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ファイティングガール!  作者: Jack…
大学二年
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怒涛のL-100整備

ノイ、またはソムチャイだ。まだオレのターンらしい。


それからの二週間はともかく大変だった。


そして、エンジニアチームの滞在期間は限られているらしい。


L-100は二日で完膚なきまでに解体された。本当に骨組で、それすら分解され、アルミのストラクチャーになった。


さらに、翌日、PMC の運動場は化学・金属工場になった。


この時期、雨はほぼ降らない。分解された巨大なアルミストラクチャーはプールに入れられ、特殊な溶液で表面を綺麗にしたあと、非破壊検査装置で、内部クラックの検査がされ、あるものは電磁波によるクラック消去処理、という、謎の処理を受けていた。


ストラクチャーにネジ止めの後があるものも、アルミの粉末?らしきものを詰めたあとに同様の処理がされ、一体の金属にされていた。


そのために巨大な発電機が4機も鎮座している。普段の電力ではまったく足りないためだ。


処理が終わったアルミストラクチャーやリブなどの構造材は別のプールに入れられ、今度は表面に保護用の皮膜を作っているようだ。


それが終わった部材は、早速組み立てだ。木で作った台座の上に置かれたストラクチャーは、電磁圧接という知らない技術で文字どおり、一体化される。


これは、本当に単にオレが知らないだけで、先進国では普通に使われている技術らしい。


電力を使って強力な電磁波を発生させ、アルミ自体を凄まじい高速でぶん投げる技術らしい。


どういうことか今イチ分からなかったが、分からないながらに、ボンとダオの新入り二名に説明しているウチに自分でも理解できた。


要は、アルミの構造材、ストラクチャー同士を重ね、片側の構造材、例えばキールにリブを圧着させるときは小さいリブ側に電力を掛けると、リブは自分自身がハンマーとなってリブにすっ飛んでいく。

しかし、既に密着しているので、飛ぶことはない。表面の保護層がお互いに取れて、アルミ同士が溶接よりも強いレベルで結合してしまうのだ。


このとき、不純物は許されない。本来なら航空機製造会社のクリーンルームで行うような仕事なのだ。


しかし、ここは運動場。そこで、彼女は工事会社を呼び、運動場を一面、なんだろう。国立競技場にあるような緑や青の舗装があるだろう?あれで埋め尽くしてしまった。色は緑だ。


まあ、フルサイズのサッカーコートが余裕で取れる面積だからな。L-100の組み立てテントの周りも巨大テントで埋め尽し、外部からの砂塵をシャットアウトするという超力技だ。

空調もないので、昼間に寝て夜に作業するという変則勤務だ。


PMC だからな。夜間の仕事もあるし、変則勤務には慣れている。


整備組だけでなく一般兵・・・社員も動員し、人海戦術で作業をすすめさせている。

良くも悪くもみんな慣れているし、クナイ・マイ名義、つまり下賜で、毎日仕事終わりには、一本のビアラオと氷の袋が配給される。

カップは本来使い捨てのプラ容器だが、みんな名前を書いて、一週間くらいは洗って使いまわす。


唯一の休みの日曜の前・・・というか実質日曜の朝には、大量のラオ・ラーオも配給される。ソーセージや干し肉の揚げものもな。


ちなみに、L-100の整備テント・・・実質的には組み立てテントだけは、エアロック的に入口も二重化され、さらにテント本体も二重化されている。


そして、電磁圧接の音は凄まじい。全員イヤーマフが前提だ。会話もできないほどの遮音性だが、それでも全身に音というか振動が響きわたる。


圧接前は入念にエアダスターを使って表面の埃を払い、夜ながら煌々とLED ライトの照明が輝くテント内でヘッドランプすら併用して、接合面を極限までクリーニングする。


そして、しっかりとストラクチャーを密着させたあと、電磁波発生器をその上にしっかりと固定し、コンデンサーからの電気を一気に放電するわけだ。


これがまた特徴的な音なんだ。

発電機の音は、まあ、ディーゼルの音だから聞き慣れている。


コンデンサーへのチャージングは「キィィィイィィイーーー」という連続的なヒステリシス音?で、電磁圧接時は「バァン!!!!」としか言いようの無い音になる。数メートル離れてもストレスになるような音というか衝撃波だがな。


