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ダンジョン攻略JK配信者、配信の切り忘れに気づかず特級モンスターを一方的にボコった結果伝説となる  作者: Lunatic/夜桜カスミ
第一章 規格外JKの無双配信

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過剰な威力でボスを吹っ飛ばせ

「へぇ……男の人って、そんなに太ももとか好きなんだ。……正直に言うよ? 女子高生にそんなこと打ち明けるとかキモくない?」


 てくてくと下層を散策感覚で進みつつ、サーチ&デストロイでモンスターをしばきまわすこと一時間。

 休憩を挟もうとキャンプチェアを取り出して昼食を食べていると、カメラが正面にあることもあって再び姫乃の太ももについて触れるコメントが増えた。

 ちょっと引きながらどうしてなのかと色々聞いて、正直に告白をしたコメントを読んで、それに対する返答がこれだ。


”ひでぇwwwwww”

”姫様から聞いておきながらその反応は酷いよwww 仕方がないけどさぁwww”

”いやまあ、マジでJK相手にそんな癖を開示するのは変態の所業だけども”

”その太ももでニーソを履いているのも悪いと思うの”

”過去配信だと、ガーターベルト着けてる時もあったし、割とマジでぶち壊しにかかってることもある”

”あとは、男ってのはどうしても女の子に膝枕されたいという願望も抱えてたりするから。姫様は特にそういう願望が向けられやすいんじゃない?”


「膝枕ねぇ……。ボクのマネージャーもおうちに泊まりに来る時、毎回要求されてるんだよね。ボクもマネージャーのこと好きだし、別にお願いされても『またか』って思うだけだし」


 美雪が姫乃の家に遊びに来る時、決まって必ず膝枕を要求される。

 ふわふわのクッションとかもあるのに、それを無視して真っ先にやってくる。

 自分ばかりやってあげているし、たまには自分の方から美雪にお願いしてやろうかと考えていると、にわかにコメント欄が騒然としていることに気付く。


「マネージャーは男なのか? ううん、女の子だよ。あれ、このこと言ってなかったっけ? マネージャーといっても企画の相談に乗ったりとかする程度だけどね。中学からの同級生で、ボクの親友ー。めっちゃ美人さんで、若干ダウナー系みたいなところもあるんだよね。あのちょっとクールな感じが好きなんだよねぇ」


 声も女子ににしては低めで、一緒にいると安心する。

 マネージャーが女の子と分かってから、今度はコメント欄が「てぇてぇ」だの「キマシタワー」だの、よくわからないコメントであふれかえる。

 よくわからないが何か変な妄想をさせる餌を与えたようなので、これ以上深堀させるのは避けることにする。


 お昼として持ってきたサンドイッチを平らげて、食後の紅茶を水筒の蓋をカップ代わりにして飲んでから、試験運用の続きを始める。

 ケルヴァーグやトリガルドス、妖鎧武者、キマイラ、フランケンシュタインの怪物など様々なモンスターが次々と出てきてデータを集められるが、何故かミノタウロスだけが全く出てこない。


「何でここまであの牛頭に会わない」


 日本の妖怪がベースになっているであろう大鬼を、持っている岩の大剣ごとハンマーでフルスイングしてぶっ飛ばした後、ハンマーを肩に担ぎ嘆息しながら零す。

 ミノタウロスはどのダンジョンにも存在が確認されている。そのため下層に生息するモンスターの中では最もポピュラーだと言っても過言ではないのだが、どういうわけか今日は全く遭遇しない。

 日本中のダンジョンのモンスターは最近増加傾向にあり、遭遇しないわけがない。

 それなのにミノタウロスのミの字すら見当たらない。索敵には引っかかっているので、どういうことなのかわからない。


「リアルラックが悪いわけじゃないんだけどなぁ。むしろ割といいほうの部類なはず」


 下層全体を通してみても、第一階層からいるにもかかわらず最強格の一つに数えられるミノタウロス。それと武器を交えたりしてみたかったのだが、ここまで遭遇しないのならば仕方がない。

