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ダンジョン攻略JK配信者、配信の切り忘れに気づかず特級モンスターを一方的にボコった結果伝説となる  作者: Lunatic/夜桜カスミ
第一章 規格外JKの無双配信

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七式真装試し運転

 変形武器のお披露目。その言葉だけでリスナーたちが歓喜したのか、すさまじい速度でコメントが流れていく。


「じゃあまずはー……斧形態から片手剣と楯に変形かな」


”やっぱりモンハンじゃないか!”

”ダンジョンの中が割とあの世界と似通ってるところあるから、世界観はあってるっちゃあってるけども”

”もうなんだっていい! 早く! 早く変形シーンを見せてくれ!”

”どんな音がするのかが楽しみすぎる!”

”どうガチャガチャ変形するのかが楽しみ”


 早くしろとせかすようなコメントがガンガン流れてきたので、もったいぶらずにさっさとお披露目する。

 柄に魔力を流し込み、ボルトアクションとは別に取り付けてあるレバーが飛び出てくる。それを掴み、引っ張ってギミックを動かす。

 ガチッ、という音を立てた後斧の刃の部分が一切の隙間をなくすように畳まれ、斧を固定しているパーツが一部外れ柄にある溝に沿って滑るように移動しながら降りてくる。

 裏面にある楯の持ち手を掴み、そこに魔力を流しながら持ち手を捻るとロックが解除されて、畳まれた斧部分を上に引き抜くように分離して楯になる。

 残った柄には肉厚の刃があり、武骨で飾り気のない大き目な片手剣となっている。


「斧から片手剣への変形は問題なしだね。重さもちょうどいい」


 ブンブンと試し振りをしながら、取り回しに問題がないかをチェック。重心も重さも問題はなく、ちょうど自分に向かってきているモンスターがいたのでそれで威力などもチェックした。

 楯の方もしっかりと隙間なくできており、防具としても優秀。しかももとは刃なので、側面で殴れば相手を切ることもできるおまけつき。


 そのあとも片手剣から刀、刀から野太刀、大剣、双剣、ハンマー、銃火器、ブーツ、ガントレットと次々と変形。

 それぞれに対応しているパーツが背中に待機しているものから補充され、必要ないパーツが背中に移動して待機。理想通りの動きをしてくれる。

 最後に全てのパーツを背中に集め、これで七式真装が完全に完成したと証明する。


”最高だ……”

”パーフェクトだ、姫様”

”変形する時の金属同士がぶつかり合う音が素晴らしい……”

”なんというロマン兵器を作ったんだ……ほしい……!”

”待機状態もかっこいいなクソ!”


 リスナーたちの反応も上々。自作のものが褒められることが嬉しく、ついついにやけてしまう。

 ここまでしっかり動いてくれるのなら、七式魔剣や雷霆軍靴への接続も上手くいくだろう。ぶっつけ本番で試しても問題はなさそうなので、早速このまま本格的な試運転を開始する。


 いきなり斧を振り回すのは普段のスタイルと違い過ぎるので、ここはまずは使い慣れている片手剣の形態にしていこうと、パーツを呼び寄せて変形させる。

 ついでに両腕にガントレットとしても装着しておき、万が一剣の間合いよりも内側に入ってこられた時用に対策しておく。

 剣を使っていることの方が多いので剣士と思われがちだが、姫乃は割と何でも器用にこなす万能型なのであった。


「さてさて、お試しにはもってこいなやつがこの階層だとミノちゃんが一番なんだけど、もう少し奥に行かないとダメかな?」


 配信を始めた時点で既にダンジョン内にいたので、リスナーたちは今の今まで姫乃がどこにいるのか知らないでいた。

 配信開始してから数時間が経過してようやく、姫乃がいる場所が下層であることが明かされて、なんでそんなところでのんきに武器の仕上げをしていたんだとツッコミを入れられる。

 当然モンスターが接近してきていたのだが、邪魔されないように離れた場所に自立戦闘人形型魔導兵装を複数設置。更に一定範囲内に入ってきたモンスターを自動迎撃する魔導兵装も使っていたため、カメラの画角内に姿が映ることはなかった。


 片手剣と楯に分けていた時の試し切りは、完成していたし自動迎撃はもう必要ないと判断していたからやってきた。

 そのモンスターも中層から出てくるモンスターだったので、姫乃が明かすまではずっと上層か、行っても中層だと思われていたようだ。


「だってこの武器、中層とかで使うには過剰威力なんだもん。下層で、まあいい的になるモンスターが来るかな、レベルのものだからさ」


 などと話しているうちに索敵に反応があった。大きいものが一つ、こちらに向かって走ってきている。

 望んだとおりミノタウロスが来たかとパッと一瞬笑顔の花を咲かせたが、すぐに違うと分かりむすっとする。


「ゴォオオオオオオ!」

「トリガルドスかー。あいつも硬いから試し切りとかにはもってこいではあるんだけど、突進しか強くないからなぁ」


”その突進がやばいから下層最強格なんて言われてるんだよ!”