このとき、電磁波発生器にはとんでもない反力が働くみたいで、しっかりと固定しておかないと事故になるそうだ。


エリートっぽいやつが力説していたし、わざと弱めに固定して、実験して危険なことをオレら含め兵隊共にも実感させていた、という念の入りようだった。


そうやって見慣れた L-100 の骨格があっという間に組み上がっていったんだ。


少し短くなったけどな。


狂気だったのはそこからの外板の貼り付けも全て電磁圧接だったこと。


謎な治具や機器を総動員してあらかじめカットされていた・・・まあ、その作業にはほぼ全員が動員されたんだが・・・アルミ板、いわゆる超ジュラルミンってやつな・・・を、ぴったりと合わせて、キィィィィィーーーからのバァン!!!で圧接しやがった!!!


床板は分厚い・・・といっても飛行機だから最低限の厚さなんだろうが、これも奥からランプ部分を除いてガンガン圧接!!!

もう、部屋ができつつあるのでうるさすぎる!!!

もちろん、出てから起動するんだけどさ・・・


壁部分はさすがに全部圧接じゃなかった。点検口が必要だからな。


屋根部分と壁部分の圧接にはなんとバルーンを使っていた。何回かで使い捨てだ。


一応、意味は分かるが、これ・・・元取れるのか?と思うような整備方法だ。


正直に言おう。これは「整備」か?ほぼ、機体新造ではないのか?

じいさんたちが退職した今、昔からのマトモな整備兵はいない。だからスルーされているんだろうな・・・


ラダーとかフラップ含め、油圧制御のところは残っているが、油圧ポンプが電動化されているおかげで、データーや制御はGarmin に放りこめる。そう、電子制御化はある程度できているようだ・・・まあ、レバーの重さは残っているはずだが。


そして、Garmin、 FADEC に代表される電子制御のハーネス類も完全に一新された。

昔の銅線の重いケーブルは撤去され、軽くてコンパクトなハーネスになった。これは電力伝達路でなくなった、ということもあるが、電磁圧接による強固なストラクチャーにより、細いケーブルでも切断の危険が減ったってことが関係しているらしい。


ぶっちゃけ、光ファイバーのことは全然分からない。言われた通りに繋げるのが精一杯だ。


点検口になるはずの側面の穴もテフロンで電食を抑制されたステンレスのヒンジで接続されていく。

クイックリリースのツイストロックでパカっと開くようになっているが、アルミとステンレスの間をテフロンのバインダーで絶縁し、ボルトとナットは硬質ナイロンだ。


ここまで徹底しないといけないんだ・・・・・・そりゃ、アルミにステンレスのタッピングビスでとめたら電食発生するんだってことなんだよなぁ・・・と思ってしまったオレである。


このPMC に就職した理由の一つのうちに、残業代をしっかり払ってくれる、と、いうのがある。


この国の『労働』は外国よりキツいかもしれないが、何よりキツいのが残業手当という概念が希薄なことだ。

言い方は悪いが、労働者は死ぬまで働け、すらある。


なので、欧米資本が入っていて、残業にお金が出るここは、キツくても人気の職場なのだ。まあ、運が悪けりゃ死ぬけどな。


そりゃ、民間とはいえ、実質的に軍隊なんだから、そりゃそうだろう。


明らかにこの国でも厳密に言えば『違法』な業務を実施してるんだもんな・・・


           ・・・


「どうだ? 慣れたか?」


なんとか、というところです。な、ボン、ダオ。


「はい。ボンです。クナイ・マイ、いつもありがとうございます」

「私がダオです。新人ですが、よろしくお願いいたします」


二人とも、もちろん私、ノイも、週末のいただきものはありがたくいただいております。


「大したものでもない。あまり高級なものでないのは分かっているが、ちょっと人数が多いのでな」


いえいえ、いただけるだけでありがたいんですよ。


「そういうものなのか?」


どっちにしろ、飲みますんで。自分のサイフが痛まないというのは本当にありがたいです。


「そちらの二人もか?」


「はい、その通りです」「オレもです。ありがとうございます」


「なるほどな。まあ、キツい仕事だとは思うが、あと一踏ん張りだ。頼んだぞ!!」


おおせのままに。クナイ・マイ。

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