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ファイティングガール!  作者: Jack…
大学二年
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一凛さんの疑問

小笠原一凛です。お久しぶりです。


はい、実は結婚してました。テヘペロ(古い)


今のこの国の世の中では、まだ割と異端的な考えだとは思いますが、彼とは同意の上で、お互いに他の人とも、限定的にですが、まあその・・・しています。


配偶者に隠れての不倫はよくない。それはわかります。

婚外子もよくない。そうかもしれません。まあ、選択的シングルマザーというのも普通の言葉になったので、そうでないのかもしれませんけど。


では、お互いに納得の上で、相手を選び、事前に開示した上で、厳重に避妊しての婚外性行為は?


とりあえず、犯罪は構成しません。


女性側も誰が父親か分からない、という状況は簡単に作れちゃいます・・・毎日違う相手とやった場合、妊娠した場合の父親推定は生まれてからじゃないと不可能です・・・だから、そのリスクはあります。


そのリスクより、複数の男性をお相手とするほうが精神的に幸福なのであれば、それを選ぶのは自由だ、と私は思っています。


こんな会社ですから、一時期、フリーセックスに近い状態だったこともあり、その時は妊娠した女性が父親を指名できる、という仕組みもあったそうですが、やっぱり揉めるみたいです。当たり前ですね。


なので、そういう可能性のある女性は全員ピルを服用し、男性も必ずしっかりとゴムを付け、男性用のピルも飲む、という今の習慣ができたっぽいです。


最初から一対一で固定されているコンビでも、結婚が確定するまではそれを続けるのが『習慣』みたいです。

男女固定の多対多みたいな組も、可能性の数を限定するための仕組み、というのが最初にあったみたいで、その習慣が今に残っているのがそれのようです。

まあ、二対二なら、組み合わせは二通りしかないですもんね。


三対三や四対四の組も作れますが、すぐ崩壊してしまうようです。なんとなく分かります。絶対人気投票になっちゃうよね?


良くも悪くもそこまでさらけ出す関係性だからこそ、『結婚は究極の妥協』なんてフレーズが出てくるのかもしれません。


で、小笠原くんと私は、いきなり究極の妥協をしたわけです。


           ・・・


マサト、ちょっといい?


「別にいいけど・・・仕事、課題?それとも技術の習得?」


どれでもない。


「じゃ、何?」


基本、私達はペアじゃん。で、時々他のペアの男女としたりするよね?


「そうだね」


これは浮気じゃないよね?


「うん、それはそういう定義でないと成立しないよね?」


定義? ああ、定義ね。そうか。定義か。


「正確な言葉かどうかはわからないけど、『浮気』をどう定義するかという話じゃないか、と思う。ペア同士で全員が合意した上で相手のペアの男女と一時的にペアを組むというのは浮気ではない、と定義する、ということかなって」


じゃあ、マサトにも私にも元カノ、元カレがいたはずだけど、例えば帰省時に何かの勢いでその人たちとやったら浮気だよね?私はそう思うんだけど。


「その認識で僕も一致している」


ペアの相手交換と何が違うかな?


「・・・一つ目は、全員が同意しているってところだな。二つ目は、パートナーに事前に知らせてあるということだ」


時々、部長や葵さんが、「貸して~」とか言って、マサト持ってっちゃうじゃん。あれは?


「部長に関しては新入社員男子の通過儀礼的なところもあるけど・・・イチカは不満?」


本当に不満なら貸さないよ。まあ、しょうがないかな、くらいだけど、同意はしている。だから、マサトの定義の一つ目、二つ目はギリだけどクリアしている。

それに、女子の扱いについての教育的指導もするから、結果としては悪くないかなって思えるし。


「あれな・・・まあ、二人とも、言いづらいこともハッキリ言ってくれるからな。やっぱり直接は言いづらい?」


そうじゃない。経験値が足りないから言語化できない、というほうが近いんじゃない?

だって、私たち、言っちゃなんだけど、経験の有無だけでいえば有りっていうだけで、ほぼ童貞とほぼ処女だった状態でくっついたわけでしょ。


「確かにそうか・・・なるほど。で、わざわざ話をしているということは・・・何か別の話題があるんじゃないのか?」


婚姻届について。


「は?いきなり何?」


婚姻届を出してなくても、隠れて別の異性とやったら浮気だよね?


「はい?・・・まあ、そうだろうね」


婚姻届を出してれば、不倫、という言い方をすることもあるけど、結局浮気だよね。


「事実関係は変わらない・・・だろうね」


婚姻届を出していない同士のペアでの事前合意の元でのパートナー交換が浮気でないと定義する場合、


「うん」


婚姻届を出したペアと出してないペア、もしくは出したペア同士での、事前同意を伴うパートナー交換も、定義からして、浮気と認定することはできないよね?


