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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第9章 母様普及の旅

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第120話 幼女(仮)と1歳児


 アステラの暴露に、戸惑う兵士たち。

 その様子から教会の通達のことは知っている様子。

 アステラよ、どうして言っちゃったんだい。


「ご助力感謝ちよう! さすが噂に名高い『悪魔の子』である! 」


 だがその気まずい空気を破るように馬車の中から聞こえた声は、僕らに感謝するものだった。

 感謝してるんだよね、これ。

 ともあれ、その声は気品あふれるかわいい女性の声。

 やはり襲われる馬車とお姫様はセットでなくては。


 しかし中から現れたのは――。


「まこと危ないところであった! 危機を救われた身なれば、御身(おんみ)を我が伴侶とちてやる!」

「…………」

「…………」


 何だかよくわからないけど偉そうなことを言いながら出てきたのは、幼女だった。

 幼女という言葉すら生ぬるい。

 2歳くらいだろうか。

 この子の親御さんはどこだろう。早く黙らせた方がいい。


「まあ! かわいいお姫様ですね~」

「いかにも! 我こそロッキンバーグを束ねる女王! セレチュティアン・ロッキンバーグである! 気軽にセレチュと呼ぶがいい!」

「はい、セレチュさん」

「違う、セレチュだ!」

「セレチュさん?」

「違う! セレチュだ!」


 これには思わずアステラも目をパチクレさせてしまう。

 どう聞いてもセレチュ。

 顔を真っ赤にしほっぺを膨らませながら何度も何度も自分を『セレチュ』と呼ぶセレチュ。

 ちょっとかわいい。


 自身を女王と言っているように、その服装は恐らく質のいい物に感じる。

 しかし王族の子どもが着るようなドレスではなく、運動しやすいような灰色のインナーの上は革の鎧だ。

 髪の毛は赤と青が見事に半分に分かれたストレート、気の強さを表すように目もきりっとしている。

 将来はかわいいではなく美人さんになるだろう。今はプンプン怒ってるのがかわいい。


「えと、セレチュさん?」

「セレチュだ! だが! お前がそう呼びたいのなら構わん!」


 あ、僕ならいいんだ。

 ちっちゃい子は気分屋だと言うし、難しいな。


「セレチュ様、よければご家族のところに案内してくれますか?」

「我としても家族を紹介したいが……あいにく家族はおらん! みな死んだ!」


 おっと、これは不用心だった。

 もしかしたら幼いながらも王族としての務めを果たそうと必死なのかもしれない。

 何だか応援したくなっちゃうな。


「それは失礼しました。ではお家に案内してくれますか?」

「もちろんだ! 我が誇りにかけて持て成そう! お前と我の婚約パーティも開かねばならんちな!」

「ふふ、そうですね。セレチュ様」


 ちっちゃくておませな女王様に、タリアさんもアステラも何だかニマニマしている。

 僕もきっとそうだろう。

 ロロップだけはいつも通りの昏い目だが、さすがに幼女にキレることはないようだ。


「お前、名はなんという?」

「僕はイクラウスです」

「そうか! ならばイクラウちゅと呼ばせてもらう! 我が夫よ!」

「はい、かわいいお姫様」

「……ふん! 色恋など糞のようだと思っていたが、存外悪くない! 幸せにしてやるから覚悟ちろ!」

「ふふふ、期待してますね」


 人は学習するものだと言うが、どうやら僕の学習力は高くないらしい。

 つまり、僕の考えはいつも通り甘いようだった。

 それをセレチュ様の――いや、セレスティアン・ロッキンバーグ様の城で思い知るのだった。




 ◇◇◇◇◇◇


 平原を抜け、山岳地帯に入る。

 険しい山々が奥に見える、その入り口辺りにセレチュ様の城があった。


「ここが我が王都だ! イクラウちゅとその従者たちよ! 自分の国と思って寛がれよ!」


 一般的な市街地、よりは少しだけ寂しい街並み。

 山岳地帯で資源に乏しいのだろうか、人も物も少ない印象だ。

 ところどころで煙が上がっているのが気になる。


「我が国は鉱山が多く、製鉄技術に自信がある。兵も女男問わず屈強な者が多いのだ!」

「そうなんですね。セレチュ様はかわいらしい見た目ですが」

「……ふん、イクラウちゅはこの姿の方がいいのか?」

「え? そうですね……屈強なお方も魅力的ではありますが、かわいらしい方が好みではあります」


 ゴレイヌのような筋肉女子よりも母様のようなゆるふわ女子の方が好きである。

 個人の好みだ、仕方がない。


「……そうか! 我もそう思っていたところだ!」

「そうですか? ですが逞しいセレチュ様も見てみたいですね」

「そうか! ならばみせてやろう!」


 いつの間にかセレチュ様を抱っこしてしまっているが、大丈夫だろうか。

 彼女の護衛を務めていた兵士もほとんどいなくなっている。

 1人だけ屈強そうな女性兵士が傍に控えてはいるが……。


 そうこうしているうちに、城の目の前まで着いた。

 どうやら事前に知らせが行っていたようで、宰相らしき人が門の前で待っている。


「おお、セレスティアン女王陛下! よくぞご無事で!」

「うむ! 夫を見つけてきた!」

「左様で! これで父君である亡き前王も喜ばれるでしょう!」

「うむ! 我が伴侶探しの旅も晴れて終わりだ!」


 どうやら女王様自らいい男を見繕(みつくろ)う旅に出ていたようだ。

 ……あれ? ってことは、まさか本気なのか?


「タ、タリア……?」

「……確かに、ロッキンバーグの姫の名はセレスティア様……ですがあの子はセレチュちゃまでちゅよ?」


 オンモード戻ってこい。

 さすがにアステラも様子がおかしいことに気が付いたようで、外交官であるタリアさんに(すが)るような目で尋ねている。

 だが……タリアさん、やはり根はポンコツなのでは?

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日も18時20分頃投稿します!

よろしくお願いします!

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