第26章 祭りの始まり
新学期を迎え、次なる学校行事が始まる。
「学園祭」について、デューイ先生から話を聞くシエンたちだが…?
※この度は、システム障害等の影響で、小説の投稿を1日休止しました。
お話を楽しみにされていた読者の皆様、深くお詫び申し上げます。
―登校日・放課後のホームルーム―
「…全員、夏休みの課題の提出が済んだようだな。
これより後期授業期が始まる。休みボケせず、授業に励むこと。
そして、10月31日には学校行事の学園祭がある。
学園祭では各クラスで出し物をやってもらうことになっている。
クラス対抗で売上を競い、売上1位のクラスには豪華賞品を与えられるという仕組みだ。
詳しい内容を今から配るので、よく目を通しておくよう。今日のホームルームは以上だ。解散!」
私は配られた資料を読んでみる。
出し物は食べ物系でもエンターテイメント性の高いものでも、特に規定はないようだ。
そしてどうやら、生徒1人につき、学園祭への招待券が5枚配られるらしい。
3枚は家族に配るとして…残りの2枚はどうしようかな。
「学園祭かあ…やるなら僕は食べ物系がいいなぁ♪」
クランベリーが目を輝かせている。
「食べ物系もいいけどよ、クラス全員でロックバンドを組んで、会場を盛り上げるってのもありだよなー」
ロックスもクランベリーに同調し、二人で盛り上がっている。
「てめぇらの承認要求を満たしても、客が来なかったら意味ねぇだろ」
傍で聞いていたガイルが、正論をぶちかました。
「むー、ガイルはノリが悪すぎー。そんなんじゃ、シエンちゃんに嫌われちゃうよ?」
クランベリーの発言で、私は先ほどの昼休みの出来事を思い出してしまった。
こっちに話を振らないでくれ…。いや、ここは冷静に分析しよう。
「…いいや、ガイルの言う通りだよ。
いくら私たちが良いと思って出し物をしても、お客が入らなかったら意味がない。
店を出して集客するなら、客層のニーズと需要と供給を把握しておく必要があるね。
最近流行りの物で、集客率の高いものを市場リサーチして…。
それだけじゃない、何か販売するなら原価と売上原価、経費、光熱費を計算して、原価と収益に見合った金額設定を…」
「だー!シエン。ストップ、ストップ!途中から何言っているか、全然分からんて!」
ロックスが慌てて止めに入った。
周りを見渡すと皆、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔で私を見ている。
「あー…、要はね、自分たちじゃなくて学園祭に来てくれる『お客さん』たちを満足させてあげることが、一番大事ってことだよ」
私は分析するつもりが熱くなってしまい、前世での知識をべらべら喋ってしまった。
「なるほどな。お前、本当に色んなことを知ってるよな。それも本の知識とかか?」
シンリーが感心しながら私に話しかける。
「まあ、そんなところかな」
私は適当にはぐらかした。前世の知識を活用するのもほどほどにしよう。
こうして徐々に、プリムラ魔術学園の学園祭が始まろうとしていた。
*****
次の日のホームルームで、デューイ先生から重大な発表があった。
「今回の学園祭に向けて、私からひとつ、諸君らに報告がある。
毎年各クラスから学園祭の実行委員を選ぶのだが、今年から教師陣による任命制となった。
よって、学園祭の実行委員を『ロックス・ルドベキア』に任命する。
そして、これより放課後から夕刻18時までを学園祭の準備時間に充ててもらう。
しかし、各々都合の悪い日もあるだろう。
無理をせずお互い連携し合って、学園祭の準備に取り掛かれ。
何か必要があれば、適宜相談に乗る。まずは、ルドベキア。このクラスの出し物を決めろ」
デューイ先生に任命されたロックスは「え、俺?」と内心驚きを隠せないでいる。
そしてロックスは少し狼狽えながら、黒板の前の教壇に立ち、「えっと…じゃあまずは…」とチョークで議題を書いていく。
「じゃあ…デューイ先生に任命されたロックスです、よろしく!…まずは今年の1-Sクラスの出し物だけど…案がある奴は挙手で!」
すると、全員が手を挙げた。
「おお、みんなやる気だな。…順番に聞くから、一人ずつ発言してくれな」
黒板にそれぞれの案が出そろった。
内容は、メイド喫茶・ロシアンルーレットたこ焼き・スーパーすくい・バンド演奏…等である。
「んじゃ、多数決できめるから、みんな黒板に書いてあるやりたい出し物の下に、自分たちで線を引いてくれ」
ちなみに、こちらの世界では縦の四本線を引いて、四本線の真ん中に一本線を引くという数え方が一般的である。
結果は、クラスの2/3がメイド喫茶に線を引いた。
「んじゃ、多数決で、うちのクラスの出し物は『メイド喫茶』に決まりだな!」
ロックスが出し物決めで安心していると、教室の後方の席で監督しているデューイ先生が鋭い声で指摘し始めた。
「おい、お前たち。『メイド喫茶』をするのはまだ良しとする。
例年もこの出し物で競うクラスは居た。だが、ただの『メイド喫茶』では他と売上が埋もれるぞ」
メイド喫茶するのはいいんだ…教育者として罰するのかと思った。
「売上が埋もれるって…どういうことだ?」
ロックスはデューイ先生の言わんとするところが、よく理解できていないようだ。
「つまり、ただの『メイド喫茶』をするのではなく、他と差別化を図るということですね?
