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ダンジョン攻略JK配信者、配信の切り忘れに気づかず特級モンスターを一方的にボコった結果伝説となる  作者: Lunatic/夜桜カスミ
第一章 規格外JKの無双配信

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軍勢vs過剰威力

 早速雷属性の魔剣で『大雷(ブロンテ)電光石火(アキレウス)』を使い、雷の槍のように軍勢に突っ込んでいく。

 解説を挟んでいるとどんどん人形を追加するので、本気を出して残りの三百体を出される前にケリを付けてしまいたい。


 七式魔剣の大雷状態は魔力消費が凄まじい。爛れた大狼竜を倒す際、救援要請者の桜華を助けに向かう時とピンボールのように跳ね回りながら使ったので五分もなかったが、魔剣に溜め込んでいる魔力を食い尽くした。

 速度を上げるということは、自分の肉体に回す強化の分の魔力も上げるということ。とにかく速度を最優先にした結果、消費に対して供給が追い付かなくなった。

 先ほどモンスターハウス内で使った時は、三分以内に終わらせたので魔力切れを起こすこともなかった。


 軍勢に突っ込んでいくと、次々と人形が姫乃に向かって攻撃を仕掛けようと動き出すが、少しだけ本気を出している今の状態だとその動きはあまりにも緩慢だ。

 振り上げられた腕が下ろされるよりも早く動き、瞬く間に人形を切り伏せていく。

 捕まえようと取り囲もうとしてくるも、それもすり抜けるように脱出してから再び突っ込んでいって次々と切り伏せる。


 これまでにあったマリオネット系のモンスターの造り出す人形よりも、遥かに硬くなっている。

 生半な武器では逆に武器のほうを消耗させてしまうが、姫乃の作った七式魔剣はとにかく荒く使いまくることを想定して作ったため、めちゃくちゃ硬い。

 どれくらい硬いのかというと、先ほど蹴りだけで倒したトリガルドスの突進を食らっても刃こぼれしないくらいには硬い。あとあの角を柔らかくなったバターを切るかのように切ることができるくらい、切れ味もある。


”次々と人形が倒されていく光景は、まさに圧巻の一言だな”

”もう既に百体くらい倒しててワロタ”

”モンスターハウス瞬殺もそうだったけど、雷使ってる時の速さはマジでパネェ”

”これできちんと調整とやらが済んだら、魔力切れを起こさずにずっとこの状態で走り回ってくると思うと恐怖でしかない”

”最速の英雄の名前を冠しているんだ。弱いわけがない”

”雷の軌跡みたいなのしか見えてなくて草。雷になって移動してるわけじゃないのに早すぎるっぴ”


 まだ少しだけ余裕があるのでコメントを見ると、俯瞰視点で撮影されているのを見ているリスナーが、姫乃の姿を全く捕らえられずにいることに唖然としていた。

 本物の雷となると、最速でも光速の半分ほどとなる。そうなるともはや何をしているのか全く分からなくなる。夢想の雷霆の初代マスターは、雷神の名に相応しく雷となって自在に駆け回り、雷を自由自在に操っていたという。

 流石にそこまでとはいかずとも、リスナーの言う通り最速の英雄であるアキレウスの名に恥じぬよう、この魔剣で使う雷属性が最速になるようにしておきたい。

 今はこの雷属性のデータが少ない。あまり時間はかけられないが、おあつらえ向きに軍勢様がいてくれるのでここでそれをそろえてしまうことにする。


「とはいえ数が少し多いんだよね。かと言っていっぺんに減らすと最大数まで出してくるし。こうして見るとめんどくさいボスモンスターだねこいつ」


 武器の耐久テストとか火力テスト、防具系の魔導兵装の性能チェックとかにはもってこいなので、結局足しげくここに通ってしまうのだが。

 一体のモンスターが操っているとは思えないほどバラバラな動きで迫ってくる人形を、切り付け、蹴り飛ばし、殴り、粉砕する。

 抱き着こうとするのを後ろ回し蹴りで粉砕し、正面からとびかかってきた二十ほどの人形を落下してくるまでの一秒足らずの間に全部切り伏せて、剣の間合いの内側に入り込んできたものは出力を30%まで開放した雷霆軍靴で左足で回し蹴りを食らわせて粉砕。


