77話 穴があったら入りたい
77話 穴があったら入りたい
「いやー、久しぶりだね」
「そうだな」
俺はマンゴーパフェなるものを食べながら、悠木に相槌を打つ。
「ちょっと気まずいね、あはは」
「いや俺が必死に思ってても言わなかったことを、そんな軽々と言うなよ」
「そりゃそうだよね~」
悠木はアイスコーヒーを飲みながら相槌を打ってくる。
というか、気まずいことに対して普通に触れてくるのね。そっちの方がありがたいんだけどさ。
「というか、そのマンゴーパフェ美味しそうじゃん。一口ちょーだい」
「いや、いいんだけど」
「ん?、どうかしたの?」
また俺としたことが、一瞬間接キスの事を意識してしまった。これは重症だな。
あの病院の先生に診てもらった方がいいかもしれない。
冗談だけど。
「なんでもない。ほら、やるよ」
「え~、食べさせてよ~」
「何言ってんだよ、普通に食えるだろうが」
「いいじゃん、そのくらい」
悠木の声が少し大きいせいで店中の人が俺たちの方を見ている。悠木が美人ってこともあるんだろうが。
「ほら、はやくー」
口を開けてパフェを待つ悠木。そして店中の人たちの視線が一気に集まる。
この状況恥ずかしすぎて死んじゃうって。
「あーもう、はいはいやればいいんだろ」
そして悠木にあ~んしてあげる俺。
それにしても、何この感覚‥‥‥。
‥‥‥って、そんな事言ってる場合じゃない。店の皆さんが何故か嬉しそうな表情をしているぞ。間違いなく俺たちのせいなんだけどもね。
「美味しいねこれ!」
「ああ、そうだろ‥‥‥」
ああ、穴があったら入りたい。穴が無くても自分で穴を掘るまであるな。
なんだか顔が熱いぞ。
‥‥‥たぶん久々に外出してるから日焼けだろう。そう思い込む事にすれば恥ずかしさも無く‥‥‥なる訳ないだろ!
「なんか、今日やっぱり面白いね圭太。顔真っ赤だよ?」
「そうか?、日焼けじゃないか?、外出するの久しぶりだし」
「またまた~、照れてるって言えばいいのにー」
「はいはい、そうですね」
俺も一人の男の子だからな、普通に悠木は美人だし。そこは認めよう‥‥‥って自分で言っといてあれだけど、何様だよ。
こんな事言ってたら、学校の連中から非難殺到だろうな。てか今見られてないよな?、和彦なんかが見たら次の日には学校中に広まるから気を付けないと。
水瀬さんの耳に入りでもしたら、俺の部屋の棚の後ろを本当に覗かれかねないし。いや、なんにも特には、無いんだけどね?
水瀬さんで思ったけど、俺マンゴーパフェなんか食べてんのか。悠木はアイスコーヒーだけなのに。しかもジャンボサイズだし。
普通カフェでお話するなら、こんなの頼まないよな?、しかも、さっき家でお昼ご飯を食べたのに。
いつのまにか水瀬さんに影響されていた?、悔しいから今度水瀬さんにおもいきり大食いしてもらおう。それを見る事で俺は違うと安心させてもらおう。
そうだ、そうしよう。悪いのは全部あの人だ。俺は悪くない!
‥‥‥うん。
‥‥‥なんかごめん。
俺は心の中の水瀬さんに謝った。




