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俺、CO₂悪者説を信じてたら地球詰んでたんだが?第六部  作者: マスター


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5/12

第5話 海の熱が雨になって、川が一気に詰む日

第6部第4話では、海が抱えた熱が、風や湿気、夜の気温を通して都市の夏と重なることを見ました。


第5話では、その海の熱と水蒸気が「雨」として流域に来たとき、何が起きるのかを見ます。


海が熱を抱える。


空気が水分を持つ。


風が運ぶ。


雲ができる。


前線や低気圧や地形の条件が重なる。


そして、強い雨が降る。


その雨は、上流の斜面、中流の住宅地、下流の遊水地へと流れていきます。


主人公とAIが、「空から来る雨」と「地面を流れる水」をつなぎながら、スポンジ土壌・雨庭・遊水地という補助輪の意味を、世界の熱の中で見直す回です。

「海の次は、雨か」


俺は、前回のメモを見返しながら言った。


海が熱い。


空気が湿る。


都市の夜が冷えにくい。


「ここまでは分かった」


『次は、水蒸気の行き先だ』


「雨になる」


『条件がそろえば、雨になる』


「ちゃんと条件を足してきたな」


『海の熱だけで雨が決まるわけではないからな』


「第6部、慎重さが標準装備になってきた」


『補助輪だ』


「そこにも使うのか」


AIが画面に、新しい図を出した。


海。


空。


雲。


山。


畑。


住宅地。


川。


遊水地。


河口。


そして、また海。


「一周してるな」


『水は回る』


「俺は、途中で詰む」


『だから補助輪を見る』


「詰まないための補助輪か」


『正確には、詰み方を少し遅らせる補助輪だ』


「言い方が現実的すぎる」


第1節 海の熱が、空に持ち上がる


画面の左端には、赤く塗られた海がある。


海面水温が高い海。


熱を抱えた海。


水蒸気が立ち上がる海。


「海って、熱の貯金箱だって前回言ったよな」


『そうだ』


「今回は、水分の供給源でもある」


『正確には、水が蒸発して空気に移る場所でもある』


「海が暖かいと、空気は水分を持ちやすくなる」


『条件によるが、その傾向はある』


「毎回ちゃんと“条件による”を入れるの、AIっぽいな」


『現実は、一文で片付かない』


「でも物語は一文で片付けたがる」


『お前の仕事だな』


「こっちに投げるな」


俺は、海から空へ伸びた矢印を見た。


――海が熱を抱える。


――海面から水が蒸発する。


――空気が水分を持つ。


――風がその空気を運ぶ。


――前線や低気圧や地形の条件が重なる。


――雲が厚くなる。


――雨になる。


「ここまで来ると、遠い海と近所の側溝が、だいぶつながってるな」


『まだ途中だ』


「まだなのかよ」


『水は、空から落ちてからが現場だ』


「急に土木の話になるやつか」


『第4部からの積み残しでもある』


俺は、図の中央を見た。


海で温められた水蒸気。


空で運ばれた水。


山にぶつかる風。


厚くなる雲。


そこから落ちる雨。


「海の熱が、そのまま雨になるわけじゃない」


『そうだ』


「でも、海が抱えた熱と水蒸気は、強い雨の背景の一つにはなる」


『そのくらいが正確だ』


「第6部は、言い切りすぎない部だな」


『だが、つなげる部でもある』


「分けて見る。そして、つなげる」


『第2話からの基本だ』


第2節 空から来た水は、地面を選ばない


AIが、図の中央を拡大した。


上流の山。


畑。


住宅地。


側溝。


川。


そして、空から太い矢印が落ちている。


「豪雨のアイコン、雑に怖いな」


『分かりやすさを優先した』


「分かりやすくて怖い」


雨は、山の斜面に落ちる。


畑に落ちる。


屋根に落ちる。


駐車場に落ちる。


アスファルトに落ちる。


川へ向かう。


「雨は公平だな」


『降る場所は選ばない』


「でも、流れ方は地面が決める」


AIが少し間を置いた。


『いい言い方だ』


「今、褒めた?」


『褒めた』


「珍しいな」


雨の量を、町は選べない。


空から来る水を、完全に止めることもできない。


でも、地面に落ちたあと、どこで受けるか。


どのくらい急いで川へ送るか。


どこで少し遅らせるか。


どこに広がる余地を残すか。


それは、少しだけ選べる。


「第4部でやった話が戻ってきたな」


『上流のスポンジ土壌。中流の雨庭。下流の遊水地』


「海の熱が雨になったときに、あの補助輪が出番になる」


『正確には、海や大気の条件が重なって強い雨になったときだ』


「分かった分かった。そこは言い直す」


俺は、メモを書き換えた。


――空から来る雨は選べない。

――でも、地面を流れる速さは少し変えられる。


『第5話の中心に近い』