”流石はめのっさん。いろんなモンスターボコしすぎてやばいこと言いだした”

”こいつ、姫様の配信に登場する時決まって遠いところから走ってきてんなぁ。芸がない”

”もう既に姫様に毒されてるリスナーいて草”

”バズってから毎日姫様見に来てれば十分姫様カラーに染め上げられますよ”

”二週間もあれば姫様一色に染まるのも、太い太ももに癖ぶっ壊されるのも十分すぎる”


「ねえ、みんなってやけにボクの太もものこと言うけど、ボクちょっと気にしてるんだからね? コンプレックスって程でもないけど、太い太いって言われて気にならない女の子なんかいないんだから」


 トリガルドスの突進をひらりと回避して壁にぶつけさせ、動きを止めてからリスナーたちに苦言を呈する。

 可愛いと言ってくれるのは嬉しい。どんな時だって自分磨きを怠ったことがないので、その成果として可愛いと褒められるのは嬉しいことだ。

 しかし、胸を少しでも育てようとしていたのになぜかそこではなくお尻と太ももが育ってしまったことは、ちょっとした悩みだ。

 美雪からは、柔らかいしいい感じの低反発枕みたいになってて膝枕してもらうと一瞬で寝られると言われているが、だとしても太いのは気にしてしまう。


 なのに騎士団員(リスナー)はそれで癖が壊されただのよくわからないことを口走っており、褒められているのか何なのかよくわからない心境だ。

 少なくとも悪く言っているわけじゃないのは確かなので、強く怒ろうにも怒りにくい。


「グウゥ……!」


 壁に激突したトリガルドスが低い唸り声をあげて振り向く。

 ミノタウロスのほうが、武器を持っているのでそれで切り結ぶことができて強度テストにもちょうどいいのだが、あまり贅沢も言ってはいられない。

 トリガルドスだって正面は硬いし、そこ以外も正面よりは比較的柔らかいだけで十分硬い。

 ここは耐久性テストではなく破壊力テストにするかと構え、トリガルドスはガシュ、ガシュ、と前足で地面をひっかいてから突進を仕掛けてくる。


 下層より先のモンスターと戦うことを想定して作った七式真装。真価を発揮するのは魔剣と接続した時だが、単体でもめちゃくちゃ強くなるように作った。

 下層最強格と呼ばれるこの三角竜にどれだけのダメージを入れられるかと、突進を回避せずに自ら前に踏み込む。

 衝突しないように体を少し横にずらし、左脇に構えた真装を突っ込んできた三角竜の顔面に叩き込む。

 突進の威力と姫乃が武器をふるう勢い。この二つが合わさり、鋭い包丁で絹豆腐でも切るかのようにするっと刃が通り、上下に両断してしまった。


「わお」


 深層以上のモンスターとの戦闘を想定していたので下層程度じゃ瞬殺だろうと思っていたが、想像以上の殺傷能力を発揮してくれた。

 こいつはすごいやと、血が全く付着していない真装に目を落とし、これなら問題なく使い倒せるなと笑みを浮かべる。


「一応、片手剣ってそこまで切れ味特化にしてるわけじゃないんだけどね。これ、刀形態とかだとどうなるのかな? ダンジョンの壁とか切れちゃいそう」


 そう思ったら好奇心が湧き上がってきて、ものすごく試したくなってしまった。

 別にダンジョンは誰のものでもないし、壊れたところで勝手に修復されるものなので、やっちゃってもいいだろうと片手剣形態から刀形態に切り替える。


「ふむ、流石に押し当てるだけじゃ無理だよね。へし切長谷部じゃあるまいし」


 まずはダンジョンの壁にぐっと押し当ててみた。切れ味特化の形態とはいえ、押し当てるだけではどうにもならないようだ。

 なら思い切り振りかぶってからはどうだと上段に構えると、また索敵に反応があった。しかもまたでかい。

 今度こそはミノタウロスかと思って反応がある方を向くと、ミノタウロスではなくキマイラが来た。


「なんでミノじゃないの!?」


 別に運が悪いわけではないはずだ。むしろ運はいいほうだとは思っている。

 なのに何で今一番来てほしいものではなく、何とも言えない微妙なものが来るんだとがくりと肩を落とす。

 とはいえ、キマイラも下層の中じゃかなり厄介な方だ。ライオンの頭にヤギの頭と胴体、そして蛇の尻尾を持つ混合の怪物。

 特にヤギ頭のほうは目を合わせると精神汚染を仕掛けてくるので、近接戦メインにしているとやりづらい。