 一度距離を取るように後ろに下がろうと思ったが、包囲するように人形がいるためめんどくさいな! と心の中で叫びながら右足で蹴りを放って強引に道をこじ開ける。

 開けた瞬間に一瞬で包囲を突破し、少しだけ距離を取る。するとレギオン本体が、人形そのものを砲弾として飛ばしてきた。

 レギオンはただ人形を造り出し操ることしかできず、それ以外に魔術などは一切使えない。

 なので遠距離攻撃を持っていないと思われがちだが、人形を操ることができるということはそれを使い捨ての砲弾のようにすることもできる。


 硬い人形が飛んでくるのをバックステップで回避しつつ、跳躍して壁に足を付ける。そこに次々と人形が放たれてくるが、姫乃はさも当たり前かのように壁を高速で走り、人形砲撃を回避する。


”なんか壁走ってる!?”

”マ〇カワールドじゃないんだから!”

”あの速度で動けているからこそ、壁を走れるんだろうな……”

”実は某忍者漫画のように、ちゃんと張り付いているとかだったら笑える”

”姫様はあれの再現やろうとしたけど失敗したって嘆いてたよ”

”じゃあマジで速度で解決してるのかよwww”

”生身で時速何百キロ出してるんだよ”


「次々と人形を造り出しては飛ばしてくるから、事実上弾無限なのインチキだよね。おかげでどこにいるのかは大体把握できたけど」


 姿は隠されて目視はできないが、次々と人形を飛ばしては壁に当たって砕け、新たな人形を造り出してまた飛ばすを繰り返しているため、どこにいるのかは把握している。

 あとは本体を直で叩き潰すだけだが、あまりあっさりしすぎるのも面白くない。なので時間をかけず、かつリスナーを驚かせるように倒してしまいたい。


「『七式換装(タクティカルリロード)』」


 なので付けたはいいけど使い道がなかった機能を使うことにした。

 必要な個所に魔力を流し込むと、撃鉄と引き金が両方出てくる。先に撃鉄を起こし、その次に引き金を引く。

 この機能は、七つの属性を持つ七式魔剣の長所を生かそうと思い取り付けてあるもの。それは高速で属性を切り替える、あるいは二つの属性を同時に扱うというもの。

 今回使ったのは同時ではなく高速切り替え。雷を一度引っ込め、炎に切り替える。


「『大焦熱(フレゲトン)滅炎刃(スルト)』」


 属性が変わり、雷が炎に変わる。灰色ゴリラに見せた時とは規模が違う炎を噴出し炎の尾を引きながら壁を蹴って跳躍して地面に降りる。

 変わらず人形を飛ばしてくるが、それを避けるでもなくより一層炎を大きくしてから、三日月を描くように薙ぎ払う。

 壁際に近いところからの炎の濁流は、ボス部屋の六割ほどを埋め尽くす。

 高い硬度を持つ人形は炎の濁流に飲み込まれ、少しの間は耐えたが七式魔剣から放たれる炎は見た目以上の温度と破壊力を持ち、あっという間に破壊されていく。


「『大雷(ブロンテ)電光石火(アキレウス)』」


 剣身にまとっていた炎が消えると同時に雷に切り替わる。

 正面に人形はない。本体の位置は大体把握済み。あとは真っすぐ突っ切るだけ。


「『大雷(ブロンテ)脚撃(ヴォーダン)』」


 間に合わなかったらまた面倒なことになってしまうので、ブーツで脚力を超強化。

 電光石火と脚撃の両方が合わさり、雷鳴のような音が轟く。その瞬間、既に姫乃はマリオネット・レギオンの本体の胸の中心に剣を突き立てていた。


「ッ、ッ、ッ……!」

「ふんっ」


 胸を貫かれてもなお足掻いて人形を造り出そうとしてきたので、剣を振って上に放り投げてから、落下してくるのに合わせて右足の─蹴りを胴体にぶち込む。

 できていた傷にクリーンヒットし、人形と同じような材質でできていた体がその傷から砕けていく。

 本体が倒されたことで、百も残されていなかった人形が一斉に塵となって消える。すべてに核石があれば嬉しいのだが、あれはあくまでレギオン本体が作り出した被造物。

 核石がなければ素材も落とさない。なのに数だけは無尽蔵にあるため、下層の最初のボスでありながら全てのモンスターの中でもっとも割に合わない存在だろう。


「はい、これで下層第一階層踏破完全完了! この機能も十分に使えるし、調整を完了させることができたらすごい火力になりそう」


”すげええええええええええええええええええええええ!?”