「これ、いいな」


第3節 動かない流域は、雨を最速で川へ送る


画面の左側に、動かない世界線の流域が出た。


上流。


斜面の畑。


草が少ない。


土は固い。


中流。


屋根から落ちた水は、雨樋から側溝へ直行する。


庭は、雨を受ける場所ではない。


下流。


堤防が待っている。


遊水地は、説明板の中だけにある。


「嫌な流れだな」


『水にとっては、最短コースだ』


強い雨が降る。


上流の斜面では、土に入りきれない水が表面を走る。


畑の土を少しずつ連れていく。


草のない場所では、泥水が速くなる。


中流の住宅地では、屋根と道路から落ちた水が、側溝へ集まる。


庭は、雨の通過点ではなく、雨を外へ出すだけの場所になる。


側溝は、すぐにいっぱいになる。


下流では、川の水位が短時間で上がる。


「最速で川へ送る町だ」


『水は速いほど、下流でまとめて困る』


「上流では、斜面が崩れるかもしれない」


『中流では、道路に水があふれるかもしれない』


「下流では、堤防と遊水地に全部の判断が乗る」


『そう』


俺は、流域の図を見た。


海で抱えられた熱。


空で増えた水分。


風に運ばれた雲。


山で降った雨。


それが、町の中を最短距離で走っている。


「これ、世界の赤いグラフが、側溝を全力疾走してるみたいだな」


『比喩としては、かなり嫌だが合っている』


「嫌だけど、分かりやすい」


『動かない流域は、空から来た水を、そのまま川へ急がせる』


「急がせた結果、下流で詰む」


『詰みやすくなる、だな』


「はい、慎重に言い直します」


第4節 動いた流域は、水を少しずつ遅らせる


「じゃあ、右側」


AIが、少しだけ曲がった世界線を出した。


同じ海。


同じ空。


同じような大雨。


違うのは、雨が地面に落ちたあとの流れ方だった。


上流の畑には、草を残した帯がある。


土は、全部を一気に吸い込めるわけではない。


それでも、水が斜面を走る速度を少し落とす。


土が流れ出る場所を、少し変える。


次の雨で見るための記録も残る。


中流の住宅地には、いくつかの雨庭がある。


屋根から落ちた水の一部が、庭の窪みに入る。


水は数分、十数分、場所によってはもう少しだけ、そこに留まる。


全部を受けるわけではない。


けれど、全部を同じ瞬間に側溝へ送らない。


下流の遊水地には、「水が来てもいい地面」がある。


川の水位があるラインを超えたとき、一部を受ける。


町の全部に水が向かわないよう、広がる場所をつくる。


そのあとには、泥の片づけや衛生管理や再開の手順も必要になる。


「海から来た大雨は、止まってない」


『止めてはいない』


「でも、全部が同じタイミングで川に来ない」


『少しずつ遅れる』


「上流で少し遅れる。中流で少し遅れる。下流で一部を受ける」


『それが流域の補助輪だ』


スポンジ土壌は、雨を消すものではない。


雨庭は、豪雨を止めるものではない。


遊水地は、洪水をゼロにするものではない。


「でも、“一気に来る”を“少しずつ来る”に変える」


『正確には、その可能性を少し作る』


「絶対ではない」


『絶対ではない』


「でも、ゼロでもない」


『ゼロでもない』


世界の赤いグラフを消せない代わりに、町に来る水のピークを少し曲げる。


それが、流域の補助輪だった。


『第6部らしい言い方になったな』


「だんだん分かってきた」


第5節 「雨庭で世界は救えない」問題


「ここで、例の問いが来る」


俺は、先に言った。


『言ってみろ』


「雨庭で世界は救えない」


『救えない』


「即答するな」


『事実だからな』


「スポンジ土壌でも、遊水地でも、世界の海面水温は下がらない」


『下がらない』


「CO₂濃度も下がらない」


『直接には下がらない』


「じゃあ、やっぱり小さい」


『小さい』


「ずっと小さいな」


『地域の補助輪は、小さい』


俺は、少し黙った。


AIは続けた。


『だが、海の熱や大気の条件が重なって強い雨になり、その雨が町へ来るとき、町が無防備である必要はない』


「無防備じゃなくなる」


『そう』


排出削減は、地球全体が熱をため込む量を減らすために必要。


海や大気の観測は、遠くから来る変化を知るために必要。


流域の補助輪は、すでに来た雨で町が一気に壊れないために必要。


「また二択じゃない」


『CO₂削減か、雨庭か、ではない』


「CO₂削減も、観測も、スポンジ土壌も、雨庭も、遊水地も」


『そう』


「全部同時に来るなら、こっちも役割を分けて同時に置く」


『第2話からの答えだな』


「だんだん分かってきた」


雨庭で世界は救えない。


でも、雨庭がなければ、その庭に落ちた水はもっと速く外へ出るかもしれない。


スポンジ土壌で豪雨は止まらない。


でも、土と草の状態によって、水の走り方は少し変わるかもしれない。


遊水地で洪水はゼロにならない。


