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ダンジョン攻略JK配信者、配信の切り忘れに気づかず特級モンスターを一方的にボコった結果伝説となる  作者: Lunatic/夜桜カスミ
第一章 規格外JKの無双配信

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上層超爆速攻略

”お? なんだなんだ?”

”このルートって確か……”

”中層への最短ルート進んでますねぇ!?”

”一昨日下層にいたおーちゃん助けてたし、姫乃ちゃん以外にいなかったの分かってるけど、改めてソロで下層行こうとしてて戦慄”

”一部であれがいまだにやらせ疑惑出てるから、証明のためにも下層にはいったほうがいいんだろうけど、普通はソロで行くような場所じゃないからわかってても心配”

”姫さまー! がんばってー!”

”下層まで行くのはもはやデフォルトなんだよな、めのっさんって”


 上層には雑魚モンスターが大量に湧いており、姫乃からすればちょうどいい準備運動になる。

 このダンジョンには地上から下層最深部まで直通のエレベーターがあり、実力を認められた探索者やパーティーであれば、それを使って一気に下まで行ける。

 姫乃も許可をもらっているので使用できるが、今回は使わない。いつも同接二十人前後だったのが、例のバズで爆発的に増加。現時点で五万七千人というとんでもない数字をたたき出しており、これは今日行われているすべての配信の中でもトップ10に入る数だ。


 二桁どまりだったのが一気に五桁の同接を得る。昨日の雑談で多少慣れたとはいえド、それはあくまで雑談。こうした攻略配信の時とは違う。

 なので画面の向こうにある約六万もの視線になれるため、今回はあえて上層から配信を始めたのだ。


「あ、また索敵にかかった。上層とはいえ遭遇しやすいなぁ。……原因は分かってるけど」


 日本三大クランと呼ばれているものがあり、それは夢想の雷霆、レッドドラグーン、ホワイトレイヴンの三つだ。

 夢想の雷霆は雷神と呼ばれている女性探索者が発足させ、瞬く間に世界最強とまで呼ばれたクランだ。人数が圧倒的に多いとかではなく、一人ひとりが反則級の強さを持ち、魔導兵装というジャンルの創始者である機神もこのクランの所属だった。


 誰もが認める、国内最強の三つのクランにクランマスターが代替わりしてもなお世界最強の座に残るクラン。そんなクランを面白く思っていない、はた迷惑なクランが一つ存在する。

 そのクランの名前は黒夜(シュヴァルツナハト)。日本三大クランに匹敵する規模と実績を持つが、それを帳消しにするほどの超絶ブラッククランだ。

 脅迫恐喝は当たり前。所属探索者に常識を疑うレベルのノルマを課し、上げた収益の大半を納めさせてクランマスターとその幹部が甘い汁をすすっている。


 最近あまりのブラックさに業績が著しく低迷しており、反して雷霆、紅竜(レッドドラグーン)白鴉(ホワイトレイヴン)の業績は終始右肩上がり。

 それが面白くないのか、つい最近黒夜が変な暴走状態に入り構成員以外の探索者に対して露骨な嫌がらせや妨害などを行い始めたのだ。

 戦っているモンスターを横から攻撃して横取りしてくるのはまだかわいいほうで、酷いと遭遇率の低いレアモンスターを横取りするため、ご法度とされている探索者への意図的な攻撃や、ドロップアイテム等の強奪まで行っている。


 あまりにも酷い迷惑行為や違反行為を繰り返しているため、行政や政府、ギルドが対応するまではダンジョンに潜るのを控えようという空気が、日本全体の探索者の間に流れている。

 ただそうなると、モンスターを倒す探索者がいなくなってしまい、モンスターは倒されずにどんどんその数を増やしていく。

 モンスターの数が増えると、縄張り争いなどが頻発し他のエリアや他の階層に移動するイレギュラーが発生する。最悪の場合、地上に出てきてしまうこともあり得てしまう。

 探索者は一獲千金の夢を見てダンジョンに潜る。持ち出されて換金される素材やアイテムは、ダンジョンとは何なのか、モンスターとは何なのかを解明するための研究に用いられるが、それ以上の役割はモンスターの数を減らし、地上に出てくることを防ぐことなのだ。


 なので、上層とはいえ潜って十分程度ですぐにモンスターと遭遇したこの状況は、黒夜の迷惑違反行為のオンパレードが原因で、モンスターの数が増えていっている証拠なのだ。


「数は……七体かな? まあ、上層のモンスって雑魚だし大した問題じゃないんだよね。核石は小さいけど、ちりつも貯金の足しにもなるしね」


”もはや上層モンスを貯金箱に入れるお金にしか見てないの草”