”レギオンをソロでこんなに早く討伐するとかマジ?”

”黒夜のごみカスどもも、強いやつそこそこ揃っててソロでやってなくはないけど、ここまで早くないしここまで派手じゃない”

”しつもーん! タクティカルリロードって何ですかー!?”

”銃に弾残った状態でリロードすることを意味する言葉だし、雷が炎になってすぐ雷に戻ったのを見る感じ、属性の高速入れ替えかな”

”ダンジョンの下に行けば行くだけ、七式魔剣のぶっ壊れ具合が判明していく”

”雷もヤバいけど炎もヤバい。そしてそれを造り出す姫乃ちゃんが一番ヤバい”

”ヴォーダンを主に攻撃に使ってたけど、本質は脚力の強化だからそれを移動に使うとか贅沢な使い方だなぁ”

”一度に数減らすと最大の千体を同時に作って出してくるから、一度に減らしてからその隙を与えずにとどめ刺しに行くの流石”

”もう雷が落ちたのかと思うくらいの音なってて草”


 ソロで五分もかけずにレギオンという単体にして軍勢のモンスターを倒したことで、コメントは大盛り上がり。

 同接は二十八万という数字をたたき出し、登録者数もゴリゴリに増えている。もし収益化していたら、この配信の広告収益だけで一体いくらになったのか、スパチャもあったらいくら来たのだろうかと想像し、ちょっと楽しみになりながらも何か恐ろしいことをリスナーにされそうだと背筋を震わせる。


「レギオンの核石はー……あったあった。深い青の核石。これ一つでめちゃくちゃお金もらえるんだよね。あまりにもおいしすぎるから、第一階層なこともあってしょっちゅう狩られてるんだよね」


 レギオンの核石は拳大程度とゴリアテのものと比べるとかなり小さい。だが下層という地獄のようなエリアのボスのものなので、状態にもよるものの最低価格で百万はくだらない。

 この大きさで百万なんて、なんて素晴らしいんだと最初こいつを倒した時は思ったが、よくよく考えると千の軍勢を相手取っておきながら最低でも百万って、かなり割に合わなくないかと気付いた。


 なので配信をしていないころは軍勢を相手にせずさっさと本体を見つけるか、軍勢を消し飛ばして人形を造り出した瞬間に本体を仕留めるなどをして、徹底的に手間を省いた。

 その結果五分以内で最低百万という破格の分給を獲得。以降はレギオン相手はそう戦うようにしている。

 今回は配信ということもあり、最初は少しだけ人形を倒す光景というのを見せたが、すぐにいつもの倒し方がしたくなったので七式換装を行い一気に殲滅した。

 効率度外視の雷と高火力の炎。高速で切り替えての仕様だったため、剣の魔力が底をついてしまっている。


「これの定石ってなんだろうね。こんな超範囲攻撃の兵装作るまでは、人形をとにかくぶっ壊して回りながら本体が出す糸を探ってたけど」


”レギオンがいるダンジョンは、高火力な術が使える魔術師とか呪術師を連れていくのが定石だよ”

”術師に人形を削ってもらいながら索敵してもらって、前衛が打ち漏らした人形の排除。本体を捕捉してからは術師に人形殲滅に専念してもらって、前衛アタッカーが仕留めるって形をとるのが定石”

”魔術が強い人は近接が弱くて、近接強いと魔術に弱い傾向にあるから、どうしても二人か三人で組む必要があるんだよね”

”姫様はそれを剣一本でやってのけたけどね”

”解決方法がごり押しの脳筋すぎる”

”ごり押しがめのっさんの醍醐味だから”


 ちゃんとパーティーを組むと面倒な手順を踏むんだなと心の中で思いながら、魔剣を鞘に納める。

 下の層へ続く階段を邪魔する者がいなくなったので、他に回収し忘れた素材とかないかをざっと確認してから、意気揚々と第二階層へと足を踏み入れた。

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