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復活したてのクソ野郎は興奮状態で顔を赤く高揚させている。時間戻し前の青ざめた顔とはまるで違う。さらに第一声に放った発言は腕を奪われる直前のものだ。前回の時間戻しでは、ガワは戻しても中身は戻していない。今回は中身まで戻している。クソ野郎が恐怖にとらわれる直前、自信に満ち溢れていたところまで戻っている。ガワと中身で異なる時間戻しを同時にやったのか。これはさすがにやばすぎる。第三者のシステム介入レベルはワタシやクラリスの比ではない。世界の創造主レベルのことを平気でおこなっている……これってまさか……。
からだもメンタルも元通りになったクソ野郎、鼻息荒くして今か今かと攻撃を仕掛けるタイミングを狙っている。要するにクラリスの策がなかったことにされた。やはりワタシが危惧したとおり、第三者を知る前にやるべきではなかったのだ。時期早々……クラリスらしくない判断である。もしかたら第三者の襲来に動揺して判断を誤ったのかもしれない……。
とりあえず状況は最悪である。時期早々なんて偉そうなことを言ったが、あのタイミングで使用しなかった場合、実際のところスキル発動状態の攻撃を凌ぐ手段なんてなかったと思う。これまでスキル発動後の攻撃は、言葉で惑わせたりシステム介入だったりで一度も受けていないのだ。とうとうスキル全開の攻撃を受ける時が来てしまったようだ。これだけ攻撃させないように動いていたってことは、防ぐ手段がないと考えるのが自然である。己の身体能力4倍での攻撃、普通に考えれば防御することも避けることも不可能だろう。ワタシは固唾を飲んで見守っていると、腕を失わなかったクソ野郎の新たな言葉が生まれる。
「ひゃひゃひゃ、なんだその顔は? それは汗か? お前らしくねぇじゃねえか。汗をかくほどビビってるのか? ひゃひゃ……おっとあぶねぇ。これも演技かもしれねぇからな。俺はもう油断したりしない。全力でぶっ潰してやる!」
この発言によって、クラリスが汗をかいていることを知る。言うほど表情は変えていない。ただクソ野郎の言う通り一筋の汗がゆっくりとクラリスの頬を流れていた。これは演技ではない。もう油断させてからの策は既にやったのだから。あれは本物だ。クラリスは焦っている、残された手札を全部失い、攻撃を防ぐ手段がないのだ……。
いや待てよ。まだワタシが残っているじゃないか。クソ野郎に対抗する手段なんてない。ただワタシで気をそらすことはできる。その間にクラリスを逃がすこともできるかもしれない。べつにクラリスを助けたいわけじゃない。ワタシの読みが間違ってなければ、マサオを『救う』ことができるかもしれないからだ。動くところはここしかない。クソ野郎はこの状況を楽しんでいる。今からシステム封鎖エリア外まで行って、この世界に生成し、戻ってくる時間はあるはずだ。はぁはぁ……覚悟を決めろ。もうここしかないのだから。ふぅふぅふぅ……よし、行く……次の瞬間だった。
『ドン!』
重く鈍い音が耳に入る。まさかクソ野郎がもう攻撃したのか。覚悟を決める時間に後悔しながら振り返ると……そこにはとんでもない光景が広がっていた。歪んだ顔をしたクソ野郎がものすごい勢いで吹っ飛んでいる。何が起こったのか分からない。ただ、さっきまでクソ野郎が立っていた場所に、なぜか背を向けたクラリスの姿があった――。




