と、いうわけで、葵さんは宣言する。
葵です。
はい、一同注目!!今日は皆さんに発表したいことがあります。
・・・
今日は木曜日、夕食タイムです。朝、昼はさっと食べておわりですが、夕食時は三缶制限でお酒を飲んでもいいので、スタイルが分かれます。
・さっさとメシ食う派
・食事をしながら、お酒も少々派
・まるで居酒屋のように、ツマミ・おかずを食べながら飲む派
まあ、この中間位置的なメンツもいますが、大雑把に言えばこんな分類です。
アタシ?アタシは圧倒的に一番下です。
ウチの寮のダイニングにはミドボンを使った炭酸水メーカーがあるんで、三缶制限を活かして、500ccのドライチューハイを少しだけ薄めて飲んでます!!
まあ、これが居酒屋に行かない理由ってやつね。
居酒屋で500円くらいする、350~450ccくらいのグラスやジョッキに入ったチューハイやハイボールには、5~6%相当と仮定して、150~180cc程度しか入ってないわけ。あとは氷!!
1,500ccの9%ドライを6%に希釈すれば2,250cc!!仮に多めで200cc程度入っている居酒屋があったとしても、11杯分はあるわけ。
さらに、休日の前の日の+一缶だと、3,000cc相当、15杯。ほぼ、飲み放題だよねって感じなわけ。
で、会社持ち・・・というか寮費に含まれてるんだけど、会社に配達してもらうと、実は一缶200円しない。四缶で750円行かないんですよ。
でも、その、男女間でイタすときには、飲み過ぎ注意なんで、精々二缶にしておこうって感じなわけです。
あ、繰越は不可ね。
ま、それはいいとして、食事の始めの全員聞いてる時間帯に、みんなに宣言しなきゃ・・・
・・・
「どーした、葵?」
部長、みんなも聞いて!来週から、寮の外でのお友達活動を始めるの!
なので、アタシとヤッときたいヤツは、今週末がラストチャンス!!
「下品だな、おい! まあ、いつも通りだけど・・・」
「あおいん!!けーくん呼んで三人でする?」
リルさん!・・・相変わらずぶっ飛ばした提案してくるね!!
親子+1なんて斬新!! でも、結構東京で仕事していて忙しいっぽいよ?
けーくんとはジョージの本名の愛称です。そして、ジョージの母親がリルさん・・・セクシーボディの三十代。
あおいん、は、アタシの愛称、かな?最初は葵さんとか葵ちゃんだったんだけど、いつの間にか、あおいん、で、落ち着いたみたい。
最近の新人とかには「あおいんさん」とまで呼ばれはじめてますwww
「でも、一時間ちょっとあれば来れるでしょ?」
そうだけど、お嬢がラオ国にいて、バックエンド業務をジョージが一身に引き受けてるはずだから・・・動きにくいんじゃないかな?
「マイちゃん?ラオ国で何やってんの?」
「葵!言うなよ!!機密事項だ!!」
やべぇ、言うとこだった・・・部長サンクス!
そうなのよ、言えないのよ。
「えーーーーー、ケチーーーーー!!」
お嬢は、ハッキリ命を賭けてる仕事だから、賭けに負けるわけにはいかないんだよ。リルさん。
「・・・命懸けかぁ・・・じゃーーしょーがないねーー」
「他のみんなも、ソフトウェア作成依頼とかで何かヒントがあるとしても、対外的には、『知らない、分からない、何のことですか?』だからね!」
「「「「「「「はいっ!!」」」」」」」
みんな、いい返事だね。できれば国名も忘れて!
「葵も!!そっち側に行く気があるならもっと注意して!!」
はーい、部長。
「ワンナウトだよ!!葵!!あと二回やらかしたら無しだからね!!」
おーこわ。
・・・
「葵さん、どういう心境ですか?」
瑞希・・・まあ、いろいろあんだよ。
ちょっとこの間、街コンに行ってさ。
「色々あるのは全然かまいませんが・・・ウチでは小さいほうとはいえ、世間じゃ葵さんもデカ女のほうでしょ?悪目立ちしませんでした?」
したした・・・でもさ、あんなにいっぱい ID交換したのに、ひっかかったのは一人だけだよ。
「どうせまた目一杯メイクしていったんでしょ?ヒールの高い靴履いて!」
まあねぇ。それくらいしないと、足が長く見えないからねぇ・・・
「あのですねぇ・・・このへんに限らず、175cmくらいの男性は、自分が背が高いって思い込みがあるんですよ。それをブチ砕いたらモテっこないですよ!」
そーだったねーーー。ここに馴染むと180の男でも、小せえなって、思っちゃうからねぇ・・・
「まあ、でも一人でもひっかかってよかったじゃないですか。その人は180くらいあったんですか?」
ううん、175。だから大きいとはまったく思えなかった。それに、その日の靴を履いたまま、相手に大きいですね、って声を掛けるのも・・・なんていうのかな・・・上から目線というか、説得力無いというか、逆に傷付けるというか・・・
「そりゃそうですけど・・・日本での世間的には大き目の男性なんですから、そこはそういう感じで扱いましょうね?」
わかったよ。
まあ、そういうことで、外の人と付き合ってみるかっていうので、すぐヤルかは別として、そうなったらそうなるじゃん?
