表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第8章 王国と戦争

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

102/162

第98話 新たな目標を立てる1歳児


 目的地をグランデシャイン王国に定め、いよいよ本格的に移動を開始する。

 しかしそろそろ日も暮れる時間。

 本日の宿を探さないといけない。

 そしてそろそろ空腹である。


「とりあえず、今日のところは宿を探しましょうか」

「あ~~~、そうねぇ~……」


 どうしたんだろうか、母様が何か浮かない顔をしている。


「イクラちゃん、お金持ってる?」

「いえ、僕は子どもですので――他のみんなは?」

「…………」


 誰もが無言であった。

 しまったな、僕は最古のキャッシュレス決済『顔パス』で通していたから金を持つことなどなかった。

 僕以外のメンバーはみんな子どもに、寝起きの母様。

 いや、1人ちゃんと親元離れて独立して暮らしていたはずの奴がいるな。


「ロロップは?」

「ぴょん? 私、宵越しのお金は持たない主義ぴょん」

「……そうか」


 なかなかロックな生き方してやがる。

 だが何に使っているのだろうか。

 気にはなるが、今は喫緊(きっきん)の問題に対処せねば。


「うふふ、野宿も久しぶりねぇ~♪」

「……そうなりますね」

「野宿!? なんだか楽しそうですねー! 私野宿したことないんですよ!」

「私はある……家、追い出されちゃって……」

「ぴょん! 私は野宿マスターぴょん!」


 どうやら野宿の経験があるのはロロップと母様だけのようだ。

 僕もないに等しいし、マリンのは悲しい過去を背負ってるだけだ。

 思い出させちゃって申し訳ない。


「ぴょん! ご飯捕ってくるぴょん!」

「任せた――もういない」

「さすがロロップちゃん、あの子がいたらご飯に困ることはなさそうね♪」


 確かに、以前もウサギ肉とスッポンとウナギを捕ってきてくれていた。

 どこから捕ってきたのかということと、共食いではないかということに目を瞑ればとても頼りになる。

 

「よぉし、それじゃあ~あそこの平らな所を野営地にしましょうか♪ 後は焚火だけど……誰が1番枝を集められるかな~!」

「よぉーし、まっかせろー!」

「お義母(かあ)様に、いいところ……!」


 さすが母様、ちびっ子たちの扱いに慣れているようだ。

 しかし2人とも、こうも単純だとは微笑ましい。

 僕は単純なわけではないが、母様にいいところを見せるのも悪くはない。


「待て! 僕の分を取るんじゃない!」

「イクラウスちゃん、お姉さんに、任せて……!」


 マリンは丁寧にきれいな薪を拾っている。

 任せたいのはやまやまだが、それだと時間がかかってしまいそうだ。


「イクラウス様にはまっけないぞぉー! ネクロマティック秘技! 『薔薇薔薇悪夢(バラバラナイトメア)』」

「お前!? 手足頭が独立して枝を集めるだと!?」

「へっへー! ひそかに特訓した技だよ―! 羨ましい? 羨ましいでしょー!」

「何を考えているんだお前!?」


 普通手足が取り外しできるからって特訓しない。

 しかも人類の希望を目指してるはずの者が『悪夢』なんて技名考えない。

 そしてこの技には致命的な弱点がある。


「体が無防備だぞ。くすぐってやる」

「ヒャッ!? だめっイクラウスさま……感じちゃう……! もぅ、イクラウス様ったらへんた~い☆」

「…………」


 今のは……僕が悪いか。

 納得できない……いや、僕が悪いな。


「イクラウスちゃん……いいよ……」

「…………」

「いいよ……!」

「…………」


 何が、いいのだろうか。

 両手を広げ、目を閉じて何かを待ち構えるいたいけな少女。

 何も許されないだろう。

 主も言っている。タッチはだめだ、と。




 ◇◇◇◇◇◇


 パチパチと火花が弾ける音で目が覚めた。

 あの後ロロップが捕ってきたウサギ肉を食べたらすぐに眠ってしまったんだった。

 眠い目をこすり、起き上がろうとするが体が動かなかった。

 何か柔らかくていい匂いがするけどちょっと重いものがくっついているような。

 目の前も真っ暗だ。


「ん~……あ、ごめんね、起こしちゃった~?」


 どうやら母様が僕を抱きしめていたようだ。

 重いものとか思ってごめんなさい。

 まるでマシュマロのように軽くてフワフワです。


「母様……いいえ、主が起きろと頭の中で喚いたので」

「もう、何でもかんでも主のせいにしちゃだめよ~」

「わかりました!」


 母様が言うのであれば仕方がない。

 しかし母様に庇われる主にイライラしてきた。

 だが母様に抱かれている僕の方が上である。主よ、汝羨むことなかれ、であるぞ。


「ふふ、イクラちゃん……」

「母様?」

「ずっと……こうしたかったんだ」

「母様……」

「辛い時、泣いてる時……抱きしめてあげられなくてごめんね……」

「…………」


 母様が泣いている。

 悔しくて泣いているんだ。

 嬉しいけど、少し悲しい。


「母様、謝らないで。今こうしてくださってるだけで全て報われました。それに――」

「それに……?」

「悲しみの涙より、嬉しい涙の方が嬉しいです」

「……うふふ、そうね。こうやって抱きしめられて、嬉しい……」


 もうこれでいいかという考えが過る。

 どこか遠い異国で母様やみんなと穏やかに暮らしたい。

 そうして幸せに暮らしました、それでいいんじゃないかと。


 だけど、僕にはまだやらなきゃいけないことがあるようだ。


「母様、お聞きしたいことが」

「なぁに?」

「心臓、止まってますよね?」

 

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日は10時10分頃と20時20分頃に投稿します!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