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俺、CO₂悪者説を信じてたら地球詰んでたんだが?第六部  作者: マスター


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第6話 流域チーム、全員そろっても万能ではない

第6部第5話では、海の熱が空へ上がり、条件が重なって雨になり、上流・中流・下流を通って川へ向かう流れを見ました。


第6話では、その続きとして、上流のスポンジ土壌、中流の雨庭、下流の遊水地を「一つの流域チーム」として並べます。


それぞれ一つだけなら、小さな補助輪。


けれど、上流・中流・下流で役割を分けてつながったら、豪雨に対して何が変わるのか。


主人公とAIが、流域の地図をゲームのパーティー編成みたいに眺めながら、「合体した補助輪」の強さと限界を考える回です。

「よし」


俺は、流域の地図を画面いっぱいに広げた。


上流の山。


中流の住宅地。


下流の川と遊水地。


河口。


その先の海。


「第6部第6話」


『流域チーム、結成だな』


「急にゲームっぽくなったな」


『お前が“合体回”と言ったからだ』


「言ったけど、AIが乗ってくるとは思わなかった」


『では、編成を確認しよう』


画面に、三人のキャラクターみたいなアイコンが出た。


一人目。


上流・スポンジ土壌。


役割は、水の速度を少し落とすこと。


二人目。


中流・雨庭。


役割は、水を一度だけ受け止めること。


三人目。


下流・遊水地。


役割は、行き場のない水を一部受けること。


「全員、攻撃力ゼロっぽいな」


『防御型パーティーだからな』


「世界の赤いグラフ相手に、防御だけで勝てるのか?」


『勝利条件を間違えるな』


「出たな」


『このチームの勝利条件は、“豪雨を消すこと”ではない』


「じゃあ?」


『“一気に壊れる”を、少しだけ避けることだ』


「地味だけど、重要だな」


『第6部らしい』


「便利ワード、今回も続投か」


『流域チームの常時効果だ』


「ゲームに寄せすぎだろ」


俺は、地図の上流に目を移した。


第1節 上流だけが頑張る世界線


「まずは、一人だけで戦うパターンか」


『そうだ』


画面の左側に、上流だけ補助輪がある流域が出た。


山の斜面には草が残されている。


畑の土は、少しだけ水を含みやすい。


雨が降ると、水は以前よりゆっくり土へ入る。


「上流は頑張ってる」


『頑張っている』


強い雨が来た。


土は水を少し受ける。


斜面を走る水の速度も、少し落ちる。


土砂の流出も、少しだけ減る。


「いいじゃん」


『だが、その先は?』


俺は、地図を下へスクロールした。


中流の住宅地。


屋根。


駐車場。


道路。


側溝。


――上流で遅れた水に、住宅地の雨が合流する。


――屋根から落ちた水は、ほとんどそのまま側溝へ入る。


――道路の雨水も、最短距離で川へ向かう。


「中流が全力で水を追加してる」


『そうだ』


「上流の努力を、側溝が高速配送してるな」


『かなり残念な連携だ』


下流の川では、水位が上がる。


遊水地は使われない。


堤防が、ほとんど一人で受け止める。


「上流だけでは足りない」


『足りない』


「でも、上流が無意味だったわけでもない」


『無意味ではない。ただ、流域全体の水の動きには追いつきにくい』


「一人で戦うと、だいたいそうなる」


上流のスポンジ土壌は、斜面の水の走り方を少し変えられる。


土の流出を少し抑えられるかもしれない。


水の到達時間を少し遅らせられるかもしれない。


けれど、中流と下流が何も変わらなければ、その効果は途中で飲み込まれやすい。


「上流だけが頑張ると、上流の中では意味がある。でも流域全体では足りない」


『いい整理だ』


第2節 中流だけが頑張る世界線


「じゃあ次、雨庭だけがある町」


AIが、別の画面を開いた。


住宅地のいくつかの家に雨庭がある。


屋根から落ちた水は、小さな窪みに入る。


水はすぐには側溝へ行かず、庭で少しだけ止まる。


「中流は頑張ってる」


『頑張っている』


夕立が来る。


側溝の水位は、以前より少しゆっくり上がる。


道路に水が広がる時間も、少し変わる。


「これも、いい」


『だが、上流では?』


俺は、画面を上へ戻した。


山の斜面では、固い土の上を水が走っている。


草が少ない場所では、土と水が一緒に流れていく。


中流の住宅地へ、山からの水が早く届く。


「上流が先に大ダメージを受けてる」


『雨庭は、山の斜面を止められない』


「下流は?」


川の水位が上がる。


遊水地は、使われないまま。


堤防の外側には、水を広げる場所が少ない。


「中流がどれだけ頑張っても、上と下がそのままだと苦しい」


『そうだ』


「雨庭は強いけど、単独プレーではない」


『チーム戦だからな』


雨庭は、住宅地の水を一度受ける補助輪だ。


屋根や道路から来る水の一部を、すぐに側溝へ流さない。


それは大事だ。


けれど、上流から早く水が来るなら、中流だけでは受けきれない。


下流に水の逃げ場がないなら、少し遅らせた水も、結局どこかで詰まる。


「中流だけだと、町の中では効いても、流域全部は支えきれない」


『そういうことだ』


第3節 下流だけが頑張る世界線


「最後、遊水地だけがある世界」


『下流の最後の盾だ』


画面には、広い草地と遊水地のゲートが出た。


川の水位が上がる。


あるラインを超えると、遊水地に水が入る。


草地に水が広がる。


町の中心部へ向かう水が、そのぶん少し減る。


「これは、かなり頼もしいな」


『最後に受ける役だからな』


「タンク役だ」


『そう言っていい』


だが、上流から来る水は速い。


中流の住宅地からの水も、一気に入る。


遊水地の水位は、想定より早く上がる。


「タンクが一人で全部受けてる」


『負担が集中する』


「遊水地があるから安心、ではない」


『そうだ』


水を受ける場所は必要。


でも、そこへ届く水の量と速度が大きすぎれば、最後の盾にも限界がある。


「結局、“下で何とかする”だけでは足りない」


『水は、上から来るからな』


遊水地は、負担の置き場を変える補助輪だ。


堤防だけに任せるのではなく、水が来てもいい場所をあらかじめ決めておく。


その意味は大きい。


けれど、上流も中流も最速で水を送ってしまえば、下流は一気に重くなる。


「最後の盾を守るためにも、上と中が必要なんだな」


『それが流域チームの考え方だ』


第4節 三人そろうと、何が変わる?