だから宣言したってわけ。
「ほぼ、ヤル宣言じゃないですか!!」
瑞希、耳元でウルさいよ・・・
「そうなるに決まってんでしょーがーーー!! まったくもう!」
炭酸水持ってきてくんない?
「ちゃんとここに持ってきてます!!ギンギンに冷えてますよ!!」
ああ、ダブルステンマグ・・・まあ、フタしなきゃいいんだよね?
「圧力かかりようがないですから。フタしなきゃ。それより・・・お嬢様は・・・そんなに命懸けの仕事をしてるんですか?」
まあ、言えないけどそうだね。
「一応、アタシにも、会社のラインでは聞けなさそうな話はあるんですよ」
そうなん?
「前に、アタシが、女子プロレス大好きって話、しませんでしたっけ?」
うん、聞いた気はするけど・・・ごめんね?あんまり興味ないというか・・・キーワードも分かんないから追ってないんだ。
「それが普通の反応ですから気にしませんけど・・・お嬢様って、割と地獄耳ですよね?」
まあ、お嬢は会話の端々を拾って情報収集できるタイプだよね。
「ですよね。なんで、ちょっと前に訊かれたんですよ」
何を?
「女子の格闘家とスパーリングできるところに心当たりはないかって」
・・・・・・なるほどね。
「危険な地域なんですか?」
安全じゃないだろうね。瑞希はアテがあったの?
「はい。地味といえば地味でしたけど・・・一応チャンピオンだったこともあるタッグ女王がやっているジムを紹介しました」
それが女子プロレスのジムってこと?
「まあ、そうですね。大学院に通っていたころは、よく見にいってました。それで、私から、ジムを盛り上げるには、女性向きのフィットネススタジオを、ヘタな男性より強い女性が守ってあげる、ってコンセプトはどうかな?とか、アドバイス?そこまでじゃないか・・・意見を言ってました」
悪くないかもね。アタシたちもデカいはデカいけど、ここの男達は優しいから、暴力的に迫られたらちょっと抵抗できるか分かんないしね。
「ですよね。まあ、大手が女性専用ジムみたいなの作って喰われているみたいですけど」
現役レスラーが雄叫び上げて守ってくれるジムはないだろ?
「ないっす。で、本当に行ったらしいんですよ」
そうなん?
「サイン入り色紙が、わざわざ『瑞希さんへ』っていうのまで書いてもらっているのが送られてきて、しかもSNSのIDを別紙で送ってくれました」
すげーじゃん!!お嬢だから、力だけじゃなく、カネで黙らせたパターンか?
「それはあるみたいですけど・・・それでメッセ入れてみたら、ちゃんと返してくれたんですよ」
さらにスゲーじゃん。お嬢が女子と練習するなら、プロレスラーくらいじゃないとどうにもならないかぁーーー
「なってないみたいです・・・」
どういうこと?
「月イチみたいですけど・・・五対一でやっと勝負になるレベルって書いてありました」
お嬢が、一・・・だよな。
「そうに決まってますよ・・・」
相手は練習生とか入門したてとか?
「練習生でも上位じゃないと危険で相手させられないそうです」
まあ、ヤクザにステゴロ仕掛けて無傷で帰ってくるような女子中学生だったからな・・・
「なんですかそれ!!」
あ、瑞希は知らないのか・・・忘れてちょーだい。
「無理に決まってるでしょう・・・まあいいです。アスカさん、地味でしたけど職人系の強さ、と言えば通じますか?」
関節とかそういうこと?プロレスは女子も男子もあまり見てないけど・・・なんとなくくらいなら。
「うーん・・・まあ、大体それでいいですよ。地味なレスラーですけど、なんだろう。段取りとかに優れた達人って感じでアタシ的にはシビれたんすよ」
わかんないこともない。で、お嬢とどう繋がるの?
「SNS で繋がったって言ったじゃないっすか。お嬢様、88kgまで増量して、そのジムでも無双状態になっちゃったっぽいです」
それは・・・うーん、モデルモード捨てたか・・・恐怖だよね。
「戦乱地域に行くんなら最低限なのかもしれないですけど・・・葵さんはお嬢様の本気の蹴りを見たことあるんですか?」
ジョージ相手の演武なら。まあ、あれを受けられるのは・・・ジョージだけだろ?
「小笠原くんなら?まあ、さっさと社内で結婚しちゃいましたから一凛も小笠原ですけど?」
受け流す、が、できるかどうかだな・・・あ、そういえば貸しがあったな・・・最後に一凛にマサト借りようか?
「どうぞ御勝手に!!ワタシを巻き込まないで下さい!! まー、一凛も大概ですから貸してくれそうな気もしますが!!」




