あ、ああ! そうね! そうだったわ! 今度会ったら訂正しなきゃ!」

「はい、今度会うときに必ず!」


 何だ、そんなことか。

 大声を出すからびっくりした。


「本当にね。結婚するとかの話も、ちっちゃい子が言う冗談かと思っちゃってたし」

「……はい! もしも最初から本気だとわかっていれば断固阻止したものを!」

「ふふ、お願いね」

「……イクラウス様、女性のことが大好きなのはわかりますが! ご自分でもお気を付けください!」

「……はい」


 怒られてしまった。

 確かに婚約者であるアステラやロロップの前で失礼だった。

 気を付けよう。


「アステラ、旦那様を怒らないで!」

「ロロップさん!? あなたは嫌じゃないの!?」

「相手を殺ればいいぴょん」

「確かに」


 確かに、じゃないんだよなぁ。

 本気で気を付けよう。

 そして話を変えよう。怖い。


「タリアさん次は――」

「つぎはわたし? えっち。べつにいいけど」

「……次は、どこに向かうのでしょうか」


 殺されますよ。

 早くオンモードになってください。


「アステラさまぁー」

「はい、カバンの中に地図が入っているのですね! 少々お待ちを――あ、ありました!」

「きたぁー」

「はい、今いるロッキンバーグはグランデシャインの東側に位置します。次はここから北に向かって進んでいく予定ですね」

「やまぁー」

「そうですね。タリア様の仰る通り、ロッキンバーグ付近から始まる大きな山脈はとても人が通れないような高さとなっているため、ここより東はほとんど未開の地となっているのです」


 どういうことだろう。

 知らなかったことを知れるのは嬉しい。

 嬉しいのだが、タリアさんの言葉には僕には聞き取れない何かがあるのだろうか。


「北ね……地図で言うと、このクードリックってところかな?」

「そうですね。途中村や町に立ち寄りますが、国というとクードリックになります」

「なるほど」


 聞いたことがない。

 アステラは物知りだ。何でも寝たきりの時は本を読んだり勉強していたらしいし、当然か。


「……ぴょん」

「そうなんですよ……」

「どうしたのロロップ」


 ロロップの耳が垂れ、元気なさそうな顔になる。


「もしかして、クードリックって……」

「ぴょん。ママとパパを……ぴょん」


 かつてロロップが言っていた『ママとパパは仲が良かった』という言葉。

 加えて、めったに家族の話題にならないこと。

 これらのことから、もしかしたら亡くなっているんじゃないかと今まで避けていたのだが。

 どうやら、そういうことらしい。


「クードリックは獣人差別が激しい国です。国内は当然のこと、周辺地域……時には離れた国にまで行って奴隷にするために獣人の集落を襲うと聞いたことがあります」

「よし、そこは行かない! 主の慈悲は平等でない! 今決めた!」

「……ですね!」

「……りょー」


 アステラもタリアさんもこう言ってるし、いいだろう。


「ぴょん。でも~……」

「ロロップ、僕はお前を大切に思っている。だからロロップが嫌がることはしないよ」

「ぴょん……嬉しいけど……」

「何ならその国を今すぐ滅ぼしたっていい。主も許して下さるに違いない。よし、そうしよう!」

「ぴょん! 落ち着くぴょん!」

「あ、はい」


 まさかロロップに諭されてしまうとは。

 すぐ感情的になってしまうのは子どもだから仕方がない。


「旦那様が『大切』って言ってくれたから、それでいいぴょん♡」

「何言ってるんだ。僕はロロップのことをとても頼りにしているし本当に大切に思っているよ」

「ぴょん♡ 嬉しい♡ しゅきしゅき♡♡♡」


 僕もしゅきしゅきである。

 何なら聖女像にロロップも加えていいと思ってるくらい。

 そうだ、せめてうさ耳だけでも足したらどうだろうか。

 つまり母様にうさ耳。


「…………」

「やっぱえっちじゃん」


誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


次話は21時20分頃に投稿します!

よろしくお願いします!

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