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転生した社畜OL~学園ライフを謳歌しようとしたら、ドキドキが止まらないのですが…~  作者: 竜胆マコト


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第25章 新学期と魅力的な罰ゲーム

夏休みが終わり、新学期が始まる。


登校日初日にシエンはクラスメイトたちとおしゃべりをしていると、温泉旅行の話題になってしまい…?


※一部内容を加筆修正しました。2026.10.27

プリムラ魔術学園での夏休みが終わり、9月1日の登校日を迎える。


私は1年Sクラスの教室のドアを開け、中に入った。


「シエンちゃん、おはよー!」


クランベリーが元気よく私に挨拶してきた。


「おはよう、クラン。前期ぶりだね。元気だった?」


「僕…夏休み中、ほぼ毎日補習で死にそうだった…。来年は、補習受けないようにガンバル…」


クランベリーは死んだ魚のような目をしながら、少しだけ反省の色を見せた。


まあ、補習を受けたことが、いい薬になったみたいだね。


「シーちゃん、おはにょろ~!ウォーターアイランド、楽しかったにゃ~」


シャーリーが挨拶しながら近づいてきた。横にシンリーも居る。


「そういえばシエン。お前、ガイルと温泉旅行、行ったのか?」


ギクッ。やはりその質問が来たか。


この話題が出たら、事前にガイルと返事の仕方を打ち合わせしてたけど…。


「あ、あ~…それなんだけどね、ガイルの気が変わったみたいで

『できれば家族に旅行へ行かせたい』らしくて、私とは温泉旅行に行かなかったんだ」


これで上手く誤魔化せただろうか。


「そーなんだ。ガイルって案外、親孝行者なのねー」


「アイツ、『俺がシエンと温泉旅行に行く』とか息巻いてたくせに、案外ビビりだな」


シャーリーとシンリーはひとまず納得してくれたようだ。


だが、少し離れたところで私達の会話を聞いていたトーマは、不服そうな顔をしている。


「シエンさん、嘘ついてるね。本当はガイルと温泉、行ったんでしょ?」


トーマは私に近づいて、私の嘘を暴いてしまった。


「「なに?!」」


シャーリーとシンリーが驚いている。


「ト、トーマ…何を根拠にそんな…」


私は思わず狼狽えてしまった。


「シエンさんも魔闘大会で見たでしょ?

僕の特殊スキルは『真偽の審判(トゥルー・ジャッジメント)』と言って、相手の発した言葉の真偽が見抜けるんだ。シエンさんのさっきの発言に、僕の特殊スキルが反応したんだよ」


トーマの発言に私は項垂れてしまう。


ボロが出てしまった以上、もう言い逃れはできない。


「…嘘ついてごめんね、二人とも。実はガイルから口止めされてたんだ」


私は嘘をついたことを素直に謝った。


「なんだぁ、そうだったのか。…って、シエンお前、ガイルに何かされなかったか?」


シンリーが心配そうに私の肩を揺さぶる。


実はこの時点では、まだガイルは教室に居なかった。


寮生活の生徒は学園から距離が近いため、やや遅れて登校してくる。


「僕もそれ、気になってた。シエンさん、大丈夫だった?」


トーマは心配…というよりは、やや好奇心が勝っているように見える。


「えっとね…実をいうと…用意された部屋がダブルベッドで、でも部屋を替えてもらえなくて、その…ガイルと添い寝しちゃった…」


私は顔から火が出そうなほど恥ずかしく、思わず顔を手で覆ってしまった。


「…一回アイツ絞めるか」


シンリーが指をボキボキと鳴らしている。


ごめんガイル…バレちゃった…。正直恥ずかしい…。


「ねぇねぇ、シエンちゃん。ガイルとは、どこまでイったの?」


クランベリーは好奇心に満ちた顔で私に囁く。


「そ、添い寝だけだよ。他は特になにもないよ?」


これは本当のことだし!トーマも真実だとわかってくれるはず。


「…少し、怪しいな」トーマが呟いた途端、シャーリー、シンリー、クランベリーが私を見る。


「う、う~んと…手は繋いだかな?でも、本当にそれくらいだよ」


さっきのは嘘に入るの?どこまで見抜かれるんだろう…?


「まあ、間違いはなさそうだね」トーマの発言に私は安堵した。


今のはセーフなんだ…。とりあえず安心した。


すると、ガラっと教室のドアが開き、ロックスとガイルが入ってくる。


「おはよーさん!」ロックスが元気よく挨拶する。


「っす…」ヤンキー口調で挨拶をしながら、ガイルも教室へ入る。


これは非常にマズいことになった。もう言い逃れができそうにない。


「おい、ガイル。お前、シエンに手ぇ出しただろ!一発殴らせろ!」


シンリーが臨界体勢に入り、ガイルに喧嘩を売る。


「あ?藪から棒になんだよ…まさか!おい、シエン!お前、温泉旅行のこと話したんじゃねぇだろうな」


ヒィィィ!ダメだ、秒でバレた‼


「シーちゃんを通す前に、うちらを通せ、エロガイル!」


シャーリーもガイルを威嚇して、二人で私をブロックしている。


かくなる上は…雲隠れするしかない!


