75話 そんなことより
75話 そんなことより
「あー‥‥‥、聞くタイミング逃しちゃったな」
今日は水瀬さんから本音を聞き出すチャンスだったのに、あの人相変わらず変な人だった。俺の周りには変な奴ばっかりだな。
俺が変‥‥‥っと、これは考えない様にしとこう。
にしても麗奈のやつ、嫌がらせかってくらいのタイミングだったぞ。こういう時だけ、恋愛漫画みたいな事が起きやがって。
なんかこう自分にプラスになるような事で起こしてくれよ。死にかけるのはジャンル違うって。ハードすぎるじゃん。
例えばもっとエッ‥‥‥って、なんだ?
俺のスマホからメールの着信音が鳴った。
誰ですかねこんな時間に。もう夜中の1時だぞ。
悠木【暑いね】
悠木【そんなことより退院おめでとう】
ついに来てしまった。そんなことよりっていうのは悲しいけど。
しかも夜中の1時にだぞ。あいつも悩んでたのかな、なんて返すか。
すぐは返信して来なかったってことはそいうことか?
牧野【ありがと。おかげさまでビンビンだ】
とりあえずここはお茶を濁しておこう。すぐ本題に入るのは気まずいし。
悠木【そうなんだ、ビンビンなんだね】
牧野【おう、ビンビンだぜ】
‥‥‥ん?
悠木【まあそんなことよりさ、明日出かけない?】
あー、そういう感じね。
‥‥‥って、そんなことより、か‥‥‥。
◇◇◆◇◇
「お兄ちゃん、退院したばっかりなんだから家に居なきゃダメでしょ?」
あー、なんて声掛ければいいんだろ。別に俺はなんとも思っては無いんだけど、悠木が相当気にしてたっぽいからな。
気まずいな~。
「ねえ、聞いてる?」
‥‥‥う~ん。
ルリさんの事を聞いてもいいのだろうか。あの感じじゃ絶対あの二人で話したりしてるだろうしな。
俺がルリさんと姉妹だったんだな、とか言ったら悠木が気まずいんだろうか。
やっぱり今日は体調悪いって言って断るか?
「もおー、絶対わざとでしょ!」
「あ、聞いてたよ」
「じゃあ、返事しなよ。私はお兄ちゃんが出かけるなんて許しませんからね。もう家から外出禁止!」
「過保護な親かお前は、外出禁止はもう毒親だな」
「お兄ちゃん、外出したら入院する羽目になるんだから」
「それは言い過ぎだろ流石に」
確かにこんな短期間に二回も入院したら心配するか。いい妹を持ったな、うんうん。
「それじゃあ、行ってくるよ」
「だから行かせないからね」
麗奈が玄関の前に立ちはだかって来た。
可愛い門番だな。
「じゃあ、麗奈が悠木に伝えてくれよ。うちの兄は今日から箱入り息子ですって。箱入りどころか缶詰ですからって」
「‥‥‥今日悠ちゃんと出かけるの?」
「ああ、悠木が昨日出かけようってさ」
「そう‥‥‥、よろしい。今日は特別に外出の許可を出します。悠ちゃんを待たせちゃうでしょ?、早く出かけなよ。ほらほら、急ぎなよ」
‥‥‥え?
「どうしたんだ急に。悠木から賄賂でももらってんのか?」
「何言ってるのお兄ちゃん。なに意味分からない事言ってるの?、高校一年生が夏休みに家に籠ってるなんて妹として恥ずかしいだけよ」
「えー‥‥‥」
そして俺は麗奈から追い出されるように家から出た。
「はい、じゃあお兄ちゃん行ってらっしゃい。悠ちゃんの事よろしくね。ばいばーい」
バタン、と勢いよくドアを閉めた麗奈。
「あ、お土産でコンビニで私の好きなグミ5個くらい買ってきてね」
またドアを開けてそう麗奈が言ってきた。
グミ5個って‥‥‥、主食がグミの人かな?
そして、俺は待ち合わせ場所に向かって歩き出した。
ちょっと気まずいけど頑張るか。
‥‥‥帰りたい。
【まずは、この作品を読んで頂きありがとうございます!】
「面白かった!」
「続きを読みたい!」
「この後どうなるのっ‥‥‥?」
と思われた方
下にある☆☆☆☆☆から、この作品への応援をお願いします。
面白かったら星5つ、面白くないと思われたら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。制作の励みになります。
何卒よろしくお願いします。




