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ダンジョン攻略JK配信者、配信の切り忘れに気づかず特級モンスターを一方的にボコった結果伝説となる  作者: Lunatic/夜桜カスミ
第一章 規格外JKの無双配信

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魔導兵装を仕上げる配信

 黒夜のクラマスの息子の黒葛原晴章が訳の分からないことを言って、姫乃がそれをメスガキになりながら正論パンチしたら襲われたので返り討ちにし、その後黒夜が何をトチ狂ったのか自分の息子の悪事を棚に上げて姫乃を訴えると言い出してから一週間が過ぎた。

 結構ガチみたいだったので若干ビビりはしたものの、近頃配信に来るようになった敏腕弁護士の岡崎サトシから、訴えが通ることはまずないから安心してほしいと言われて安堵した。


 そのあとも、配信に荒らしとして黒夜の人間と思しき人の批判コメントや、ツウィーターの投稿にもアンチコメント等が付けられるようになったが、無視。

 配信に関してはモデレーターを美雪と桜華、あとは古参リスナーである漬け物さんこと「味噌漬けたくあん」と、ジョーズさんの二人にモデレーター権限を持たせて、配信の治安を維持していた。

 その甲斐もあってこの一週間は平和なもので、のびのびといつも通り配信ができた。

 なお、黒夜は炎上が鎮火するどころか、また最近何か馬鹿なことをやったのか余計にひどくなっているらしい。もう黒夜の話題には飽き飽きなので、NGワードにしたりミュートにすることで見ないようにしている。


 そんななので、今日も今日とていつも通り配信を行うのだが、今日はただモンスターを殲滅して回りながら解説する配信ではない。


「みんなー、こんひめー! 今日も配信に来てくれてありがとー!」


”こんひめー!”

”姫様こんひめ!”

”一キロ先からスナイパーのスコープで覗き込んで照準を定めながらこんぷに”

”この日を待ちわびていた”

”いつも同接えげつねえけど、今日はいつも以上に人がいるぞ”

”そりゃあんな告知されたらなぁ……”

”やっぱ大量の加工職クラスタが張り付いてるっぽくて草”


 背景はいつも通りダンジョンの中。格好も普段の姫騎士風の衣装だけ。なのに同接はいつも以上の勢いで膨れ上がっており、もう既に十五万というとんでもない数字をたたき出している。

 それもそのはず。姫乃が今からやろうとしている配信は、魔導兵装を仕上げるというものなのだ。


「昨日告知した通り、今日は魔導兵装を仕上げていくよん。パーツはほぼ作ってあるし、あとは仕上げて形にしていって動作確認するだけなんだけど」


 そういいながらドサドサと今作っている最中の魔導兵装の本体とパーツを、雑に取り出して地面に置く。

 ちなみにダンジョンで仕上げをする理由は、何かしら失敗したらあの家が消し飛んでしまう可能性があるので、それを避けるためにダンジョンに来ている。


「今回作るのはこれー。七式魔剣(イリス)雷霆軍靴ケラウノス・コトルノスを強化するだけでなく、これ単体でも普通に武器として運用できる万能兵器、七式真装(エヒトグライフェン)ちゃんでーす」


 と言いつつも、一部出来上がっている七式真装の形状は姫乃くらいの大きさのバカでかい両手斧である。

 七式魔剣や雷霆軍靴を強化すると言って見せたので、リスナーたちもその斧に困惑している。


”どっからどう見てもくそでかい斧なんですが”

”組み立て途中のガチャガチャしてるの、すっげえ厨二心をくすぐる”

”見ただけじゃどんなもんなのか全くわからん”


「言ったでしょー。これは七式魔剣とボクのこのブーツを強化するって。先にネタばらしするけど、これ変形武器です」


 変形武器といった瞬間、若干コメントが遅くなってから一気に流れ始める。やっぱり男の子って、そういうのが好きなんだとにまーっと笑みを浮かべる。


「そうだよねそうだよねぇ。男の子って、こういうの大好きだよねぇ。今はまだこれを動かすことはできないけど、完成させたらそのまま試運転でこのダンジョンのモンスターぶちのめしていくからね」


 予定としては、まずは七式真装の武装機能のみでモンスターをぶちのめして回ってから、そのあとで七式魔剣と雷霆軍靴の強化を試すという形だ。

 どんなものになるかなーと楽しみにしながら組み立て用の道具も出していると、魔剣に軍靴はギリシャ語なのに、なんでそれを強化する真装はドイツ語なんだと突っ込まれた。

 響きだけを重視しているので特に深い意味はないし、かといって厨二病というわけじゃないからと言い訳を並べてみるが、妙に温かいコメントにあふれてしまい恥ずか死にそうだった。