”特級倒せるとそりゃあね……”

”そもそも準備運動にちょうどいいとか言ってるんだし、今更今更”

”つーかマジであのクソボケクラン、本当にいい加減にしてほしいわ。警察もギルドも、どう考えたってやっちゃいけないことやってるの分かってるのに、なんで逮捕に踏み切らないんだか”

”モンスターが増えて喜ぶ人はいるにはいるけど、多くは増えて困るからなぁ。囲まれる率上がるし”

”って、おい。今やってきているモンスターって”

”ご、ゴブリンだ!?”

”なにぃ!? 高飛車な姫騎士を数でボコって「くっ、殺せ!」を言わせるモンスター代表の、あのゴブリンだとぅ!?”


「何を盛り上がってるのさ変態諸君!?」


 迫ってきているのがゴブリンだと分かった瞬間、コメントが急に盛り上がり始める。


「ゲッゲゲゲゲゲ!」

「ギッヒィヒヒヒ!」

「オ゛ッ! オ゛ッ!」

「……ゴブリンの声って、何度聞いてもちょっとキモイんだよね」


 こいつらの生態は知っている。力は弱く知能も低いが数だけは多く、徒党を組まれると実は意外と厄介なモンスターだ。

 特徴として、異常なまでに高い性欲と異常なまでに高い繁殖力を持ち、種族問わずに種付けを行い一週間ほどで出産を行わせる。

 人間もこの被害に遭う女性もおり、年間で数百人ほどがこの被害に遭ってしまっている。

 ゴブリンに凌辱され、女性として心を殺された挙句怪物の子を産まされる。しかも一週間で出産する上に一回に五体ほど生まれてくるので、救出が遅れると体がボロボロになってしまう。

 これがきっかけで自ら死を選ぶ人も少なくなく、女性探索者は特に駆け出しのうちはパーティーを組むことを推奨されている。


 ゴブリンは知能が低く連携も取ってこない。ただ自分の醜い肉欲をぶつけるためだけに、腰に巻いた布の下に隠れている汚らわしいもので布の一部を押し上げる。

 実に気持ち悪いと嫌悪感を隠さず、速攻で処理してやろうと鋭く踏み込んで七式魔剣を鋭く一閃。

 首の骨の間を綺麗に断ち切り、首を跳ね飛ばす。頭を失い絶命したゴブリンは、その体を塵に変えぼろぼろと崩れていく。


 正面から嬉しそうな笑みを浮かべながらガタガタになっている錆まみれのなたを振りかざし、大きくとびかかってきたゴブリンを鎌のように鋭い回し蹴りを首に叩き込み、地面に思いきり叩きつける。

 今の一撃で首の骨が折れたようでそのまま体が崩壊していく。

 ゴブリンは不利になるとすぐに仲間を呼び始めるので、雑魚とはいえ面倒なのでさっさと倒してしまおうと、心臓にある魔力刻印から魔力を体中の魔術回路に流し込み、肉体を強化して身体能力を底上げする。


 より鋭く早く、そして強く地面を蹴って踏み込み、反応できずにいたゴブリンを胴体から真っ二つに両断。

 左右から偶然挟み込むように同時に仕掛けてきた攻撃は、空いている左手でゴブリンの首根っこを掴み強く締めあげながら、右側のゴブリンに向かって全力で投げつける。

 二体仲良く壁に叩きつけられ、起き上がる前に強烈な─蹴りをお見舞いして蹴り潰す。


 瞬く間に五体もやられてしまいうろたえていた二体のゴブリンは、仲間を呼ぼうと叫び声を上げようとしたが、させまいと一足で距離を詰めて喉を潰すように剣を突き立てる。


「ギャ───ガボッ!?」


 素早く剣を引き抜き、少し離れた場所にいたゴブリンが叫び声を上げようと口を大きく開けたが、七式魔剣を媒体として魔術を発動。

 口の中に直接氷を生成して物理的に声を出せないようにした後、ゆっくりと歩み寄り唐竹に振り下ろした剣で縦に両断。

 一分どころか三十秒もかけずに七体のゴブリンを瞬殺し、剣を振って血払いをしてから鞘に納める。


「あ、解説挟んでなかった」


 終わってから一切解説を挟まずに殲滅していたと気付き、反省する。


”はっや!?”

”おいおいおい瞬殺だよ”

”嬉々として襲い掛かったら三十秒かけずに消滅しとるんやが!?”