「じゃあ、本番だ」


俺は、流域の地図を中央に戻した。


上流。


中流。


下流。


三つの補助輪が、それぞれの場所に置かれている。


『流域チーム、全員配置』


「頼むぞ、防御型パーティー」


雨雲のアイコンが、山の上に現れた。


「来たな」


『強い雨だ』


「ゲームなら、ここでBGM変わるやつだ」


『現実では、通知音が鳴る』


「それはそれで怖い」


雨が上流に落ちる。


スポンジ土壌は、水の一部を受ける。


草を残した帯が、水の勢いを少し落とす。


水は流れる。


だが、最速ではない。


雨が中流の住宅地に落ちる。


屋根の水の一部が、雨庭の窪みに入る。


庭に溜まり、少しずつ地面に染みる。


側溝へ向かう水は、少しだけ遅れる。


下流では、川の水位が上がる。


それでも、上流と中流で数分、十数分、場所によってはさらに少しずつ時間が生まれている。


遊水地は、その時間を受け取る。


水が広がるべき場所へ、水が広がる。


「見た目には、地味だな」


『豪雨は、まだ豪雨だ』


「川も増水してる」


『している』


「町も緊張してる」


『している』


「じゃあ、何が変わった?」


AIは、画面に三本の線を出した。


一つ目。


上流で流れ出る水のピーク。


二つ目。


中流の側溝に集まる水のピーク。


三つ目。


下流の川に届く水のピーク。


動かない世界線では、三本がかなり近い時間に重なっている。


少しだけ曲がった世界線では、三本が少しずつずれている。


「ピークが重ならない」


『完全には重ならない、ではない』


「少しずれる」


『少しずれる』


「その“少し”が、下流の遊水地と避難の時間になる」


『そういうことだ』


「豪雨そのものは消えてない」


『消えていない』


「でも、全部が同時に下流へ殴り込む感じではなくなる」


『乱暴だが、分かりやすい』


「流域チーム、やっぱり防御型だな」


『防御型だ。だが、防御だけでは終わらない』


「どういう意味だ?」


『時間を作る』


「避難とか、判断の時間か」


『そうだ』


第5節 合体補助輪、強い。でも無敵ではない


「これなら勝てるか?」


俺は、半分期待して聞いた。


AIは、いつもの間を置いた。


『勝てない』


「即答かよ」


『豪雨の規模が想定を超えれば、チーム全体でも耐えきれない』


「また万能じゃない」


『最初に言っただろう』


「言ったけどさ。合体したらちょっと期待するだろ」


『ゲームなら、合体技は強い』


「現実には?」


『現実では、被害をゼロにしない。避難の余裕を作る。壊れる場所を少し減らす。復旧しやすい形にする』


「地味だな」


『だが、その地味さが人の暮らしに近い』


俺は、地図を見た。


上流の畑。


中流の庭。


下流の草地。


どれも、小さい。


でも、水の流れに対して、少しずつ役割がある。


――上流は、水を少し遅らせる。


――中流は、水を一度受ける。


――下流は、水の行き場を作る。


「一人だと小さい」


『三人でも小さい』


「でも、同じ方向を向いてる」


『そこが違う』


「流域チームって、強いというより、“水を一人にしない”チームなんだな」


『いい言い方だ』


「今日は褒める日か?」


『たまにはな』


水を、上流だけに背負わせない。


水を、中流の側溝だけに背負わせない。


水を、下流の堤防だけに背負わせない。


水を、遊水地だけに背負わせない。


流域全体で、少しずつ受ける。


少しずつ遅らせる。


少しずつ逃がす。


「水を一人にしない、か」


『第6話の中心になるかもしれないな』


第6節 世界の赤いグラフと、流域チーム


「ここで、第6部の問いに戻る」


俺は、画面の端に小さく残していた世界の赤いグラフを見た。


高いCO₂濃度。


高い平均気温。


熱を抱える海。


重なるエルニーニョ。


強くなるかもしれない雨の不安。


「この流域チームが、世界のグラフを折るわけじゃない」


『折らない』