「よし、それじゃあ組み立てていきますか。じゃあまずはこの柄の部分にこのボルトアクション用のレバーを組み込みます」


 今はまだ長い柄だけだが、後々これに斧の部分を付け加えていく。ボルトアクション式のレバーを付けるのは、魔力を流すだけでギミック作動させると事故りそうなのでその保険と、あとは趣味だ。

 上機嫌に鼻歌を歌いながらガチャガチャと必要なパーツを組み合わせていき、レバーの取り付けを完了する。

 戦っている時は邪魔になるので、必要な個所に魔力を流さない限りは飛び出てこない仕組みになっている。


「よしよし、引っかかりもない。こうすれば……うん、柄に隠れるように折りたたまれるね。んで、ここにこうして魔力を流せば……」


 レバーを飛び出させるために魔力を流すと、ガション! という音を立ててレバーが飛び出る。それを掴んで、もう一度ジャコンッ! ジャコンッ! と音を立てながらレバーをいじる。

 簡単な動作確認だけだが、十分滑らかに動いてくれている。


”うわあああああああああああああああ!? ボルトアクションレバーの音気持ちええええええええええええええええええええ!?”

”耳が……耳がぁ……! 幸せぇ……!”

”なんて素晴らしいものを……”

”メカメカしい見た目の兵器に、ロマンたっぷりボルトアクション……! 最高過ぎる!”

”これで変形武器ってんだから、ロマンが致死量詰め込まれてる”


 ロマン信者なリスナーたちは、音が最高にぶっ刺さったようで大盛り上がりを見せている。確かにこの音はたまらないだろう。

 姫乃が持っている魔導兵装の中に、当然銃器系のものも存在している。ガトリングもあるが、スナイパーや拳銃がやや多い。

 スナイパー系は全部ボルトアクションに統一しているし、拳銃はリボルバー。中にはトンプソン・コンテンダーのように、高威力の弾丸を一発ずつしか撃てないものもある。


 引き続き真装を組み立てている時、ふと、どうして自分はこんなにロマン武器が好きになったのだろうと思い返してみるが、特に思い至らなかった。

 強いて言えば、父親の影響で見ていたアニメが原因かもしれないが、それだけだとソースに欠ける。

 うーんと唸りながらも、やっぱり思いつかないのですっぱり考えるのをやめて、作業に集中する。


 次に組み立てたのは、斧の部分だ。ここが非常に細かいうえに厄介で、組み立てていくのにかなり神経を使った。

 きっちりと魔力を通して属性を発露させるための回路を繋げないといけないので、手が少し震えるたびに手を離しては深呼吸を繰り返していた。

 時には組み立てたのを一度分解して最初からやり直したりもした

 そうして斧部分の組み立てを始めてから三十分ほどが経過。


「やっっっっっっっっとできたっ! はー……神経使ったー……」


 額ににじんでいる汗を雑にぬぐい、一息つく。この部分を組み立てることができてしまえば、あとは楽勝だ。

 柄と組み合わせて魔力がしっかりと全体に満遍なく行き渡るのを確認し、試しに柄のボルトアクションの弾倉部分に、微量に魔力を込めた専用カートリッジを放り込み、ガチャンッ! と音を立ててレバーを押し戻す。

 すると斧の部分のギミックが作動し、ガシャン! と音を立てて少し広がるように展開。できた隙間から微弱な電撃が流れ出て、それが斧の刃の形を取る。


「よしよし、成功だね。あとはこれをボクの収納用魔導兵装とリンクさせて……いや、いっそこれ専用のものを作って、レバーを引くのをトリガーにして自動でカートリッジを装填できるようにするか。よし、それは家に帰ってからやろう」


 残りの作業は、発生させた属性を増幅させる機構、大魔を取り込みそれを小魔に変換する機構、変換された小魔を蓄積させる機構などの取り付けに、内部機構を保護するついでに物理攻撃力の向上させる外装の取り付けだ。

 一番面倒だった斧部分を終わらせたので、ここも鼻歌交じりで手早く進ませる。作業に集中するあまりコメントにあまり反応できていないが、姫乃が油などの汚れに一切気を使わずに楽しそうに作っている様子を見ているだけで、リスナーたちは楽しいようだ。


