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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第9章 母様普及の旅

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第118話 他力本願な1歳児


 国――王都だけでなく、近隣の村や町にも赴いて聖女像を設置する。

 その会話から幾分もたたないうちに、馬車は止まった。


「着きました。ここはグランデシャイン王都に繋がる宿場です」


 オンモードのタリアさんの説明に見てみると、大きな宿屋らしき建物、それに売店もいくつかある小さな集落だった。

 ここの住人自体は少ないが、各地を回る旅人が多いこの場所に設置するのはいい考えだろう。


「ここの責任者の方は宿の経営者の方だったはず。早速話をしに行きましょう」

「はい!」


 ということで宿屋へと向かう。

 飲食スペースでは何人もの旅人が情報交換をしていた。

 ここに聖女像を置けば『なんだあのかわいらしい女性の像は!?』『聖女フルルーチェ様だ! かわいすぎる!』『よし、信仰しよう!』という会話がなされることだろう。


「お忙しいところ恐縮です。私は王都から来ました――」


 などと考えていると、既に宿屋の主人と思わしき人とのやり取りが始まっていた。

 簡単な自己紹介のあと、像の説明が始まる。


「――なるほど、その像を設置すれば魔物や賊から守られると! それはすばらしい!」

「はい。厳密に言えば『悪意に反応し、弾く』ですが」

「む……悪意、ですか……」


 最初は好反応だったが、『悪意』という言葉に主人が渋い顔をする。


「……宿場には様々な事情を抱えている人間が往来します。中には悪い考えを持つ者もいるでしょうが……そう言った方々もご利用できないとなると……」


 ああ、それはそうか。

 人間は誰しも悪い考えを持つことがある。僕でさえ殺意を持つことはしょっちゅうだ。時にそれが生きる原動力にもなるのも事実。

 それが行動に移されない限り、罪ではないのだ。


「わかりますよ。主も、欲があるから善くなれると仰っています」

「そ、そうですか!」

「はい。ですので『外部からの明確な害意』にだけ反応するようにしておきましょう」

「おお、そうしてくれるとありがたいです!」


 ということで、魔力の籠っていない聖女像を取り出す。

 何度も作り直し、ようやく納得のできた像。まだ僕が人の形を保てている像。


 しかし明確な害意って何だろうか。行動1歩手前とかだろうか。

 そしてそれをどうやって設定すればいいのやら。


「…………」

「……あの?」


 いいや、聖魔法の奇跡を信じよう。


「母様、お願いします……そりゃ!」

「おお! 像が淡く光りだして……私にもご加護が感じられます!」


 どうやら成功したようだ。

 母様よ、主よ。感謝申し上げます。


「かわいらしい女性がお子様をお抱きになっている……これはどなた様がモデルで?」

「聖女フルルーチェ様と、こちらにいらっしゃるイクラウス様です。イルミナス教会からの迫害に負けず、こうして民に安寧(あんねい)を授ける旅を行っております」


 タリアさんがキリっとした口調で説明してくれる。

 自分で言うより説得力がある。


「それはそれは! まこと慈悲に満ち溢れたお方々! どうか我が宿場にて一時の安息を提供させていただけますでしょうか?」

「ありがたいお言葉ですが、まだ先は長いので。これにて失礼させていただきます」

「そうですか……ではまた機会がありましたらぜひ!」

「はい。その時は聖女様ご本人もいらっしゃるかもしれません」

「おお、それはありがたいですな!」


 ご厚意で泊めてくれようとしたらしいが、丁重にお断りするタリアさん。

 もしかしたら『聖女に縁する方々が泊まった宿!』と言ったように宣伝するのかも。

 そういう“欲”があるから、人々は発展していくのだろう。


「では、これにて失礼します」

「旅のご無事を!」


 こうして最初の聖女像設置は成功することができた。

 この調子で進めればいいのだが。




 ◇◇◇◇◇◇


 その後も3つほどの村や町を回り、気が付けば日も暮れていた。

 かなりの速度で移動していたため、ここまで引いてくれた馬も疲れている様子。

 ということで、街道沿いで野宿である。


「『聖なる癒し』……シロ、クロ、ありがとね」

「ヒヒーン!」

「わ、やめろ~!」


 2頭の馬、毛並みが白いのと黒いのの背中を撫でながら回復魔法をかける。

 お返しとばかりに顔を舐め回される。ちょっと臭い。


「はぁ~……イクラウス様かわわ~……」

「わかりみ」


 テントの中で横になっているアステラとタリアさん。

 2人とも馬車での移動がこたえたようで、すぐに休憩を始めたらしい。

 タリアさんはずっと御者(ぎょしゃ)もやってくれてたから、猶更(なおさら)疲労がたまっているだろう。

 後で腰を揉んであげよう。得意だから。


「……えっち」

「……やましい気持ちは持ってませんが? 純粋に感謝の腰揉みですが?」


 心の声が漏れたことはおいておくとして、相変わらずのオフモードである。


「ちなみに、人妻モードと夫と別れて寂しいお姉さんモード、どっちがいい?」

「…………」


 主よ、僕にその領域はまだ早いと思うのです。

 ですが主よ。僕はお姉さんモードがいいのです。


「りょ」

「やっぱり年上好きさんなんですね~」

「…………」


 その後、獲物を捕ってきてくれたロロップに浮気するなと泣かれた。

 どうやら馬に舐められたことが嫌だったらしい。

 

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日も18時20分頃投稿します!

よろしくお願いします!

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