USB接続は諦めた! 武器はテーブルの脚、そして初めての敵はゴブリンです!
[接続を確立しました]
[接続に失敗しました]
[接続を確立しました]
[接続に失敗しました]
「クソッ、ふざけ——!」
クラインは小声で悪態をつきながら、まるで砂漠のど真ん中でスマホの電波を探すかのように、口の中のUSBケーブルを必死にぐるぐると回した。
コンピューターとリンクする方法を見つけたとはいえ、接続は安定とは程遠かった。口を開いて話そうとしたり、舌を動かしたりするたびに、信号が途絶えてしまうのだ。システムは音声認識だというのに、「プラグイン」している間は喋れないという、なんとももどかしいパラドックスだった。
彼がここまで必死に接続させようとしているのには理由があった。コンソールに非常に魅力的な機能が表示されていたからだ。
[内部システムのレイテンシ(遅延)を最適化]
『これだ!』と彼は思った。これならあの「ローディング中」の画面を直し、ついに俺のフルシステムスキルを解放できるかもしれない!
クラインはしばらくの間、口蓋のあたりでケーブルを器用に動かしてみたが、やがてそれが無駄な努力だと悟った。
「この、豆入り野菜炒め野郎がぁっ!!」
クラインは怒りに任せてコントロールパネルにドンッと手を叩きつけた。ついにこの最悪な接続方法に敗北を認め、疲労と苛立ちと共に床にへたり込んだ。
「俺を改造した奴が誰かは知らんが――人をサイボーグにする技術はあっても、USBポートひとつつける予算もなかったのかよ!?」
彼は埃っぽい床に大の字になり、自己憐憫に浸っていた。しかしその時、コンソールの下に押し込まれた小さな金属製の箱に指先が触れた。
「箱? まさかこれ……主人公用の隠しアイテムか!?」
彼は跳ね起き、即座にそれを掴み取った。それは小さく薄汚れた容器だった。クラインは埃を拭き取り、どうするか考えた。開けない理由はない。それに、簡単にポンと開きそうだった。
中に入っていたのは、公式な通達のように見える紙の束だった。特殊なインクが使われていたのか、それともこの箱が超高性能な保存容器だったのか、文字はほとんど色褪せていなかった。まるで何百年もの間、誰かに読まれるのを待っていたかのようだ。
【布告】
軍はモンスターの脅威を排除するため、極限の戦術的措置を行使することを決定した。
つきましては、全市民に対し、本日18:00までに都市から避難するよう要請する。
この掲示を読んでいる者は、直ちに避難すること。
発令日:11日 09:42 AM
敬具、ケビン・マッコイ司令官
「なんだこりゃ……」
ここにきて、クラインはなぜこれほど巨大な首都が朽ち果てるまま放置されたのかを理解し始めた。「待て、待てよ……今、モンスターって書いてあったか?」
現代の軍隊が、モンスターのような神話上の存在と戦うために武力を行使するなど、非現実的に聞こえた。しかし、深刻な顔をするどころか、クラインの目は純度100%の子供のような興奮でキラキラと輝き始めた。
「魔物だ! ここに魔物がいるって書いてあるぞ! ハハハ、よっしゃああ!」
彼は満面の笑みを浮かべてバルコニーへと駆け出した。目を細め、荒れ果てた都市を見渡す。「モンスター、魔物ちゃんたち……どこに隠れてるのかなー?」
じっと視界を集中させると――ついに、都市の中心部のはるか遠くに、小さな何かの群れを発見した。あまりにも遠すぎてはっきりとは見えなかったが、その群れが動いていることだけは間違いなかった。
「みんなー! なんだかファンタジーな冒険の匂いがプンプンしてきたよ!」
その瞳は好奇心に満ち溢れていた。クラインは装備を整えるため、カプセルルームへ全力疾走で戻った。必需品をバッグに詰め込むのに時間はかからなかった。彼の頭の中は、日が沈む前に「モンスター」を見つけることで完全に占められていた。
「うーん……武器、か……」
以前この辺りを探した時には、武器の類は欠片も見当たらなかった。だが、これ以上探すのに時間を費やせば、暗くなる前に戻ってこられなくなる。彼は近くにあった古い木製テーブルの脚を思い切り踏みつけ、バキッと折って即席の棍棒代わりにした。
「いいね。手にしっくりくる」彼は手慣れた様子でテーブルの脚をブンブンと振り回し、ベルトにサッと差し込んだ。
クラインは研究施設にある唯一の出口で立ち止まった。頭上には色褪せた「ネオゲート社(Neogate Corp.)」の看板が掲げられている。この一歩を踏み出した瞬間から、俺の異世界アドベンチャーが真の意味で始まるのだと、彼は理解していた。
「よし、いっちょ派手に始めようぜ!」彼は深呼吸をし、両足で勢いよく外へと飛び出した。
ドスッ!!
外に着地した彼だったが、一瞬だけ硬直し、それから盛大なため息を吐き出した。
「ふうっ! いやー、緊張するね! はい、皆さん! クライン・クイントンのチャンネルへようこそ! 現在我々は魔物探しのクエストの真っ最中です。イケメンサイボーグ君を応援するために、高評価とチャンネル登録、ハートボタンのタップを忘れずにね! それじゃ、レッツゴー!!」
彼は未だに自分が誰に向かって話しているのか分かっていなかった。やはりサイボーグ化の脳手術で、思考回路がいくつかショートしてしまったのかもしれない。
道中の景色は、かつての偉大な文明が荒れ果てたモザイク画のようだった。高層ビルは緑に覆われ、自然の手に還ろうとしている。店先に掲げられた見覚えのあるブランド名もあれば、全く見慣れないものもあった。一つだけ確かなことは……。
「この都市は、とてつもなく発展していたはずだ」
15分ほど歩いて目的地に到着したが、彼の「ターゲット」はどこにも見当たらなかった。
「チッチッチッ! ほーら、魔物ちゃんおいでー!」
クラインは呼びかけてみた。正直なところ、彼は生まれてこの方、本物の魔物など一度も見たことがない。だから、どんな音を出せば釣れるのかなど全く分かっていなかった。
「パパのところへおいで! モー? モー??」
反応はない。ただ、近くの街灯に結びつけられた赤い旗が、風でバサバサとはためく音がするだけだった。
「ん?」
クラインは風に揺れるその赤い布を見つめた。
「旗?」
それは柱の頂点から中腹まで垂れ下がった、長い長方形の旗だった。縁は擦り切れ、ボロボロに裂けている。生地は粗く鮮やかな赤色で、その中央には「手」の形をした奇妙で巨大な白いシンボルが描かれていた。
クラインはそれを注意深く観察した。ボロボロとはいえ、周囲の古代遺跡のような廃墟と比べると、その旗は驚くほど「新しい」ように見えた。旗があるということは、文明がある。文明があるということは、生命が存在するのだ。
その事実に気づいたクラインは、即座に身を屈めた。耳の後ろに両手を当て、どんな些細な音でも拾おうと神経を集中させる。そしてついに、3ブロックほど先の角の辺りから、何か話し声のようなものが聞こえてきた。
肋骨の中で心臓を早鐘のように打たせながら、彼は忍び足で前進した。そしてそこで――彼の鼓動を跳ね上げさせる光景を、ついに目の当たりにしたのだ。
それはゴブリンの群れだった――緑色のイボだらけの肌をした、ヒキガエルのように醜い怪物たち。