他のメイド喫茶ではなく『1-Sクラスのメイド喫茶』でサービスを受けたいと客に思わせることが大切…といったところでしょうか」
私は他の生徒たちにも分かりやすいように説明を加えた。
「その通りだ。ただ『こうしたいから』だけでは客は寄り付かん。お前たちだけの持ち味と強みを生かして、お前たちにしかできない『メイド喫茶』をやれ」
さすが、バーで飲んだくれても教師としては一流だ。
ただ、デューイ先生の言うことはもっともだが、それを実現するのが難しい。
「俺たちにしかできない『メイド喫茶』…?」
ロックスや他のクラスメイトが頭を抱える中、レインがおずおずと手を挙げる。
「あ、あの…考えたのですが、『体育会系ジャージメイド喫茶』というのは、どうでしょう…?」
私は「なるほど、その手があったか」と呟いた。
「え、待って、それって普通のメイド喫茶とどう違うんだ…?」
ロックスや他の男子生徒はおろか、シャーリーとシンリーの頭の上にも?マークが浮かび上がっている。
「えっと、着用する服はジャージ服でその上からフリルのついた白いエプロンを着用します。
そして、体育会系というのは元気な声で『お帰りなさいませ!主様!』って挨拶するというスタンスなんですけど…ダメなら却下でも…」
「良いのではないかな?」
レインの発言をラインハートが後押しする。
「このクラスは男子生徒の人数のほうが多い。ヒラヒラスカートにパニエというメイド服を着ることへ、抵抗がある男子も居るだろう。
それなら、ジャージ服の上からヒラヒラエプロンを着るだけという、シンプルスタイルで行けば、羞恥心も和らぐであろう。ナイスなアイディアだよ、レディ・レイン!」
ラインハートの発言に、ぱあっとレインの顔が明るくなる。
「結局ヒラヒラを着るのは前提なんか…俺は着ねぇぞ」
衣装のコンセプトにガイルが渋る。
「衣装を着るのが難しい子は、食事係としてパンケーキを焼いたり、飲み物を作ればいいんじゃないかな?」
私は即座にフォローした。せっかくレインが出した案を無駄にしたくない。
「そうだな。喫茶であることに変わりはないのだから、キッチンとホールは必ず必要だ。
それなら、俺はキッチンを手伝わせてくれ」
ジャイロもすかさず助け舟を出してくれる。
彼が積極的に食事係を手伝ってくれるなら、大いに助かりそうだ。
こうして、皆であれこれ意見を出し合い、色んなことが決まっていく。
「滑り出しは順調のようだな…これから頑張れ。1-Sクラスの諸君」
デューイ先生が私達に聞こえない声でぼそりと呟いた。
ここまで読んでくださり、いつもありがとうございます。
やっと秋らしいイベントを書くことができました。
昨日は小説の投稿を1日お休みしてしまい、申し訳ございません。
本日から、また再開しますので、よろしくお願いいたします。
次回もお楽しみに♪