”魔導兵装を使わずにこれかぁ……”

”上層とはいえゴブリン瞬殺www 女の子はゴブリンを見たら、かなりキモがって近付きすらしないのに”

”女性探索者から嫌われているモンスタートップ3相手に、物おじせず冷めた目を向けるのやばい”

”さっきのマリオネットと違って完全に複数対一の状況なのに、かすり傷一つ追わないのはやばすぎる”


「ゴブリンって数は多いけどそれだけだから。大して強くはないし頭も悪いから連携もほぼないし、よっぽどの数に囲まれなければ大したことはないよ」


 ドロップした核石を一つずつ拾い集め、それを腰のポーチの中にしまう。小指の爪程度の非常に小さなもので、換金しても二百円から五百円程度だが、ちりつもは大事だ。


「ゴブリンは今言った通り頭も悪いし力も弱いから、本当に強くない。けど数だけはいっちょ前だから、ベテランとか中堅レベルの人ならともかく、駆け出しの人たちは気を付けるように。特に女の子は、嬉々として狙ってくるからなおさら。その場合の対処法は、手っ取り早いのは範囲攻撃で吹っ飛ばすことだね。次に、連携も何もないし体も軽いから、ボクがやったようにぶん投げて無理やり距離を離したり、判断速度とか必要になるけど、素早く一対一を数の分だけこなすとかかな。これは慣れてこないとおすすめしないやり方だけど。あと、不利になると仲間を呼び始めるから、叫び始める前に喉を潰すか物理的に口をふさぐといいよ。氷とか水の魔術がおすすめ」


 戦いながらできなかった分の解説を軽く行いながら、核石も回収し終えたのですたすたと先に進み始める。

 ゴブリンは創作の中だと雑魚筆頭の扱いを受け、事実雑魚の部類ではあるが、徒党を組まれると危険度は割と上がる。

 もう流石に今の姫乃からすれば、数百円程のお金を落とす貯金箱程度にしか見えてないが、魔力を会得したばかりの駆け出しの探索者は身体能力もその丈夫さも、アスリート並み程度にとどまる。


 ダンジョンに潜ってモンスターを倒すだけでそこまで身体能力は上がるが、モンスターはそれ以上だ。

 雑魚雑魚と言っているが、魔力を持たない一般人からすればゴブリンは脅威そのもの。あくまで探索者からすれば雑魚なのであって、それ以外からすればクマなどの猛獣と鉢合わせたのと変わりない。

 あまりにも簡単に倒してしまう探索者が多いので、結構勘違いされがちなところではある。なので認識をどう改めるべきか、姫乃も考えることがある。


”さっき物理的に氷で口ふさいでたし、確かにそういうやり方もありだな”

”本人と武器スペックいかれてるだけで、めっちゃまともな解説なのギャップすごい”

”女の子がゴブリンに怯えるのもいいけど、それは創作の中で十分やしな”

”てか進行速度はえぇよwww これすぐに中層行くだろ”

”なんでこんな逸材が埋もれてたんだマジで”


 コメントが盛り上がっているので見ると、同接がまたさらに増えて七万まで増えていた。


「な、なんかすっごい数人が来ててびっくり。えーっと、初見さんもたくさんいるし、来てくれてありがとー! みんながファンになってくれるよう頑張りますっ」


 これはチャンスだとぐっと拳を握って意気込む。可愛いというコメントが大量に流れ、そのあまりの多さに恥ずかしくなって顔を赤く染め上げる。

 一昨日までは割と底辺あたりをうろうろしていたチャンネルが、こうして一気にトップ層まで押し上げられたことが嬉しくて仕方がない。

 絶対に退屈なんてさせないようにしようと張り切り、上層でも見ごたえがあるように立ち回りながら下へと進んでいく。


「ストンプ・オーストリッチだね。発達した足で蹴りを放ってくるけど、ダチョウと同じでシンプルバカだから、ちょっとかく乱すればこの通り」

「クェ!?」


 普通のダチョウより足が太いダチョウ型モンスター。本物のダチョウと同じで脳みそが目玉より小さく空前絶後のシンプルバカなので、少しかく乱するだけで動きがおかしくなり、そのまま首をはねる。


「リッパーストートかぁ。前足の爪が鋭いから、警戒するべきはそれだね。立体的に跳び回りながら攻撃してくるけど、直線的な動きしかできないしほぼ確で死角から攻撃してくるから、それさえわかればこの通り」

