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ファイティングガール!  作者: Jack…
大学二年
87/102

L-100改造前夜・・・まあ、昼間なんだが。

ソムチャイだ。まあ、ノイと呼んでくれてもいい。


今日も格納庫へ出勤だ。L-100はともかく、他の飛行機も整備しないとだからな・・・特にあのポーターは、いくら凄腕パイロットだからといって・・・あそこまでの機動をさせたら、あちこち分解点検が必要だろう。


おいおい・・・なんの騒ぎだ?

格納庫に随分と人が入っているじゃないか。


外部業者か?・・・何人いるんだ?これ・・・まあ、入るしかないか・・・


           ・・・


「おぉ、ポーターを出してくれたやつだな? お前が整備の責任者か?」


マイティ・・・マイティ上官とお呼びすればよいですか?


「マイティでもマイでも好きに呼べ。お前の名前は?」


・・・ノイです。ຄຸນໃໝ່ (クナイ・マイ)


「・・・大袈裟だな。ノイ」


大袈裟ではありません。クナイ・マイ


「どういう意味だ?マイティ、オレにはそのラオ語はわからん」


「スコット、それは・・・説明が面倒なんだが・・・"MY HIGHNESS" とか "The Captain" 、場合によっては "Commodore" と呼ばれているような気持ちになる、と言えばわかるか?」


「・・・そりゃぁ・・・大袈裟というのは分かるが・・・昨日の、天使が現れた、みたいな兵隊の様子もそうなのか?」


「分からんが、まあ、ああいう扱いには慣れている」


「慣れてんのかよ!!オレは戸惑ったよ!!自然だったよな?お前は!!」


「そうだな。これも面倒なので話さんが、仏教に自然崇拝がくっついたような宗教観な地域だと思うぞ?」


「そこは話せよ! で、話を戻すと、精々 Lieutenant だよな?お前の階級章は?」


「書類では LTJG ということになっていたな」


「オレと一緒じゃねぇか・・・」


「ということはお前のほうが先任だな?スコット・・・まあ、いい、ノイ、今の英語は分かるか?」


大体なら・・・ちょっと宗教っぽいところと階級のところだけ分かりません。


「階級でなくて、航空機のパーツの名称やら英語での方式名なら分かる?」


それは、概ね大丈夫ですが、早口だと厳しいです。


「ああ、サンディ(Sandhi)ね。スコット?サンディは知ってる?」


「多分、オレの知らないサンディだ」


「First of all と Festival の聞き間違いのこと、で分かるか?」


「Mondegreens か。歌なんかじゃ普通によくあるな・・・」


「基地祭がある時に聞き間違うとかあるのか?」


「普通にな。基地はうるさいからな。まあ、ワザと聞き間違ったフリをすることもあるな」


「なるほどな、だから、これの対策は簡単で、日本人相手と一緒。First, of, all、って発音すればいい」


「なるほど・・・」


「あと、面倒でも、won't とかは使わない。will not だ。それから、won one もだめ。I won one prize in the contest. は、奇妙でも、I did win one prize on that contest. とかにする」