でも、水の一部を受ける場所があるかどうかで、負担の置き場は変わるかもしれない。


「小さい補助輪って、世界を救うかどうかで見ると負ける」


『負ける』


「でも、流れてきた水のその場の負担を少し変えるかどうかで見ると、意味が出る」


『そうだ』


「見るスケールを間違えると、価値も見えなくなるんだな」


『第6部の重要な視点だ』


第6節 海から川へ、川から海へ


俺は、最初の図をもう一度見た。


海。


空。


雲。


山。


畑。


住宅地。


川。


遊水地。


河口。


そして海。


「これ、最初はただの循環図だった」


『今は?』


「補助輪の配置図に見える」


海では、熱と水温を読む。


上流では、土に水の通り道を残す。


中流では、庭に水を一度寄らせる。


下流では、水が来てもいい場所を確保する。


都市では、熱を抱え込みすぎない。


漁港では、変わる海を少し先に読む。


『世界の大きな循環に対して、地域でできる小さな調整だ』


「小さいけど、バラバラじゃない」


『そうだ』


「海の熱と、都市の暑さと、流域の雨を、別の問題として見てたら分からなかった」


『つながっている』


「遠い海と、うちの側溝も切れていない」


『第6部の合言葉だな』


「何回も言うと、ちょっと恥ずかしいな」


『大事なことは、繰り返す』


「第5部の最終盤みたいなこと言うな」


俺は、最後のメモを開いた。


――海の熱を止めるだけでは足りない。

――降った雨を、最速で壊れる場所へ送らないことも必要だ。


「第6部第5話、これでいいか」


『いい』


「次は、流域をもっと広く見る?」


『上流・中流・下流を、別々の工夫ではなく、一つの流域として見る回が自然だ』


「補助輪の合体回か」


『言い方は軽いが、近い』


「合体した補助輪、強そうだな」


『万能ではない』


「そこは絶対に言うと思った」


『大事だからな』


俺は、循環図の下に一行を書き足した。


――空から来る雨は選べない。でも、地面を流れる速さは少し変えられる。


第6部第5話は、ここで区切る。

第6部第5話では、「海の熱が雨になり、流域を通って川へ向かう」という水の流れを描きました。


ただし、海の熱がそのまま雨になる、という単純な話ではありません。


海面水温、大気の状態、風、前線、低気圧、地形などの条件が重なり、強い雨として地域に来ることがあります。


その雨は、空から落ちたあと、上流の斜面、中流の住宅地、下流の川と遊水地へと流れていきます。


この話数で描いたポイントは、主に三つです。


雨は空から来るが、流れ方は地面が決める

海や空の状態によって生まれた雨を、地域が完全に止めることはできません。


雨量そのものを、町が選ぶこともできません。


しかし、落ちた雨をどこで受けるか、どれほど急いで川へ送るかは、土・庭・道路・側溝・遊水地のあり方で少し変えられます。


空から来る雨は選べない。


でも、地面を流れる速さは少し変えられる。


この視点が、第5話の出発点になります。


流域の補助輪は、「一気に来る水」を少しずつ遅らせる

上流のスポンジ土壌は、水が斜面を走る速さを少し落とします。


中流の雨庭は、屋根や道路から来る水の一部を一度受け止めます。


下流の遊水地は、川の水の一部を受ける場所になります。


どれも豪雨を消すものではありません。


洪水をゼロにするものでもありません。


それでも、全部を同じタイミングで川へ送らないという意味で、水のピークと負担の集中を少し曲げる補助輪になります。


「排出削減か流域対策か」ではなく、両方が必要

CO₂排出削減は、地球全体が熱をため込む量を減らすために必要です。


海や大気の観測は、遠くから来る変化を知るために必要です。


一方で、今すでに来る大雨や洪水リスクに対しては、土・雨庭・遊水地のような地域の補助輪も必要です。


雨庭で世界は救えません。


スポンジ土壌で豪雨は消えません。


遊水地で洪水はゼロになりません。


しかし、流れてきた水のその場の負担を少し変えることはできます。


見るスケールを間違えると、価値も見えなくなります。


第6部第5話では、世界規模の熱の問題と、地域規模の水の問題を、同じ循環の中で見ました。


第6部は、世界の赤いグラフを見ながらも、地域で何ができるかを小さく具体的に置いていく部です。


次回は、上流・中流・下流の補助輪を「一つの流域チーム」として重ね、単独では小さい工夫が、つながったときに何を変えられるかを見ていきます。


海の熱を止めるだけでは足りない。


降った雨を、最速で壊れる場所へ送らないことも必要です。


この一文が、第6部第5話の中心になります。


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成:リアル(Perplexity)

校正・文体調整:G(ChatGPT)

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