「ギャ!?」


 オコジョの見た目のリッパーストートは、背後からの攻撃をさっと避けて通り過ぎる前にしっぽを掴み、壁に思いっきり叩きつける。頭から行ったので、そのまま体が崩壊していく。


「お、ダートパペット。リトル・マリオネットと同じで本体がいて、泥みたいな人形作るんだよ。看破の方法はマリオネットと同じだよ。ってことでお前だ」

「アァアアアアアアアアアアアア!?」


 リトル・マリオネットの泥人形版のダートパペットは、マリオネットと同じ方法で本体を見つけ出して、剣を槍のようにぶん投げて倒した。


「うわくっさ。こいつはシンプルにめっちゃ臭くて害のあるガス出してるから、近寄らないのが正解。こういう場合は魔術とかの遠距離攻撃がベスト。あとは、転がってる石とかでもいいよ」

「ぎゅむっ!?」


 異臭を放つガスベッジは、吸い込むと強烈な吐き気に襲われるガスをまき散らす害悪。近付くと服や髪に臭いが付くので、それを避けるためにも地面に転がっている石を拾ってそれに魔力を込め、弾丸のような速度でそれをストレートで投げて討伐する。


”いったい何を見せられているんだ”

”うははははははwww 見ろ、モンスターがまるでごみのようだ!”

”上層だってわかってても瞬殺すぎて爽快感パネェwww”

”フェイクって言われてもフェイクよりフェイクしてて逆に信じられない”

”AI生成を疑って申し訳ない。リアルのほうが断然おかしい”

”姫様の「くっさ」いただきました”

”清楚で綺麗なフローラルさすら感じる声で「くっさ」は、もはやご褒美”

”ツウィーターのトレンドに上層爆速RTAが入り込んでて草”


 瞬殺しながらの解説配信は大いに盛り上がり、同接も高評価もどんどん増えていく。

 やっていることはいつもと変わらないし、他の配信者と同じようなこと。それでもこんなに大盛り上がりしてくれるのは、感謝以外の言葉がない。


 進めば進むだけコメントは加速していき、中層の入り口付近まで行くと姫乃のあまりの攻略速度に読んでいる暇がないくらいの速度で、コメントが濁流のように流れていく。


「もうすぐ中層だけど、退屈してない? ちゃんと楽しませてる?」


”退屈させてくれないのはどこの誰ですか”

”最初から最後まで見どころたっぷりだったよ!”

”ほぼ立ち止まらずにずんずん進んでいくの見てて爽快だけど、モンスターサイドからすれば戦車にひき殺されてるようなもんだな”

”ちょいちょい解説入っても意味わからん倒し方してるの遭って腹抱えて笑ったわwww”

”クリップとかもう乱立しまくってるだろこれ”

”ベテランの倍以上の速度で上層クリアしてそうで草”


 きちんと楽しませることはできているようで、ほっと安堵のため息を吐く。

 そのまま中層の入り口までの残りを一気に進む。

 近付くにつれて今は探索者が少ないこともあってモンスターの数が増えていくのだが、しょせんは上層。姫乃の歩みを止めることはかなわず、ひき殺されて貯金箱行きとなる。


「ふぅ、上層攻略完了! 五分くらい休憩ね」


 攻略開始から十八分ほど。中層の入り口付近に着いた姫乃は一息つく。


”はっやwww”

”RTAすぎる”

”流石は姫様!”

”これもう再生数どんなことになってるよ”

”スパチャできるようになってたら、今頃俺は投げまくっていたと思う”


 息も上げず汗も流さず上層を突破したのを見て、本番はまだ先の話なのにまるで本番かのように盛り上がってくれる。

 先ほど七万だった同接は十万を超えており、今もなお数百人単位で増加中である。


「なんか、非現実的すぎてもはや驚かなくなってきた自分が怖い」


 切り抜きがツウィーターのほうに上がっているのかまたトレンドに上がっており、そこからの新規流入が凄まじい。

 昨日からずっと思っていることだが、努力が報われた感じがして嬉しいことこの上ないが、数字が非現実的すぎて一周回って冷静になってきた。


「みんな拡散とかありがとうね! 五分くらいの休憩を入れてから、次は中層に挑もうと思います」


 来てくれている人、拡散をしてくれている人に感謝を述べながら、中層入り口近くの壁にもたれかかるように座り、水筒を取り出して水分補給をする。

 カメラが真正面にいたので、さっと左手でスカートの中が見えたりしないように隠してからカメラを隣に移動させ、五分ほど軽い雑談を入れてから中層に向かって足を踏み入れた。

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