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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第8章 王国と戦争

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第103話 手を差し伸べる1歳児


 オフィ-リアス帝国。

 およそ20年前、皇女にして大魔導士と言われたジリアン・オフィ-リアスを筆頭に武力で領土を拡大。

 彼女は魔法使いの育成にも力をいれ、その練度は世界一と評される。

 彼女の死後は各国の反撃にあい規模は縮小したものの、未だに国力と国土はともに大陸一。


 そして4日前、教会と手を組み『悪魔の子』を保護する背神国家としてグランデシャイン王国に宣戦布告、今に至る。


「――ということだ、『悪魔の子』」


 アステラとの再会を祝う間もなく、王の執務室へと連れてこられて説明を受ける。

 その部屋の椅子に座っているのはグラウゼルだったが。


「お兄様、アステラは国を出ます」

「ちょっ!?」

「イクラウス様をそう呼ぶなど、戯れでも許しません」

「す、すまなかったアステラ、いやイクラウス」


 相変わらずアステラに弱い兄貴である。


「いえ、むしろ迷惑をかけたようで……」

「……恐らく今回のことにお前は関係ないだろう。オフィ-リアスは元から我が国を目の敵にしていたからな」

「というと?」

「ああ。彼の国では偉大な指導者、そして今も伝説と評されるジリアン皇女の殺害に我々が関与していると思い込んでいるからな」


 ジリアン皇女……?

 なぜだろう、その名前を聞くと胸の奥が痛む。

 全く聞いたことがないはずなのに。


「だから、派兵に違和感が持たれないタイミングを利用して我が国に強襲をかけたのだろう。いや、教会と共に作り出したが正しいか?」


 オフィ-リアス帝国からここまではそこそこ距離がある。

 だから教会に派兵する、と見せかけて本命はここ。

 極力警戒されないように、ということなのかな。

 ここと教会はほぼ隣接してると言っていい距離だし。


「……この流れは勇者が提案したって聞いたけど」

「あの勇者が? 利用されてるだけだろ。一度会ったことがあるが、自尊心の塊だったし。大方、旗印にちょうどいいとな」


 それはわかる。

 他者を見下した目とか。話し方とか。

 そういえば、僕を捕える時も自分では来なかったな。臆病者め。


「とはいえ、勇者たちの実力は本物だ。奴が来た途端それまでどうにか耐えていた守りが決壊。城壁の一部が壊されて市街戦となってしまった。なんとか押し返せたものの、次はかなり厳しい」


 これは意外だった。

 既に聖剣もない以上ただの剣士クラスかと思ったらそうではないらしい。


「加えてやつら、魔道具のような物を持っている。おかげで一般兵すらそこそこの魔法使いになれる。いや、速度を考えたら最上位クラスとも言えるな」

「そうだね……」


 自称人類最高峰のアレイザですら、簡易とはいえ詠唱を必要としている。

 一方で魔道具を用いればほぼ瞬間的に魔法が打てる。

 もちろん魔力は必要なので無尽蔵ではないが。


「だけど、僕が来た。もう奴らの好き勝手にさせない」

「それは……正直ありがたいが、いいのか?」

「ん?」

「お前は元とはいえ聖人に類する存在。それが片方の国に加担して戦争となると……それに例のアレ(悪魔の子)も、な」


 なんだ、そんなことか。

 こいつも王族なら僕を利用することだけ考えてればいいのに。


「主も母様も仰ってる。『汝、友を助けよ』と。困っている友に手を差し出さないなら、それはもう敵だろう」

「そうか……助かる」

「それに極論を言えば僕は『悪魔の子』で構わない。母様の名声が世に広まればそれでいい」

「くく、相変わらずだな。安心した」


 いや……しかしよく考えたらそれは違うかもしれない。


「やっぱり母様の名声はもういいや。母様を独占したい。僕だけの母様でいて欲しい」

「バカめ、お前と違って間違いなく聖人である母上殿を独占できるわけがないだろう」

「僕だって間違いなく聖人だい!」


 こいつは本当に腹が立つ。


「ふっ。我ながらこんな時に呑気なもんだ。お前が来たことで、緊張感がなくなってしまったらしい」

「……ふぅん」

「急遽王の代理として軍の指揮や戦時対応をとらなくてはいけなくなってな。大変だった」


 そうだった、それを聞こうと思っていたんだ。

 それともう1つ気になることもある。


「王様はどこへ? それに、どうして魔道具が相手の国に?」

「ああ……何から話せばいいのやら。とりあえず、付いてきてくれるか?」

「……いいけど」


 グラウゼルに連れられ、執務室を出る。

 どこに行くのかと思えば、隣の部屋だった。


「王の寝室だ。王は……凶刃に倒れ、今も昏睡している」

「へ? ちょっと! 何で最初に言わないの!」

「お前の立場への配慮を優先してやっただけだ」

「いやだから――もういいや! 『聖なる癒し』」


 それまで険しい顔で荒く呼吸を繰り返していた王様。

 癒しが届いたようで、呼吸も表情も落ち着いてきた。

 

「……助かる。報酬は別に用意する」

「うんお金。たくさん」

「何だ、前はいらないとか言ってたくせに」

「今は逃亡生活だからね。お金は大事だ」


 いかん、またあいつの顔が浮かんできた。

 あいつから1番教わったのは間違いなく金の大切さをだった。


「父を刺したのは……そして魔道具の秘密をオフィ-リアスに流したのは……第2王妃、アルネイアだ」

 

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日も18時20分頃投稿します!

よろしくお願いします!

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