とある王妃の復讐
グランデシャイン王国第2王妃。
私の名はアルネイア。数十年間にグランデシャイン王に嫁いだ。
政略結婚だ。
王には既に1人の妻がいた。
同じく政略結婚のはずだったのに、まるで旧知の恋人のような関係。
私とは違う。
やがて、私は王の子を身ごもった。
息子のグラリオン、そして娘のルナリア。
どちらもとてもかわいい子。
グラリオンはとても優しい、頑張り屋さん。
ルナリアは頭のいい聡明な子。
2人とも、きっとこの国をよくしてくれる。
この国になくてはならない存在になってくれるはず。
だけど、王はそう思っていなかった。
かわいがるのは第1王妃が産んだ子どもばかり。
特に第2王女、アステラが生まれてからはあの子に構ってばかり。
グラリオンを見て。あなたのために剣を必死に振る姿を。
ルナリアはずっと主席を保ったまま学校を卒業したのよ。
『そうか』
グラリオンが騎士団長に推薦されることになったことを聞いたときも。
『そうか』
ルナリアが他国に嫁ぐと言い出した時も。
王が発したのは、素っ気ない言葉だけだった。
もういい。
もう期待しない。
あなたが私たちを見ようとしないなら。
世界が私たちを見ないなら。
いやでも見せつけてやる。
辺境にある自分の故郷、領主を務める父に頼みオフィ-リアスと内通する。
そして第3王子の研究を、オフィ-リアスに流す。
彼の魔法大国はグランデシャインを目の敵にしている。
必ずいつの日か攻めてくる。
その時には王の首を差し出し、私かグラリオンが王としてこの地を収める。
何年かかっても、何十年かかっても、必ず。
そして、いよいよその時が来た。
聖イルミナス教会で近々大きな混乱が起きる。
それに乗じて軍をグランデシャインに送り、一気に城を攻め落とす。
そのような情報が、オフィ-リアスからもたらされた。
主は、私たちを見守っていてくれたのだ。
主よ、私たちに栄光を。私たちに名声を。私たちに――。
『そうか』
王の寝室。腹にナイフを突き刺したとき。
それでも王は、その言葉を発した。
最後に『すまなかった』と言い、王は目を閉じた。
これでいい、これでいいのだ。
何年も苦痛に耐え、何年もかけた計画が遂に身を結ぶ。
オフィ-リアスは、約束通りにやってきた。
この戦いさえ終われば、世界は見るだろう。
グランデシャイン王国、その王であるグラリオンを。
オフィ-リアスの軍が蹂躙を開始した。
第3王子が紐解いた遺物の仕組み、それを利用した魔道具で。
城壁は崩れ、兵は死に、民は逃げ惑う。
草木は燃え、建物は砕け散り、悲鳴がそこかしこに木霊する。
これでいい、これで……。
これで、よかったのだろうか。
私が求めたものは本当に……。
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