 必要なパーツを全て繋ぎ終えた後、試しで軽く武器を振ってみる。

 振った時に変な音がしないか。繋ぎが不十分で金属がぶつかり合う音がしないかどうか。パーツごとに干渉せずにギミックがきちんと滑らかに作動するかどうかなど、戦わずともできるチェックをその場で終わらせる。


 チェックを終わらせた後は、他にも色んな武器に変形させるためそれに必要なパーツを組み上げていく。

 剣形態、槍形態、銃器系形態、楯形態、等々。変形させる予定の武器種ごとに必要なものが違ったりするので、予備も含めてかなりの数になっている。


「こういう時、アイ〇ンマンのト〇ー・スタークの家みたいな設備があればいいんだけどね」


”おうちだったらできるだろうけど、失敗したら家が壊れかねないからねぇ”

”そのうち効率化するために、持ち運び可能な組み立て設備を作りましたとか言いそうなのが一番怖い”

”機械じゃできない細かいところは姫様がやって、それ以外の組み上げとかは機械アームに任せるとかはそのうちやりそう”

”そんな映画の世界じゃないんだからwww ……と、姫様に会う前は言ってたけど、姫様と出会ってからはそれが否定できなくなってしまった”

”姫様が割と常識壊してくるからねぇ”

”常識をぶっ壊す魔導兵装でも持ってます?”


「人のことを非常識みたいに言わないの。自分でも魔導兵装の火力壊れてるのは自覚してるけど、それくらいはないと深層とか深淵とか、その先の奈落、無間なんて攻略できないでしょ」


 夢想の雷霆の初代クラマス、『雷神』雷電美琴。世界最強の特級探索者として名をはせ、彼女が現役で活動していた時代では世界で唯一深層をソロで探索可能の人物だった。

 ひとたびダンジョンに潜れば、膨大な深層の情報を地上に確実に持ち帰ってくる。そこに『機神』フレイヤ・ロスヴァイセ、『瞬神』剣城綾人、『風刃』十六夜美桜、『剣聖』刀崎華奈樹(とうざきかなた)、『炎姫』燈条灯里、『月姫』ルナ・エトルソス、『トライアド』の立花慎司、蒼峰和弘、氷城彩音の三名。

 世界で最初に深層第一階層を突破した際に組んでおり、のちに夢想の雷霆に移籍した元ブラッククロス所属のパーティーメンバー百名が加わることで、深層の最下層まで突破。

 その先の深淵も第四階層までは攻略済みで、この記録は未だに破られていない。


 そんな最強クランでも、深淵の完全攻略はできていない。なんでも、雷電美琴が深淵第五階層に足を踏み入れた瞬間、これ以上進むのは危険だと判断して引き返し、それ以降深淵の攻略にやや消極的になってしまった。

 理由は今でも判明していないが、最強の雷神が攻略するのをあきらめたことから、深淵の最下層には雷神すら上回る化け物がいるとまことしやかにささやかれている。


 姫乃はそんなダンジョンを、世界で七つだけ確認されている奈落と二つだけしか確認されていない無間まで攻略したいと思っている。

 探索者として活動しているからというのもあるが、それ以外にも、というか『それ』が姫乃の活動の動力源である。

 深層程度で苦戦するようではその先には進めない。そのためにも、過剰と思われる火力をたたき出せる武器が必要なのだ。あとは、自分の持つスキルに会った武器も。


「目標は無間の攻略。この七式真装の制作も、それに向かっての一歩に過ぎないよ」


 しっかりとネジなどを専用の自作したインパクトドライバーでがっちりと締め、パーツを組み立てる。

 これくらいの簡単なものなら雑談しながらでもできるので、適当に色々と雑談を挟みながら着々と完成に近づけていく。

 そうして配信を開始してから二時間半ほどが過ぎたころ、全てのパーツの組み立てを終わらせて、七式真装が完成する。


「じゃーん! どーよこれ!」


 ちょっとカッコつけて斧形態の七式真装を地面に突き立てて、空いている左手を腰に当てる。

 これに接続していない余分なパーツは姫乃の左肩に集まっており、飛膜のない翼のような形状になって待機している。

 体を少し動かすと、しっかり離れずについてきている。真装を振り回してみると、決して邪魔にならないように動いており、戦っている最中にこれに邪魔されて動きが鈍るということもなさそうだ。


「うんうん! これはいい出来だね! それじゃあ次は……皆さんお待ちかね、これの変形シーンのお披露目と行きましょー!」

作者が勝手にやってる『勝手にQ&Aコーナー』


Q.姫様はなんでこんなにロマン信者なの?


A.尊敬している人がフレイヤちゃんだから

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