第15章 愉快なプレイヤーと仇討ち
なんとか準決勝まで勝ち進むことができたシエン。
そして、残る試合は次の2つ。
・第三試合…クランベリー・スパイラキシス VS リッキー・コチレドン
・第四試合…ベルライン・ラグルス VS トーマ・イベリス
いざ、勝負‼
※内容を一部修正しました。2026.10.11
「シエン選手の魔術は先が読めません!見たことのない魔術ばかりで、我々教師陣も驚きを隠せませんね。フォックス先生」
「ふふ。彼女の魔術指導を行ったのは僕ですが、彼女は意外性ナンバーNo.1のプレイヤーだと自負しております」
「それでは次の試合に参りましょう!
第三試合、Sクラス、クランベリー・スパイラキシス 対 Aクラス、リッキー・コチレドン。
両者とも、闘技場へお入りください」
*****
「やれやれ。ソウテツの奴、情けねえなぁ!Sクラスのボンボンにやられちまうとはなぁ」
リッキー・コチレドンは坊主頭で瞳の色はグリーンをした虎の獣人族である。
丸っこい虎の耳と尻尾が印象的な生徒だ。
「コチレドン、静かに。…両者、構えて。用意、始め!」
デューイ先生の合図で試合が始まった。
クランベリーは炎の魔術を使おうとしたが、
俺(=リッキー・コチレドン)は「ちょっと待て!」と制止する。
「おめぇは人が良さそうだから、特別に俺の特殊スキルを教えてやるよ」
「ふーん…?君の特殊スキルって?」
「聞いたら絶望するぜぇ?俺の特殊スキルはなぁ…相手から攻撃を喰らえば喰らうほど、移動速度が上がるんだ。『瞬走』って名前つけてんだけどな。
お前は魔術が得意のようだが、俺に攻撃を当てちまったら、俺の瞬走に翻弄されて、ジ・エンドだぜ?…ハッタリだと思うなら、試してみろよ!」
(大抵の奴は俺にビビッて手も足も出なくなる…さあ、お前はどうする?クランベリー・スパイラキシス)
クランベリーは顔を下にして俯いている。
「どうした?怖いか?今なら『参りました』って言えば、タダで見逃すぜぇ?」
俺は一気に畳み掛けた。
「…怖い?うーん、違うね」
「あぁ?(コイツ、俺が怖くねぇのか?)」
「そっかぁ…魔術で攻撃を当てるとスピードが速くなるなら、
どれくらいの攻撃でどのくらい速くなるのか、試してみたいと思わない?」
クランベリーの顔は恍惚としており、頬に赤みが増して、目がキラキラしている。
「は…?え…ちょ、ま、待て待て!そんなことしたら…」
(コイツ、ヤベェ!そういやさっきBクラスの女子もコテンパンにされてたっけ…)
「いくらでも強~い魔力をぶつけて、いいんだよねぇ?」
クランベリーは意地悪くも嬉しそうな表情をしている。
「ちょ、ちょっと考え直そうか?な、は、話せばわかる!お、俺が悪かった!」
俺が制止するのも構わず、クランベリーは両手を広げ、膨大な魔力量の火球を頭上に創り上げた。
「炎の帝王」
ドオンっ‼と轟音が響き渡り、俺は避けることができず、
クランベリーの攻撃を直撃で喰らってしまった。
「あ、熱い!体操服が燃えちまった!…あ、しまった!お、俺の体が勝手に…!」
俺の体はヒュン!とクランベリーの横を通り抜け、
ブレーキが効かず闘技場の分厚い壁にドン!とのめり込んでしまった。
「こ、これはクランベリー選手の魔術攻撃を吸収しきれず、リッキー選手の『スピード・ハイ』が暴走してしまったのでしょうか?」
ナタリア先生のアナウンスが入る。
「まさしく、その通りですね。本当、魔力量だけで言えば、あの子に張り合える魔術師はそう居ないでしょう」
「リッキー・コチレドン、場外!…勝者、クランベリー・スパイラキシス!」
