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CRIMSON-クリムゾン-  作者: 朔竜
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     青の邂逅_04

食堂で適当に食事を済ませ、響と草太は足早に雅の待つ会議室へと向かう。

他とは違い豪華な装飾が施された木製のドアを二、三度ノックしてから中に入る。

会議室の中央には楕円形の机が鎮座していた。その机のそばではいくつかの書類を整理する若い女性の姿があった。


「待たせたな、雅」


「お待たせーっ!」


雅と呼ばれた女性は二人の姿に気がつくと、懐中時計を取り出して呆れたように溜息をついた。


「3分42秒の遅刻です。響さん、草太さん」


「あー、はは…さーせん」


響は手を軽くひらつかせながら雅に向かい合う形で椅子に座り、草太はそれに続いて響の隣に腰かける。

雅は少し拗ねた顔で書類を二人に手渡した。

時間に厳格な彼女にとって待っていた時間が長く感じたのだろうなと内心思いながら、響は渡された何枚かの資料の文字に目をやる。

その書類はこれから任務で向かう先の詳細と現在の状況などが事細かに記されていた。

響はふとその中の一文に目が止まった。


「…Blue第3鉱山…て確か「蓄雷石(ちくらいせき)」が採れる場所やんな?」


「ちくらいせき?」


聞きなれない名称に、草太は首をかしげる。

何で知らないんだとでも言いたげな響をよそに、雅は蓄雷石についての資料を草太に渡す。

その資料には、中に雷を閉じ込めたようにきらめくアメジストにも似た鉱石の写真があった。


「第三次世界大戦以降に化学兵器の影響か、Blueでは蓄電性の高い鉱石が採れるようになったんです…それがこの蓄雷石ですよ」


雅に続けてすかさず響が補足する。


「要するに自然界の乾電池みたいなもんやな。

こいつは地熱を電力に変えて溜め込む性質がある鉱石でな、大きさによっては中規模程度の街をまかなえるって言われとる程のエネルギー源で、施設さえあれば再利用もできるんよ。

けどその石は希少性が高うてな、今のところBlueでしか手に入らん言うこともあって高値で取引されとるっちゅー話や」


「へぇぇえ」


「座学で学んだやろが…」


まるで今知ったかのような反応をする草太にほとほと呆れ果てながら、響は煙草を一本取り出して火を着けた。

肺いっぱいに吸いこんだ紫煙を頭上の通気孔に向けて吹き付けながら再度資料に目を向ける。


今回の任務内容はこのBlue第3鉱山から輸出される蓄雷石を積んだ輸送列車の護衛だ。

蓄雷石は少量でも高値で売れる反面その扱いにも危険性を伴う事から、安全に輸送しなくてはならない。

響は念には念をと輸送経路と周辺地図の把握をはじめた。

その途中響はある違和感に気が付く。


「…これは…」


「どうかしましたか?響さん」


雅に呼び掛けられてふと我に返った、つい眉間にシワがよっていたらしい。


「あ…いや、何でもない」


考えすぎかなと浮かんだ思考を頭の隅に追いやり、 咥えていた煙草を灰皿に押し付けた。


「まぁとりあえず明日の明朝、軍の列車でBlueに向かう。

数日間の長旅になるやろから準備は怠んなよ、二人とも」


「あいよー!」


「了解です」


二人の返事を聞いたところで、響は一足先に会議室を出た。

煙草の箱を指で叩いて一本飛び出たのを口に咥えてから、先ほどの違和感を思い出す。


(………一応調べとくか)


響はポケットから通信端末を取りだし、 雅宛にショートメールを打ち込んで送信する。

送信完了画面を確認すると、響は再び端末をポケットにしまい、自分も長旅に備えるべく自室へと歩き出した。


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