 尻尾の蛇も、身を亡ぼすレベルの催淫性の毒を流し込んでくるし、かといって離れているとライオン頭の方から炎を吐きだしてくる。


 近付いたらヤギと目が合うかもしれないし、そっちばかり警戒したら蛇に噛まれるし、近付かないでいたら炎で攻撃してくる。めんどくささの塊みたいなやつだ。

 なのでまずはヤギ頭を潰すことにする。


「いきなり使うことになるとは思わなかったなぁ」


 背中のパーツを寄せて鞘を作り、刀を納める。

 鯉口を切り、腰を深く落として構える。いわゆる、抜刀術の構え。そこに、鞘に魔力を流し込んでギミックを作動。納められている刀に魔力が充填されていく。

 目を閉じる。広げた感知能力で位置と大きさを把握。どう動くのかが手に取るようにわかる。

 短く息を吸い、吐き出す。無駄な力みを抜き、柄にそっと手を添える。


 キマイラが動き出す。ライオン頭がそれらしい声を上げながら走り出してくる。

 そのタイミングに合わせて、勢いよく抜刀。鋭く素早く抜刀されたその一撃は、刀身に魔力をまとわせてその間合いを大きく拡張させている。

 魔力の刃が音を遥かに置き去りにする速度でキマイラのヤギ頭に接近し、反応されるよりも早く首を刎ね飛ばした。


 確かな手ごたえを感じた後、すぐに目を開けて地面を蹴って急接近し、キマイラの前足を両方切り落とす。

 バランスを崩し顎から地面に倒れると、蛇が噛み付きに来たので首を掴んで捕まえ、引っ張って尻尾を張ってから根元から切り落とし雑に放り投げて捨てる。

 地面に顎から倒れている残りのライオン頭も、炎を吐きだそうとしていたので脳天から刀を突き刺して命を刈り取る。


「さっきよりも切る時の抵抗感がないね、これ。……げっ」


 片手剣以上の切れ味を発揮しておりこれはすごいなと思いながら、ふと視線をキマイラの後ろの方にやると、その壁には斜めに大きな裂傷が刻まれていた。

 魔刃竜レイザルドの尻尾と角の素材も使っているとはいえ、まさかここまでの切れ味を見せてくれるとは思わなかった。

 これで本質は強化なのだから、自分で作っておきながら末恐ろしい。


「さってー。一通り全部試していきたいけどそれだと時間かかるし、最後に魔剣ちゃんとブーツにくっつけて、強化したらどこまで行くのか試してから終わろうかな」


 刀を分解してパーツに分けながら左手で七式魔剣を抜き、背中にあるパーツを集めて雷霆軍靴と魔剣に接続する。

 片手剣だった魔剣は片手半剣ほどの大きさになり、軍靴も膝丈のニーハイブーツになる。

 地面を軽く蹴りしっかりフィットしているのを確認。その場で軽く蹴りを数回繰り出して、調子を確認する。


「大丈夫だね。素で結構な強化入ってるねぇこれ。下層の上の方のモンスターだと、ただの蹴り一発で瀕死か即死にもっていけるんじゃない? ……うっ、ただこれものすっごい蒸れるな」


 繋げてみて分かったが、通気性は最悪だ。中に熱がこもっていくのが分かり、ここは要改善だなと息を吐く。

 性能を落とさずに通気性を上げるにはどうすればいいかと、頭の中で設計図を描きながら修正を繰り返しながら進む。


”姫様の蒸れたブーツ……”

”意図していったわけじゃないの分かってるけど、そこは男の悲しい性……”

”現役女子高生のそういうのって需要あるみたいなのよく見かけるけど、そういうのって創作の中だけの話だろwww”

”ああいうのは創作の中だからいいのであって、リアルのはちょっとね”

”でもリアルにそういうのがち収集して捕まった、みたいな事例があるのが怖いんだよ”

”お前ら現役女子高生相手に何妄想してんだ!?”


 なんかやけにコメント欄が変なコメントにあふれていたので、にっこりと笑顔で「蹴り飛ばすぞ変態ども」と忠告しておいた。

作者が勝手にやってる『勝手にQ&Aコーナー』


Q.姫様はダンジョンの壁普通に壊してるけど、他の探索者でもできる人いるの?


A.いないわけでもないけど、めっちゃ少ない。最上位クラスの呪具や魔剣とかでも、無理に壊しに行こうとすると傷をほんの少し付けるだけで武器のほうがお亡くなりになる

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