第2話 遊園地
「水族館行きたい。」
「遊園地の予約取ったのはどこの誰だと思ってるんだ。」
「一樹...?」
「七夏だろ。」
「私がチケット取った...
私がお金払ったし行かなくても一樹は損しないでしょ。
今からでも水族館にしようよ。」
「お金がどうこうの問題じゃなくてだな...
とりあえず、ここから水族館まで電車使っても2時間くらいかかるし
どうせ移動中にまた遊園地行きたいとか言い出すだろ。」
「うぅん。そんな気がするようなしないような。」
「そこせめてはないと言い切ってくれ。」
「それは無理かなぁ。だって私の気分なんてその時にならないとわからないしね。」
なんで誇らしげに言ってるのかは相変わらず謎である。
言うことを聞いてあげたい気持ちもあるが七夏の気分のせいで結局遊べなかったというのは避けたいのでこのまま遊園地に入らせよう。なんやかんやで遊園地楽しみだったしな。
今日が学校の創立記念日での休みで平日なこともあって遊園地はかなり空いていた。
これはかなりラッキーである。七夏と遊園地で遊ぶ上で最も厄介なのが待ち時間なのである。待っている間に七夏の気分が変わろうものなら別のアトラクションにまた1から並び直さなければならない。1回それで1度もアトラクションに乗らずに帰ったのはいい思い出だ。遊園地の楽しみはアトラクションだけではない。待ち時間にだらだろと他愛もない会話をするのも大きな楽しみだろう。だからといってアトラクションに1回も乗らないのは常識的に考えておかしい気もするが。そんなことを考えていると
「一樹、あれ乗ろ」
七夏が指を指している方を見る。
「やめとけって、お前絶叫無理だろ。どうせ乗り終わったあと気持ち悪い帰りたいとか言い出すんだろ。」
「いや、今日はなんかいける気がするんだよね」
「その根拠は?」
「ない。」
知ってた。
「まぁ俺は絶叫嫌いでもないから乗ってもいいけど本当に大丈夫なんだな。」
「一樹ってば心配しすぎなんだって。」
そしてジェットコースターのほうに行くと待たずに乗ることができた。
遊園地でアトラクションに乗れたことに喜びを感じている自分がいた。
絶対感覚麻痺ってるなこれ...
「いやぁ楽しかったなぁ。久々に乗ったからちょっと怖かったけど。」
「ねぇ一樹。」
あ...すべてを察してしまった。ねぇ一樹と七夏に呼ばれたとき、その8割は嫌なことが起こるのである。そして今日はいつもより声が小さい。つまり
「怖かったし気持ち悪いし帰りたい。」
知ってた。(part 2)
「だから大丈夫かって聞いたのに。なんで乗ろうと思ったんだよ。」
「気分...」
それも知ってた。こんな感じのやりとりには段々とデジャヴを感じるようになっていた。そんなことは一旦置いといてこの後どうしよっかなぁ。
「七夏、この後どうする?」
「帰る。」
「却下。」
「なんで。」
「気分。」
「それ言っていいの私だけだから。」
七夏はムスッとした顔でそう言ってきた。
ほんとに俺が幼馴染じゃないかつボッチじゃないなら速攻で縁切りたくなるようなやつである。なんでこの子こんな感じで友達多いんだろうか。
「てかさ、元気なってね?」
「あ、確かに。」
「なんで自分で分かってないんだよ。
じゃあ次どうする?」
「帰る。」
「それはほんとになんでだよ。」
「冗談だってば。」
「危ない危ない、冗談じゃなかったら一発殴るとこだった。」
「あんた可愛い乙女に何しようとしてるのよっ」
「自分で可愛いとか言うなよ。」
いやまぁ、実際可愛いけど。
七夏は可愛いが故にその性格を知らない下心丸男子からよく告白されている。
時々イケメンから告られてたりもするけど頑なにyesを言わないことで有名だ。
そして一部の女子から滅茶苦茶嫉妬されてたりもする。
俺もなんで七夏が誰とも付き合わないのか不思議に思うことだってある。
「実際可愛いって思ってるんでしょ。どうなの?」
「可愛くないことはない。」
「何その言い方、もしかして照れてんの?
一樹君かっわいい〜」
「照れてないし可愛くもねぇよ。」
「一樹、お腹すいた。」
「お腹すいたの前になんか触れろよ。」
すると七夏は突然手を繋いできた。
「どうしたんだよ急に。」
「ん?なんか触れろって言われたから手に触れてみただけだけど。」
「私なんか変なこと言いましたかみたいな顔で見つめてくんな普通に変なこと言ってるから。」
「はいはい、変で悪かったですねー。一樹は何か食べたいものある?」
「ほんとに悪いと思ってるのかよ...
食べたいものだっけ?七夏が食べたいものが食べたい。
どうせ自分から言っても気分じゃないって言われそうだし。」
「え〜ひど。じゃあご飯なしでいっか。」
「いやお腹すいたんじゃなかったのかよ。」
「それは過去のことだよ、一樹。」
「空腹が何も食べずにおさまることがおかしいんだよ。」
「そうなの?まぁせっかく遊園地来たし早くどっか次行こ。」
その後もなんやかんやありながら無事楽しむことができた。
水族館に行きたいなんて言われたときはどうしようかと思ったがなんやかんやで七夏も楽しそうだったし俺も楽しかったしで満足だ。
そして俺たちは駅に到着していた。
「ねぇ一樹。、水族館行きたい。」




