第十三節 激闘
「……もう一匹……お前がこいつらの親玉か、今度のは楽しませてもらえそうだ」
男は言って私に……
いや、私の後ろに目を向ける。
私ははじかれるようにして振り向いた。
「タニア……」
そして、私はすぐそこにいた少女の名を口にした。
「ケイト、帰りましょ、皆心配してる」
タニアは微笑み、私に手を差し出してくる。
「タニア……」
私はもう一度彼女の名を口にし、タニアに歩み寄ろうと立ち上がる。
しかし、突然に後ろから右手を掴まれ強引に引っ張られる。
「きゃああっ!?」
私は悲鳴を上げて投げ出される形で転倒した。
「残念だが、そう簡単にこいつは渡せねぇな、こいつを連れて行きたいなら、俺を殺していくんだな」
ここからではよく見えないが、男は笑みを浮かべたようだった。
タニアは顔から表情を消す。
次の瞬間
男の胸元が突然爆発し、私の傍らを男が吹き飛んでいく。
ドカァッ、ガラガラガラ
振り向くと、男は家の壁を砕き屋内の暗がりに消えていた。
「さあ、ケイト、帰りましょ」
再び手を差し出してくるタニアから私は身を引く。
タニアは少しの間黙っていたが、手を下ろし
「仕方ないわね、力づくでもついてきて…」
そこまで言ったタニアが、先程男が吹飛んでいった方に目を向ける。
私もそちらに目をやると、瓦礫が動く音が暗がりから聞こえてくる。
そして、闇に赤い二つの光点が灯る。
「勝手に話しを進めてもらいたくねぇな、俺は生きてるぞ」
男はその表情に凶暴な笑みを湛え姿を現す。
服はボロボロで、マントなどはもう千切れている。
「……しつこい男は嫌われるわよ……」
タニアの言葉に、男は口の片端をさらに上げ
「そいつは光栄だ、俺もテメェらが大嫌いだからな……」
バチィン
そんな音が響く。
男が棺に巻かれた鎖を切ったのだ。
解けた鎖が地面に落ちてあたりに金属音を撒き散らす。
男は戒めの解けた棺の蓋を外し、投げ捨てた。