 ここはもう諦めてさっさとボス戦に行った方がいいだろうと、ボス部屋のほうに向かって歩き出す。

 爛れた大狼竜はもう倒し過ぎて飽きたので、今来られても面倒なだけなので別に来なくていいと思っている。

 そう思っている時に限って索敵に反応があるのだから、面倒くさいことこの上ない。


「お前もういいって。もう飽きたって。ひと月の間に三体目とか胃もたれするって」


”あいつ一応特級なんだけどなぁwww”

”奴は特級の中でも最弱……”

”マジで姫様相手だと最弱級に弱いんだよな”

”下層最深部にいるとはいえしょせんは下層のモンスターだからな”

”深層ボス級の竜種モンスターソロで行ける姫様の目には、ただのでっかくてくっさぁ♡なオオカミにしか映ってないんだろうな”

”姫様は別にメスガキじゃないだろ!”


「そ、そろそろあの件については忘れてくれると……」


 黒葛原晴章に向けてやってしまった、慣れない煽り。あの一件以降、定期的にメスガキをやってくれとスパチャが投げられることがある。

 最初はメスガキの意味が分かっていなかったが、雑談配信中に意味を調べてしまい、赤スパを投げてまで要求してきた人を本気で憐れんでしまった。

 あれの何がいいのだろうかと本気で疑問に思いながら、かつあの件を蒸し返されて恥ずかしさで顔を赤らめながら、真装を変形させて弓を作る。


「腐れ狼はもう飽きたから、ここから仕留めるわ。全放出(フルバースト)───弓撃(フェイルノート)


 弓形態専用の魔力カートリッジを取り出し、それをつがえる。溜め込まれている魔力を全開放し、弓そのものを強化し魔力の矢を形成する。

 限界まで引き絞り、奥の方から姿を見せた大狼竜に狙いを定めてつがえていた矢を放つ。

 初速で音速を置き去りにしてソニックブームを発生させ、瞬く間に間合いを食い潰した矢が大狼竜の頭を吹き飛ばし、胴体も巨大な風穴を開けて貫通していく。


「おぉう……」


 自分で作っておきながら、想像以上の火力にビビる。

 今日はもうブーツと魔剣の強化機能でどこまで行けるのかを試して終わるつもりだったが、弓矢を使ってみてよかった。

 これは必殺の一撃になりうる代物だなと上機嫌になりつつ、射線上にあるダンジョン壁に特大の風穴をぶち明けてあるのは目を逸らして見なかったことにする。


「よーし、このまま進んでボス倒しちゃおう。ボスまで倒したら今日の配信は終わり! 組み立てに思ってた以上に時間かけちゃったねー」


 下層最深部のボスはリンドヴルムというモンスターで、雷を自在に操ってくる竜種だ。竜種の中で飛竜種に属しており、しっかりと翼をもっている。

 面白いことにこのモンスターは、前足が二本あるだけで後ろ足がない。姿かたちはかなりワイアームに近く、一部の探索者からは空飛ぶトカゲモドキと呼ばれることもある。

 原典では確か翼すら持たず、よりワイアームとしての面が強かったそうだ。今はなぜ翼が生えているのかはわからない。


 弓にしていた真装を再び剣とブーツにつなぎなおし、襲い掛かってくるモンスターを蹴散らしながらずんずんと進む。

 切れ味、強度。すべてが大幅に上昇しているため、モンスターが敵にならない。

 自分で深層を余裕で突破できるであろう出力に設定して作ったので、下層程度じゃもうどうしようもないレベルになっている。


 あまりにも下層モンスターをサクサクと倒していくため、その進行速度と爽快感にリスナーたちも盛り上がる。

 ツウィーターでまた姫乃関連のワードがトレンド入りしたようで、同接が六十万を超えた。相変わらずとんでもない同接数だと冷や汗を流す。


 本当に散歩のような感覚で下層最深部を踏破し、ボス部屋の前に立つ。最後まで足掻くようにミノタウロスを探し回ってみたが、何故か向こうから全力疾走で逃げられているっぽいので流石に諦めた。


