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転生した社畜OL~学園ライフを謳歌しようとしたら、ドキドキが止まらないのですが…~  作者: 竜胆マコト


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第37章 本当の私の居場所

深い眠りについた私は、何も感じることができないでいた。


私は死んでしまったのだろうか?


すると、一筋の光が見えてきた。


私は目を開けようと、ゆっくり瞼を開いた。


*****


気が付けば私は、N食品株式会社のデスクに座っていた。


あれ…?今まで私、何か夢を見ていた…?


社内でプルルルっと電話が鳴った。


3コール以内で受話器を取る。


「お電話ありがとうございます。N食品です。…はい、お世話になっております」


いつもの変わらない日常。すると電話を終えた私の元へ、小早川課長がやってくる。


「おい、椿川。この後、俺と一緒に昼飯付き合え」


「あ、はい。分かりました。すぐに向かいます」


社内の時計を見ると、もうすぐ12時を回ろうとしていた。


そういえば、入社3年目くらいのころは、時折小早川課長と一緒にお昼ごはん食べに行くこともあったな…。


ここ最近は私も節約生活でお弁当を持参していたから、一緒に食べることもなかったけど、たまにはいいか。


私は今日持ってきたお弁当は退勤後の夕飯にしようと決めるのだった。


*****


小早川課長と並んで歩く。徒歩10分くらいの場所に定食屋があった。


「ここの定食は結構上手いんだ。一回だけお前を連れてきたことがあったよな」


「…随分昔ですけど、ありましたね、そんなこと」


あの頃はまだ私も、瞳に輝きを見せながら仕事をこなしていた気がする。


まあ、イライラや心労の原因は、目の前に居るのだけれど。


奥のテーブル席に座り、店員に注文を頼む。


「おれはかつ丼を。椿川は何にする?」


「私は日替わり定食で」


数分後、注文の品がテーブルに並べられ、それぞれ昼食をいただく。


「おい。お前、口元に飯粒ついてるぞ」


ご飯を食べていると小早川課長が私に注意する。


「え、す、すみません。すぐに取ります」


「じっとしてろ…俺が取ってやるから…」


そう言って小早川課長は私の口元のご飯粒をとり、ペロっと口にした。


あれ?このやり取り…どこかで…。


「椿川…お前、なにか忘れてないか?」


どことなく小早川課長は切なそうな表情をしている。


「え?す、すみません。私、仕事でまた何かやらかしましたか?」


仕事で叱責を受けるのは日常茶飯事なので、私は自分から質問した。


その時―。


突然、小早川課長の姿が褐色肌でシルバーブロンドの鬼人の青年に替わる。


この姿に、見覚えがある。


どうして、今まで忘れていたのだろう。


私は「シエン・フロックス」として、亜人の住む魔族世界へ転生したのだ。


そして目の前にいるのは私の大好きな「ガイル・ダイアンサス」だ。


「シエン、今のお前の居場所はここじゃない。戻ってこい。俺たちの住む世界へ」


「ガイル…戻りたいけど、戻る方法が分からないよ」


私たちは姿が元に戻っても、周囲の景色は現代のままだ。


鬼人が居ても誰も驚かないし、干渉しようともしない。


「戻りたいと強く願え。そうすれば、必ず戻って来られる。

俺はずっと待っている。お前なら絶対大丈夫だ。

それに俺が必ず、お前を―シエンを幸せにすると約束する」


戻りたい。私の大切な人達が待つ世界へ。


私は、戻りたい。


左手と右手の指を互いに交差させ、祈るように私は願った。


少しずつ、光が見える。


暖かく、柔らかい光の方へ、私は手を伸ばした―


*****


もう一度目を開けると、病院のベッドの上だった。


気がつけば、目元から涙がこぼれている。


いつの間にか夢の中で泣いていたのだろうか。


「これは夢じゃ…ないよね」


私は自分の手足を動かそうとしたが、中々思うように動かない。


私はどのくらい眠っていたのだろう。


周りを見渡すと、カーテンの仕切りがないことから、どうやら個室部屋を用意されているようだ。


ベッドのサイドテーブルを見ると、呼び鈴が置いてあり「目が覚めたら鳴らしてください」とメモ書きが書いてある。


とりあえず私は鳴らしてみることにした。


―チーン…


凛とした鈴の音が病室内に響く。


途端に、ドタドタと足音がどこからともなく聞こえてきた。


「今度は本当だろうな?誰かわざと鳴らしてないよな?」などと話し声が聞こえてくる。


病室の扉がコンコンとノックされ「シエン、入るぞ」とシンリーの声が聞こえた。


「シエン!起きてた!…良かった。目が覚めて本当に良かった~」


シンリーが安心しきって私を見ながら泣いている。


見ると1年Sクラスのメンツが全員揃っている。


「デューイ先生から『シエンはいつ目覚めるか分からない。皆覚悟しておけ』って聴かされたから、マジでびびったよな~」


ロックスも病衣を着ている。そういえば彼も、戦いの後で怪我を負っていた。


「シーちゃん、いままで一週間も眠ってたんだよ?お腹すいてない?大丈夫?」


シャーリーが心配そうに私に話しかける。


「え、一週間も?道理で体の動きがぎこちないと思った。

…そういえば、学園の鐘にあった時限爆弾が爆発したあと、結局みんなどうなったの?」


私は一番疑問に思っていたことをみんなに聞いてみた。


「それは私から話そう。お前たち、ここは病院だ。学園ではない。

関係ない者はさっさと帰れ。それと治療が必要な者は自分の病室へ戻ること」


見ると騒ぎを聞きつけたデューイ先生が、後ろで仁王立ちをしていた。


デューイ先生につまみ出され、お見舞い組や入院組もしぶしぶ私の病室から出て行った。


そして、病室には私とデューイ先生だけになった。


「先生、あの時は私たちを助けて下さり、本当にありがとうございました」


私は爆破事件の件で、デューイ先生に礼を述べた。


「いや、かえってお前たちを危険な目に遭わせてしまった。

私のほうこそすまなかった。…実は今度保護者会が開かれ、今回の件について説明することとなっている」


デューイ先生は私に向き直る。


「お前が気絶して倒れたあとの、この一週間に起きた事をすべて話そう」


ここまで読んでくださり、いつもありがとうございます。

闇との戦いがやっと終わって、私もホッと一息ついております。


前世の小早川課長=ガイル・ダイアンサスなの?と思われたかもしれませんが、

厳密には違います。


シエンの記憶の中で、ガイルの攻撃的な性格が小早川課長の性格に似ているという事実があり、

それが夢で勝手に結びついている…という設定にしております。


そして事件の真相が明らかに…次回もお楽しみに♪

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