デューイ先生が判定を下す。
「やったー!これで準決勝に行ける~!シエンちゃんとお揃いだぁ♪」
その後、俺は医務室へ連れて行かれ、体を包帯でぐるぐる巻きにされたのだった。
*****
「では、第二回戦最終試合の第四試合!Bクラス、ベルライン・ラグルス 対 Aクラス、トーマ・イベリス。両者とも、闘技場へお入りください」
ベルラインはシャーリーを倒した猛者である。
だけど、僕(=トーマ・イベリス)はベルラインを倒すことに燃えていた。
「ふふ。あなたも鬼人なのですね。これは楽しめそうだ。あの猫娘との闘いは、実につまらなかったですから」
ベルラインは僕との闘いに興味があるようだが、シャーリーを貶す発言は許せない。
「…君、結構無駄口が多いんだね」
(本当に腹立たしい。その生意気な口を効けなくしてあげるよ)
「静粛に!両者、構えて。…用意、始め!」
試合開始の合図とともに、ベルラインはいきなり自分の分身体を5体出現させた。
「だって、分身を出すだけではつまらないでしょう!
それに、彼女も私も土属性ですから、技を相殺するなんて造作もないことです」
ベルラインは無数の岩を創り出し、僕に向かってぶつけようとしてきた。
「石をぶつけるなら、このくらいしないと、お話になりません!
あなただってそう思うでしょう?トーマ・イベリス!」
(まずは防御に徹しよう。…本当、この男、気に入らない)
「風刃」
僕は無数の岩を風の刃で粉々に砕いた。
「ふふ。やはり、闘いはこうでなくては!」
ベルラインは僕と闘えることに満足しているみたいだけど、正直僕は不愉快極まりない。
「…君、嘘が下手だね」
「はい…?」
僕の言葉の真意が分からず、一瞬だけ彼の動きに隙ができた。
「風の舞・服斬り」
僕はベルラインに向かい、三日月のような鋭い風の刃を複数、振りかざした。
分身体は5体いたが、僕は確実に本体に攻撃を当てた。そして、斬ったのはベルラインの体ではない。
「へえ…君、ブリーフ派なんだ」
僕は自分の技でベルラインの服を切り刻み、彼をパンツ一丁の裸体にしてやった。
「な、なぜ僕の術を見破ったんですか!あ、ありえない、こんなこと!」
「僕の特殊スキルは『真偽の審判』。
相手の言葉の真偽を確かめる能力なんだ。分身からは君の本音は聞こえない。
それと、君の心の声は嘘が多くて、聞くに堪えなかったよ。
余裕ぶっていたけど、本当は僕に負けることを想定してたんでしょ?」
「な…特殊スキルで私の本体を見抜くなんて…というか、これはさすがに恥ずかしすぎます!
ま、参りました!頼むからこれ以上、僕を辱しめないでください!」
「…勝者、トーマ・イベリス!あと、ベルライン。とりあえずこれで体を隠せ」
そう言ってデューイ先生はベルラインにタオルを投げつけた。
涙目になりながら去っていくベルラインに、僕は「僕たちのクラスメイトを馬鹿にしたお返しだよ」とこっそり呟くのだった。
「トーマ選手、お見事でした。これにて、ベスト8の闘いを終了といたします!
15分の休憩の後は、準決勝・決勝・3位決定戦を続けて行います!
選手の皆さんの闘いを、最後まで応援しましょう!」
これで準決勝に残ったのはガイル、シエン、クランベリー、トーマの四人となった。
誰も予期せぬ、波乱の闘いが始まる。
ここまで読んでくださり、いつもありがとうございます。
魔闘志大会の話は長いので、今回は文字数を短めに設定しました。
お話を書いているうちに、いつのまにか準決勝はSクラスの独壇場になってしまいました。
次回もお楽しみに♪