「さてさてさーて。リンドヴルムちゃんはどの属性でぶっ倒そうかな」


 ボス部屋の前に到着した姫乃は、七式真装を繋げた七式魔剣を眼前に掲げながらどれを使おうかと悩み、今まで作ったはいいが使っていない光属性にしようと決めて、先に光属性に切り替えておく。

 刀身が金色に光り始め、ただそれだけでちょっと魔剣というよりも聖剣っぽさが出てくる。

 あとこれの最大出力がどれくらいの威力あるのかを知りたいので、魔力カートリッジを取り出して先にセットだけしておく。


 満を持してボス部屋の扉を開け、中に入る。

 非常に広い部屋の中には、十数メートルという巨体を持つ前足だけが付いている蛇のような胴体に、蝙蝠のような翼をもつ竜が鎮座して待ち構えていた。

 姫乃が中に入ると閉じていた眼を開き、低い唸り声をあげて戦闘体制に移行する。


「こんにちわー、リンドヴルムちゃん。そしてさようならかもね。『全放出(フルバースト)───聖光剣撃(エクスカリバー)』」


 セットだけしていたカートリッジを装填し、魔力を一気に充填。過剰蓄積された魔力を収束させてから放出。光がそのまま刀身を拡大させ、膨大なエネルギーの塊となる。

 大きく振りかぶったそれを、ただ真っすぐ振り下ろす。光の奔流が斬撃となり、まっすぐリンドヴルムに向かっていく。


 開幕早々最大出力のとんでも火力の一撃に、リンドヴルムも「え?」みたいな顔をして、避ける間もなく光の斬撃に両断される。

 目標に着弾した光の奔流は、そのまま通過していくのではなく光の柱となって追撃をかまし体を崩壊させるよりも先に竜の体を焼き滅ぼした。


 たった一撃で下層最深部のボスを吹っ飛ばした姫乃は、流石にちょっとやり過ぎたかもと苦笑を浮かべて反省。

 昔見たアニメの影響でそれを再現したらどうなるんだろうと面白半分で、剣形態の時の大技に組み込んでみたが、これは過剰威力すぎた。

 一撃で大ダメージは入るだろうなと思っていたが、まさかのワンパン。下層のボスともなると深層にいてもおかしくない強さをしているので、一発くらいは耐えると思っていたのだが予想が外れてしまった。


”ワwwwンwwwパwwwンwww”

”エクス……カリバー!”

”もう完全にセイバーやないかい!”

”いや、獅子心王のほうかもしれない”

”どっちにしてもひでぇよwww”

”一瞬だけ見えた、リンドヴルムの「え?」みたいな顔がツボって駄目だ”

”何作った本人も驚いてんだよ!”

”下層モンスをことごとく瞬殺してきてるのに、なんで今更自分で作ったもので驚くんだよマジでwww”


「い、いやぁ~……。めーっちゃ火力高く作ったつもりだったけど、最大出力でここまで行くとは思わなかったと言いますか……。……はい、やりたいこと全部乗っけて若干ふざけました」


 反省はするが後悔はしない。

 とりあえずボスを瞬殺してしまったので、お詫びとしてその場で配信を終わらせずに上層に戻るまでは配信を続けることにした。


 地上に帰還後、配信を終えてお風呂に入って汗を流しさっぱりした後、ツウィーターにリアルサーヴァント降臨というワードがトレンド入りを果たしており、姫乃が元ネタにしたアニメのシーンとの比較映像が激バズりしていた。

 いっそのことあの鎧と聖剣をまるっと再現してやろうかと思ったが、それだと完璧にコスプレになってしまうのでなんだか恥ずかしく思えたため思いとどまった。

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