私は木魔術を利用して、自身の体を花弁で覆いつくし、周りの風景と同化して姿をくらました。


「あ!アイツ、木魔術使って逃げやがった!オイ、クラス全員でシエンを探すぞ!」


ガイルの声にクラスメイト全員が座席から立ち上がる。


(なんでこういう時だけ一致団結するのよ…)


ちなみに、風景の擬態化は1回につき1分が限界。出現場所を変えて、5回くらい擬態化を繰り返せば、朝のホームルームが始まるまで持ち堪えれるハズ…。


クラスメイトの合間を縫って逃げようとしたその時―。


ガシっと誰かに腕を掴まれた。


「…俺から逃げられると思ったか?」


よくよく見るとガイルが私の右腕を掴んでいる。


「えぇ…絶対バレないと思ったのに…何でわかったの?」


「ハッ。音と気配で、大体の位置は察知できるんだよ。まあ、バレちまったもんはしょうがねぇ。だが、お前には罰を受けてもらうからな。今日の昼休み、俺が指定する場所へ来い。約束破ったらどうなるか…分かってるよな?」


ガイルの眉間に皺が寄り、鬼の形相で私をを睨んでいる。


「ハイ…スミマセン…必ず行きます…」


あまりの怖さに私はガタガタ震えながら、精一杯の声を絞り出し、ガイルに返事した。


えらいこっちゃ…これはこってり絞られそうだな…。


「シーちゃん、安心して。僕たちも様子見に行くから!」


「これ以上、シエンを喰いものにされてたまるか。私もちゃんと、ついていくからな」


シャーリーとシンリーが私を励ましてくれることが、唯一の救いだった。


少し遅れてロックスが割って入る。


「え?なに、温泉旅行がどうかしたの?ガイル全然教えてくれないじゃん!いい加減話せよ~」


「…ロックス、お前に話したら余計面倒になるから、絶対話さないからな」


思いのほか、夏休み明けの授業期は怒涛の幕開けとなってしまった。


―昼休み―


「じゃ、じゃあ私、お昼食べ終わったから、ガイルの所に行ってくるね…」


私は顔を青ざめながら、ヨロヨロと席を立った。


「安心しろシエン。私達がちゃんとついているからな」


「ガイルに僕の自慢の爪攻撃をお見舞いしてやるぜ!」


二人ともありがとう…でも、ごめんね。


私はシャーリー、シンリーと一緒に食堂を出て行った。


*****


私はガイルに指定された場所へ向かった。


確か、待ち合わせ場所は1年棟4階の空き教室。


ちなみに、シャーリーとシンリーは居ない。


自分の分身体を創り出し、途中から人込みに紛れて分身を消えさせる方法を取った。


ガイルから魔通信機で「待ち合わせ場所にはお前一人で来い」ってメールが届いたからね…本当に二人とも、ごめんね。


私は1年棟の4階へ上がり、室名が無記名になっている教室のドアを開けた。


そこには机と椅子が5~6脚あるだけの、簡素な造りだった。


「よう、来たか。…ちゃんと一人で来たみたいだな」


ガイルが机にもたれかかりながら、私に話しかける。


罰を受けてもらうって言ってたけど、何をするつもりなんだろう。


「じゃあ、今から楽しいお仕置きタイムといこうか」


もう嫌な予感しかしない。


どうせろくでもないことを考えているのだろう。


ガイルは私に近寄り、耳元で囁いてきた。


「…今から俺の頬にキスしろ」


「な…頬にキス?ちょ、ちょっと待ってそんな…」


何を言い出すかと思えば…。暴君王子め、温泉旅行でちょっと色気づいたな?


「出来ないとは言わせない。あと、てめぇに拒否権はねぇ」


おそらく、私を恥ずかしがらせる罰則を考えたのだろう。


正直、前世で男性からキスされることはあったが、自分から施すことはあまりなかった。


あまり気は乗らないが、やらないとガイルの機嫌は損なったままだ。


「わ、分かったよ。…キス、するから動かないでね?」


私はゆっくりとガイルに近づき、彼の制服の裾を少しだけ掴む。


ガイルの頬に顔を近づけて、チュッと口づけを落とす。


鼓動が速くなり、胸がドキドキする。


「こ、これでいい?」


少し私は顔を赤らめながら、ガイルの様子を窺う。


命令した当の本人は、私よりも顔を真っ赤にして、口元を手で押さえている。


「ガイル…顔が真っ赤だよ?大丈夫?」


「…るせえ、ほ、本当にやると思わなかったから、その…」


もしかして、この様子だと…ガイルは女子と付き合ったことがない?


私はガイルを少しだけ、からかってみたい衝動に駆られた。


「ねえ、ガイル。そのままじっとして。私からもお詫びがしたいんだ」


「…?お、おう…」


そして私は、そのままスッとガイルに近寄り、彼の学ランの襟を軽く指でずらし、首筋にキスを施した。


少しだけ吸い上げて、赤い印を付ける。


「な、なにしやがる…!」


いきなりの出来事に、ガイルは後ずさり私から距離を取った。


赤い顔がさらに赤く染まっている。よほど恥ずかしかったのだろうか。


「私なりのお詫びだよ。…そろそろ次の授業が始まるから、もう行くね」


少しやり過ぎたかな?まあ、意趣返しはできたっぽいね。


そして私はさっさと空き教室を出て、次の授業の準備に取りかかろうとした。


(今のは何だ…?首筋が熱い…シエンに触れられたところが、熱を帯びて冷めそうにない)


その日の午後、ガイルはほとんど授業に集中することができなかった。


ここまで読んでくださり、いつもありがとうございます。


学園祭のお話を…と思ったのですが、

夏休みの出来事と、新学期の挨拶的な流れを書いてみました。


温泉旅行でシエンとガイルの仲がグッと近づいた感を出したくて、

今回、かなりラブ度が上昇しております(笑)


次回から学園祭のお話が本格的に始まりますので、お楽しみに♪

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