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ファイティングガール!  作者: Jack…
大学二年
83/103

こんなのと8週間も付き合うのか・・・

「お前がスコットか?」


ああ・・・ということはマイティ本人だな?

デカいのは情報通りだが・・・なんというか、女性的な見た目は・・・


「ああ、タイまでで美人モードは終了した。ここでは地味な(ツラ)のほうが無難だろう?」


それはそうだ。声は?


「低めに出しているだけだ。男性だと高めだろうが、この程度ならいないわけでもない」


車で来たのか?・・・どうやって検問所を通った?


「なに、タイの建設会社で、パクセーに支社を持つ会社などいくらでもあろう?小さいところを一つ買収しただけだ。そして、資材のトラックと一緒にランクルも運転してきただけだ」


まあ、それなら・・・ヤバい機材は積んでないよな?


「LEO 衛星のインターネット通信端末くらいだな。ちゃんとラオ国の高官への付け届けはしてあるから、特別な許可証というのも頂いてある」


・・・ふん・・・それで、詳しく調べられずに無事通過か。建設会社のほうは普通に仕事をするのか?


「もちろん。経営者が私に変わっただけだ。現場の仕事は何も変わっていない。資材も普通に運ぶべきものを運んでいるだけだ」


お前が現場にいない説明はつくのか?


「この国で経営者がすることと言えば、高官の接待くらいしかないだろう?現場で鉄骨を運ぶ必要はない」


接待するのか?


「必要があればな。ラオ語以外にもフランス語とロシア語も話せるから、古い知識層だろうと軍の高官だろうと、普通には話せるだろう?」


そういや、あんたは超絶多言語スピーカーだったな・・・


「タイ語も普通に通じた。現地向けの町場の店でもちゃんと注文ができたからな」


まあ、そうだろうな。


「ここではタイ語はあまり使わないほうがいい、と聞いたが本当か?スコットはどうしてるんだ?」


ほとんどの店じゃ、タイ語で話しても聞いてくれるよ。返事はラオ語だけどな。

一応ヘタだけど、オレはラオ語を使ってる。あとはヘタなフランス語だな。英語も今じゃそれなりに通じる。まあ、ちゃんとした政府機関か高級寄りのホテルや観光案内所だけだがな。

タイ語だけしゃべっているとな、少し、ラオ国の劣等感を刺激することがあるから、ラオ語が話せればラオ語で話せ。

まあ、国家戦略的な言語に過ぎないから、隣接するタイの地域の方言とほぼ変わらんけどな。


「文字の表記はそれなりに違うけどな・・・まあ、ラオ語のほうが合理的表記だ」


そうなのか?オレは読むほうがやっとこさで、あのぐるぐる文字を書くのは無理だな・・・


「まあ、慣れだな。中国語はどうだ?」


北部ならともかく、このあたりではそれほどでもない。建設仕事じゃ中国企業も入ってきてはいるけどな。

そうか、あんた日本人だから漢字も書けるのか!


「うん。書けるが・・・日本とは別の漢字なんだ。全てを書くことはできないが、ある程度は読み書きできる」


会話はどうだ?


「中国語はそれなりにできる。普通話と言われる首都北京近辺の言葉と、一応、というレベルだが、ラオ国に隣接する地域である、雲南話はなんとか発音できる」


発音が違うのか?それとも単語か?


「まあ、文法や単語はUKとUSの英語程度には違うよ。発音はかなり違う。あ、日常で使ういくつかの言葉は雲南話とラオ語で共通するものもあるな。ま、隣だからな」


そうなのか・・・まあ、言語はそっちがプロだから任せるよ。

ちなみに、今まで乗ってきた機種を教えてもらえないか?


「あ?飛行機か?うん。セスナが、172と182、パイパーが、28と28Rと44、ビーチクラフトがダッチとバロンとキングエア、あ、パイパーの42と、三菱のMU-2も乗ったな。ジェット機はセスナのマスタングとサイテーション、あと、例の有名なシーラスジェットの単発、あと、リアジェットの45と75だな」


ちょっとまて!お前、3年くらいだよな?ずいぶん飛ばしまくってんな。総飛行時間は?


「600時間を越えたところだ」


どんだけ飛んでんだよ・・・


「まあ、飛行強化月間を設けて、そのときは月で100時間ほど飛んでいるからな。ぶっちゃけ、もう、教官側で座れるのだ。自分で操縦したほうが気楽だが」


マジかよ。


「ウソを言ってどうする?」


まあ、そりゃそうだが・・・さっきの機種だと何が気に入っているんだ?


「ジェットはリアジェットが好みだったな。75のグラスコクピットも悪くないが、45の物理的フィードバックのほうが好みだ。ターボプロップだとキングエアのB200かな。MU-2も良かったが・・・機材の都合でそれほど乗れてない」


通好みってやつだな・・・まあ、それっくらいでないと、L-100なんか乗れんか・・・ツインオッターに乗ったってのは本当か?


「ああ、右で10回くらい・・・左は・・・2回くらいかな?まあ、離島航路だから、古くて・・・整備はされているがいろいろとオンボロなところもあったな」


ログブックには?


「ちゃんと付けてある」


しかし、乗客で行ったんじゃないのか?


「まあな。サンノゼやサイパンの飛行学校からの推薦状も付けて、実質タダ乗りするために行ったようなもんだからな」


インドネシアあたりか?


