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「はぁぁぁぁぁぁぁ? いやいやいやいや、おかしいってぇぇぇぇぇぇぇ!! 今アイツ動いてなかったじゃん! はぁぁぁぁぁぁぁ? あいつズルしているぅぅぅぅぅぅぅ! 意味わかんねぇぇぇぇぇぇぇ!」
自分自身に何が起こったのか理解できず、ただただクソ野郎は発狂している。こうなってしまうのも理解できるが、それにしても『マサオ化』の効果は絶大である。今回のような理解できないことが起きた場合、いかに冷静でいられるか、それが試される場面である。理想は、事実だけを抽出し状況を正しく整理、そして考え得る範囲で推測したのち安全策をとるべきなのだ。ただクソ野郎は感情に流され過ぎて考えることを放棄している。クラリスはそうなるように最も効果的な攻撃してる。
――などと、偉そうなことを語っているが、じつはワタシもクソ野郎と同じ状況に陥っている。クラリスの足元にある『石ころ』ひとつに感情を掻き乱されている。憶測が憶測をよび、じつはアレとアレが繋がっていて、そしてあの行動にはこういう意味があったなんて考えてしまう。もうワタシの中では、アルフが投げた鉱物はクラリスに当てるものでなく、元々クソ野郎を狙って投げたものと考えてしまっている。もちろんそれを裏付ける根拠などない。ただ、もしそうだったら心がワクワクして止まらないのだ。これまで何度も何度も冷静になることが一番大事と説いてきたが、常に冷静で感情に抗える人間などなかなかいない……。
その後、クソ野郎はクラリスがズルしていると喚き散らかしているだけで、またもや戦意を失っている。ワタシの推測では、今回の攻撃はクラリスが直接与えたものではなく、そう見せかけた攻撃だと思っている。どうやってあの鉱物をぶつけたかについては未だ不明だが、身体能力に関しては現状のまま、クソ野郎の方が圧倒的に有利のはずだ。何も考えず戦えば、ほぼ間違いなくクソ野郎が勝つだろう。しかし冷静な分析を感情によって妨害され、これから戦うという選択肢は選ばれないだろう。
第三者が次にとる行動は大体想像できる。もう一度クソ野郎に『時間戻し』をして、今回のことをなかったことにするだろう。そうすればクソ野郎は何にもとらわれず戦うことができる。ここで不安が生まれる。第三者が介入してからクラリスがとってきた行動は……仕掛けていたシステム介入の発動……そして今回の攻撃……あきらかにクソ野郎の感情を乱すことが目的になっている。しかし、それはその場しのぎに過ぎず、根本的な解決には繋がっていない――。