「えーと・・・・・・ちょっと待って・・・姦通罪がとっくの昔に無くなった今、それは正しい演繹であると言わざるを得ないね」


婚姻届って、結婚って何なんだろうね?


「・・・・・・一夫一妻制度が民法で義務付けられている日本では、配偶者を固定する、という契約かな?」


では、契約条項に、事前同意を伴うパートナー交換は浮気ではない、という例外的な定義を加えたらどうなる?


「どうもこうも・・・婚姻届にそんな欄はないよ」


別に・・・婚姻届にこだわる必要はないよね?

極論を言えば公正証書だけど、民事上の証拠になる覚書を作って、甲乙両方にサインをして、なんなら、婚姻届にサインしてくれる人にもサインをお願いすればいいんじゃない?

刑事的に問題がないなら、民事的にもめないようにすればいいってのは考え方としておかしいかな?


「おかしくはないけど・・・そこまでして結婚するかぁ?って話になるような気がする」


あのさ・・・私にはちょっとあるんだよ。


「何?そんなのあるの?」


私の名字、宮古は、漢字で書けば、ほぼ100%名字だけど、音、カナで呼べば「ミヤコ」で、名字か名前か分からない。

逆にマサト、あんたの名字は「オガサワラ」だから、その時点で100%名字だよね。


「可能性としては名前の可能性もゼロではないが、ほぼゼロだろうな。特に日本人ならそうだな」


日本人限定?


「一応、神戸が由来の名前を持つアメリカ人の逸話を聞いたことがある」


だれ?


「コービー・ブライアントさんだ」


こうべ、がコービーに変わったんだ・・・で、どなた?


「NBA、アメリカの有名なバスケットボール選手だ」


アメリカ人なら知ってる?


「日本人でも知ってる。昔からNBAが好きだった人なら特にな。まあ、死に方も派手だったから、割と最近の人でも知っている人もそれなりにいると思う」


もう、お亡くなりになったのね・・・


「ヘリの事故だったと思う。40か41か・・・くらい、まだまだ若い、って言葉しか似合わない年齢だったよ・・・ガキながらにショックを受けたんだ・・・」


そうなんだ・・・ご愁傷様です。まあ、そんだけデカければバスケにも興味あったんだろうね。結局アメフトだったのは知ってるけど。


「もっとも、神戸牛、Kobe Beef から名付けられた、という話らしいけどな」


確かに・・・アメリカ人ならコービーと読みそうね。でも、小笠原はないでしょ?


「まあ、ほぼ無いと思うよ」


ミヤコは、名字でも名前でも成立することには同意できるよね?


「まあね」


高校のころ、仲良し女子グループの中で、みんなが名前呼びになる中、私だけ名前呼びにならなくてミヤコのままだったんだよ。名前っぽくて呼びやすいから。


「そういうトラウマの出来方もあるんだ・・・初めて知ったよ。漢字の宮古って名字への拒否感とかじゃないんだ」


それはない。でも小笠原のほうがカッコイイってのはあるけどね。


「かっこいいかなぁ・・・?」


これは同意できなくてもいいけど、だらだらとペアをやってても、結局あんたと妥協しそうな気がする。

なんてったって、マサトから見れば小さくても、一般論では、私はデカいし重い。まあ、脂肪はそれほどないけど、それでも20%近いしね。筋肉落とすのが怖いのはお互い様、一緒だよね?それに加えて私は胸もね。

だから、195cmっていうだけじゃなくて、ちゃんとこういう論理的な話もできる理知的な人であるマサトは得難いパートナーなんだよ。


「いや、同意できる、オレも理屈っぽいとよく言われてるし、デカくてゴツくて怖がられるのにも慣れすぎているしな・・・結局、こういう話だってできるイチカが一番だって結論になる気がね?」


じゃあ、結婚しない?


「いいけど・・・将来的に・・・その条件でペア交換を時々やった結果、別の人がいい、とお互いに思ったときどうする?」


離婚すればいい。今どき、バツイチなんて珍しくもないじゃん。


「そうかもしれないけど・・・」


なんで、その時、もめないために付帯条項を作っておきたいのさ。


「まあ、繋がったけど・・・いったい何手先まで、先読みをしてんだよ・・・論理的には納得できるけど、心情的には納得しづらいなぁ・・・」


           ・・・


こんな話を彼としたんです。


結局、この話をした入社確定後すぐではなく、インターンで出会った、ちょうど一年後に入籍しました。


婚姻届の証人は部長と葵さんで、覚書、「結婚に関わる民法上の権利と義務の定義外である付帯条項に関する同意書」にもサインしてもらいました。


結局三枚作り、一枚は部長に預けました。しばらくは辞めるつもりはない、とのことだったからです。


「お前なぁ・・・まあ、分かんなくもないけど・・・どういう結婚の仕方だよ・・・」


とは言われました。


葵さんはケタケタ笑いながらサインしてくれました。

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