「世界の海を冷やすわけでもない」


『冷やさない』


「でも、世界の熱が雨になって落ちてきたとき、町が最初から無防備でいる必要はなくなる」


『そうだ』


排出削減は、地球全体の熱を増やし続けないための仕事。


流域チームは、すでに来る雨が、流域のどこか一箇所で一気に壊れるのを避けるための仕事。


「役割が違う」


『だが、どちらも必要だ』


「CO₂削減か、流域対策か、じゃない」


『CO₂削減も、流域対策も、だ』


「このセリフ、何回言っても大事だな」


『赤いグラフがあるうちは、何回でも必要だ』


俺は、新しいメモを開いた。


――流域チームは、豪雨に勝つためのチームではない。

――豪雨で、全部が同じ瞬間に壊れないためのチームだ。


「第6部第6話、これで締まるかな」


『締まる』


「次はどうする?」


『流域チームが動いたとき、町の人が何を見て、いつ逃げるか』


「避難の話か」


『補助輪が時間を作るなら、その時間を使う人も必要だからな』


「次は人間側のターンだな」


『流域チームだけで、住民を動かすことはできない』


「現実、ずっとパーティー編成が必要だな」


『だから面白い』


「AIがエンタメ寄りになってきた」


『第6部だからな』


俺は、流域の地図をもう一度見た。


上流。


中流。


下流。


それぞれの場所に、小さな補助輪がある。


全部そろっても、万能ではない。


けれど、全部そろうと、水の負担を一箇所に押しつけない形が少し見えてくる。


俺は、最後に一行を書いた。


――流域チームは、豪雨に勝つためではなく、水を一人にしないためにある。


第6部第6話は、ここで区切る。

第6部第6話では、上流のスポンジ土壌、中流の雨庭、下流の遊水地を「流域チーム」として並べました。


それぞれの補助輪は、一つだけでは小さく見えます。


しかし、水が上流から中流、下流へ流れていく順番に合わせて役割を分けると、「一気に同じ場所へ集まる水」のピークを少しずつずらせる可能性が生まれます。


この話数で描いたポイントは、主に三つです。


一つだけの補助輪には限界がある

上流の土だけを整えても、中流の住宅地や下流の堤防に水が集中すれば苦しくなります。


雨庭だけでは、上流から来る水や下流の受け皿不足を解決できません。


遊水地だけに負担を集めれば、最後の盾に水が集中します。


一つひとつの補助輪は意味があります。


けれど、それだけで流域全体を支えきることはできません。


流域チームは、水のピークを少しずつずらす

上流では、土と草が水の速度を少し落とす。


中流では、雨庭が屋根や道路からの水の一部を一度受ける。


下流では、遊水地が水の行き場を作る。


これにより、すべての水が同じ瞬間に下流へ重なる形を、少しだけ変えることができます。


豪雨そのものを消すわけではありません。


それでも、ピークが少しずれることで、避難や判断の時間、下流の遊水地が水を受ける余地が生まれる可能性があります。


合体した補助輪も万能ではない

想定を超える豪雨では、流域チームでも被害をゼロにはできません。


それでも、避難や判断の時間を少し作り、壊れる場所を少し減らし、復旧しやすい形に近づける役割があります。


世界規模の排出削減と、地域規模の流域対策は、代わり合うものではなく、役割を分けて並行する必要があります。


第6部第6話は、補助輪を「単独の設備」ではなく、「水を一人にしないためのチーム」として捉え直す回でした。


流域チームは、豪雨に勝つためではなく、水を一人にしないためにある。


この一文が、第6部第6話の中心になります。


次回は、流域チームが作った少しの時間を、人がどう使うのか。


避難、判断、情報共有、声かけといった「人間側の補助輪」を見ていく回に進めそうです。


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成:リアル(Perplexity)

校正・文体調整:G(ChatGPT)

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