「惜しい。フィリピンだ。タガログ語のほうが得意だからな」


インドネシア語も大して違わんだろ。


「まあな。格変化もないし、ロシア語よりずっと楽だ」


まあ、ロシア語はなぁ・・・オレは苦手だ・・・決まり文句くらいかなぁ。


「そうか。それより、練習機というか・・・L-100の前に飛ばせる飛行機はあるか?」


単発でよければセスナの208がある。


「えーと、ターボプロップの単発だったかな?古いのか?」


そうだ。基本的にこんなところに来るのは払い下げばかりだから、ピカピカの新品なんてないよ。


「まあ、L-100も大概だろうしな・・・双発はあるのか?」


スカイバンがある。整備はしっかりされているが・・・知ってるか?


「スカイバン?・・・靴箱と呼ばれているアレか?」


そうだ。鈍重だぞ?


「まあ・・・あの形でアクロバット飛行が出来たら驚くだろう?」


アクロバット・・・マニューバといえば、エアロのアルバトロスもあるぞ?


「あれは・・・戦闘機の練習機じゃないのか?」


正規軍ならな。ここじゃ戦闘機だ。乗れるのか?


「まあ・・・飛行機だからな・・・免許的には乗れる。FAAの免許はこの国でも通用するよな?」


まあ、ここのPMCの機体はN番号登録だからな。ラオ国の登録ならヴァリデーションが必要だ。


「それは接待でもなんでもしてさっさとやればいいだけ、という話だ」


確かに。


「あと、アレはピラタスのポーターじゃないのか?あれもまあまあ得意な飛行機だぞ?」


マジか?あれは・・・


「ああ、飛行時間稼ぎのテクニックの一つに教官ってのがあるが、もう一つとして、サンノゼならではの臨時仕事がある。スカイダイビングのパイロットだ。ポーターの上昇性能はスカイダイバーをさっさと運ぶのに最適なんだ。あいつら、滅茶苦茶飛びたがるからな。アレは不整地でも降りられるし飛び立てるしな」


なるほど・・・そういう用途があるのか・・・レジャーであれをね・・・あまり考えたことがなかったな。


「そうだな。平和な環境で鍛えた腕がここで通用するかは分からんが、まあ、微妙に不法な運用くらいなら慣れている」


それは・・・PMC 向きの資質だよ。じゃあ・・・おい・・・どこへ行く?


「お前だって『お客さん』だろ?書類は見ているし、送ってあるんだから、ここの指揮官に直接交渉したほうが速い!!ここへの手土産も持ってきているからな!!」


何を持ってきたんだ!!


「発電機の燃料だよ!!実際にはJP-8だけどな!!」


バカ野郎!!密輸じゃねーか!!


「でも、喉から手が出るほど欲しいだろ!?それに例の高官の委任状もあるから大丈夫だ!!」


特区を利用して無茶しやがるぜ・・・どれくらい持ってきたんだ?


「20KL。25KLのタンク車を調達できたんだが、安全を考えて20しか入れられなかった。ただ、あと2往復分はタイ側に話を付けてある!!じゃあな!!」


そういうと、彼女は司令官室に入っていった。


           ・・・


それから一時間後、オレ達は彼女の凄まじさを知ることになる。


「スコット、凄腕とは聞いていたが、凄すぎないか?」


オレもそう思うよ。


「ポーターって、あんなに垂直に登ったり降りたりできる飛行機だったんだな」


普通は無理だ。失速するか墜落するかの二択だ。


「いや、本当は眉唾物だと思っていたんだよ。あんたらの紹介は当たり外れがあるからな・・・しかも20歳だろ?」


アレは本物(Genuine)(of)本物(Genuine)だ。


「しかも手土産にJP-8を20KLかよ・・・弱いところを突いてくるぜ・・・」


あと一往復は確保済みだとよ。


「カネは?・・・いくら渡せばいいんだ?」


こっちのほうで、相当な金額を事前に支払ってあるから大丈夫。


「ああ、そういう紐は付けてくれてるんだな・・・正直、操縦士としても補給面でも頼りになり過ぎるのは・・・今はよくても今後を考えるとな・・・」


そういうことは分かってるやつだ。こっちから相当なカネを払って、操縦士としての訓練と実務をお願いしている立場なんだ。


「ちゃんと内容は説明してあるのか?命の保証は無いんだぞ?」


当然だ。あいつのビジネスパートナーは強く止めたんだが、あいつは『へー、面白そう』で、済ませてしまったよ。


「・・・まあ、あんな機動は見たことないからな・・・L-100 もあんな風に飛ばせるのか・・・?」


無理だろう。そういう機体じゃない。司令だって分かっているだろう?


「そりゃまあな・・・しかし、どうやって越境するつもりなんだろう・・・」


彼女なりの勝算があるんだろう。これからの習熟訓練でそれを、更に練りあげるつもりだと思うぜ。


「普通に考えたら一択なんだがな・・・」


そうだな。超低空飛行しかないな。


「あちらがわの国境の地形で超低空飛行は危険性の塊としかいいようが無いけどな」


まあ、そこは機長、あいつに任せるしかないんだよ。


「促成栽培にもほどがある、とは思ったが、少し、期待してもいいのかな?」


さっきも言っただろ?先に前金で半分渡してあるんだ。オレ達の組織だって、あいつのことはそれくらい信用しているんだ!


「それは、20・・・もう一往復で、40KLのJP-8が霞むような金額、と考えてもいいか?」


そうだな。それどころの金額じゃない。これ以上はうかつに答えられないが・・・司令、聞いてしまったら責任が生じるぜ?


「わかった。黙るべきだな」

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