「まあ、心掛けるよ・・・」


「で、ノイ?私のラオ語はそれほどうまくないし、単語を多く知らないの。なので、英単語が混じるけど、それはいい?」


御説明ありがとうございます。それであれば全然問題ありません。ここの説明書やマニュアルも、基本、英語ですから。

でも、ラオ語は御上手です。クナイ・マイ。


「だからそれは・・・まあ、いいか」


「後は任せていいか?マイティ?」


「問題なしだ。スコット。それより・・・体は大丈夫なのか?」


「痛いに決まっているだろう!!・・・まったく投げるのも蹴るのも天才なんだから!!じゃあな!!」


           ・・・


「ノイ、ヤツには、ここのラオ族にはあんなデモンストレーションは不要だろう、と言ったんだがな」


正確にはラオ族だけじゃないですが・・・まあ、平均的なラオ国の男、という意味では、その認識でいいと思います。ムエ・ラオもお上手なんですね。


「盛んなんだろう?それに、重さを活かされたら、ヤツを倒すのは厄介だからな。で、それ以外に質問はないのか?」


そりゃ、ありますよ・・・L-100 をどうするつもりなんですか?大勢でバラバラにしているように見えますが・・・


「その通りだ。AE、ロールスのエンジンにしてから動かないだろ。アレ?」


なんとかエンジンは掛かるようにしましたが・・・


「中々面白いバイパス回路だったな。まあ、あれじゃあ飛ばせないだろ?少なくとも私は飛ばしたくない」


それはオレも感じてました・・・


「それにツギハギ整備だから、こいつはなんとかという爺さんに聞かないと分からない、とかあっただろう?」


はい。ありました。


「なので、全部取っ払って、特に電装系を強化する。これじゃあ、Garmin を入れたって無駄なんだよ」


はい、これ、どうやって繋ぐんだ・・・って思ってました。


「あと、英語になるが、こいつ、お前らにとっての『ウチのL-100』の整備マニュアルを作る。お前だって、今の状態じゃあ、安心してパイロットを送り出せないだろう?」


はい、おっしゃる通りです。


「司令には許可を取ってあるが、10~15人ほど滞在する。兵舎を開けろ、とは言わないから安心しろ。シャワーとトイレは使わせてやれ」


それくらいなら大丈夫です。メシは?


「ちょっと、胃腸が軟弱なやつも多くてな・・・お前らを貶めたいわけじゃないが・・・」


わかります。観光客も手でこねる、というのが苦手なお客さんも多いですから・・・辛さと味もですけど・・・


「こっちのエンジニアにはキツいみたいなんで、持ってきた食事を食べるが、ラオ国の文化をバカにしているわけではないので、分かってくれ。そこは皆にも伝えておいて欲しい」


タイの街のやつらみたいに、露骨に差別するやつらもいますから、別に大丈夫です。まあ、貧乏なのは事実ですけどね。


「そこはまあ・・・事実だな。あのエンジンとペラを買ったカネだって、自前じゃなくて、どこかの国の何かの補助金的なものだろう」


オレら下っ端には分かりませんが・・・そうでしょうね。まあ、ここの待遇は人民軍よりも、ずっといいですし、メシもマトモですから、働きがいがあります。


「例のポーターの整備はよかったぞ?しかし、お前一人ということもあるまい・・・他にはいないのか?責任者だってお前じゃないだろう?士官くらいはいるんじゃないか?」


あーーー、じいさんが三人いたんですが・・・つい最近、トシで辞めたんですよ。あと、『ロシア語ならともかく、英語は読めん』だ、そうなんで・・・。一応、一人じゃ無理なんで、司令が増援というか、追加採用してくれるってことは約束しているんですが・・・いつになることやら・・・という感じです。


「ああ・・・歴史的経緯というやつか。しかしよくそれでエンジン換装できたな?重整備も重整備だろう?」


クナイ・マイのおっしゃる通り、付けただけです。じいさんたちとは、元に戻すか?って相談をしたほどですよ・・・クレーンやチェーンブロックくらいはありますから・・・


「なるほどな・・・明日以降、一回、AE2100 は、降ろす。なので、お前も見学したり、再度装着するときには手伝って、技を盗め」


じいさんたちみたいなこと言いますね・・・マニュアル作ってくれるんですよね?


「作るが、どうしても見たり経験したりしないと分からないことだって多い。そこは分かるだろう?」


それはそうですが・・・


「今の話を聞くと、今後はお前が責任者をやることになる・・・なし崩しにな? それに、仮に士官が配属されたとしてもお飾りになる可能性だってある。しっかり覚えろ!できれば、一人か二人巻き添えにしろ!!」


・・・クナイ・マイと呼ぶからには、お言葉には従います。巻き添えは・・・努力はしますが、確定はお約束できません、クナイ・マイ。


オレはその場で膝をつき、拝礼をした。もちろん、彼女の顔は見ていない。

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