表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/47

第20発明 白銀の魔神 新生・グレートダンベルガーZ誕生なのじゃ

挿絵(By みてみん)


新生・グレートダンベルガーZと伝説の地竜・ア・ラモードが向かい合っていた。


ア・ラモードはゆっくりと首をもたげた。

その目が、金色に光る水晶を捉える。

カルテが息をのむ。

「……大きい」

「ロボットより大きいわね」

カロが静かに言った。

ハリガネが松葉杖を握りしめる。

「博士は大丈夫なのか」

アルは腕を組んだまま答えた。

「……さあ」

その時。

グレートダンベルガーZの胸の水晶が、強く輝いた。

「ライドオン!!」

博士の声が響いた。

光が博士とーーーーアルを包む。

「ちょ――」

ズルズルズルッ。

アルの体が、水晶の中へと吸い込まれた。

カルテが額に手を当てた。

「……またですね」

カロがため息をついた。

「学習しないわね、あの人」

ハリガネが呆然と言った。

「……今のは何だ」

「いつものことよ」



グレートダンベルガーZの内部。

博士とアルが着地した。

博士の全身に銀色のチューブが繋がれていく。

手にグローブ。

足にブーツ。

「またこれか……」

アルは天井を見上げた。

「またあの歌がくるんじゃないだろうな」

「一週間寝ても覚めても脳から直接聞こえる博士の歌声」

「今でもまだ聞こえることがあるんだぜ」

博士が答えた。

「今回はとっておきじゃ」

「嘘だろ!!」

次の瞬間――

全脳域強制共振型音響投射装置――マインドハッカー君から音楽が流れ始めた。


「ダダダッ、ダダダッ ダンベルガー♪」


ではなかった。

静かなピアノの音が流れた。

しっとりとした、甘い旋律。

アルが固まった。

「……なんだこれ」

博士の声が流れ始めた。


「君のことが好きなのじゃ♪」


「「「え?」」」


アルと、外で聞いていたカルテとカロの声が重なった。


「会うたびに胸が熱くなるのじゃ♪」


「浮気したらあかんぞい♪」


「ワシがそばにいるのに♪」


「浮気したらあかんぞい♪」


「許しはしないんじゃ~♪」


広場が静まり返った。

全員が固まっていた。

アルが震える声で言った。

「……博士」

「なんじゃ」

「これは……なんだ」

博士は少し間を置き、少し照れたように頭をかいた。

「......ラブソングなのじゃ」

「かんべんしてくれーーーーっ!!」

外では。

カルテが顔を真っ赤にしていた。

「博士って……ラブソング歌うタイプの人だったんですか」

カロが珍しく言葉を失っていた。

「……知らなかった」

ハリガネが松葉杖を握りしめたまま固まっていた。



ア・ラモードが動いた。

巨大な前足が持ち上がる。

ドンッッ!!!

地面が割れる。

グレートダンベルガーZが跳んだ。

空中でア・ラモードの攻撃をかわす。

着地。

博士の声が響いた。

「行くのじゃ!!」

白銀の巨体が踏み込む。

グレートダンベルガーZの拳が、ア・ラモードの甲羅に叩きつけられた。

ドォンッ!!

衝撃が走る。

しかし――

甲羅は割れなかった。

アルが舌打ちをする。

「硬い!!」

「プリンじゃないのか!!」

「プリンに見えるだけで地竜の甲羅なのじゃ」

「紛らわしいっ!!」

ア・ラモードが頭をもたげた。

口を大きく開ける。

次の瞬間――

ガラスみたいに艶めくなにかが飛び出した。

ドロドロとした、少し茶色がかった琥珀色の重たい液体。

「なんですか、あれ!!」

カルテが叫ぶ。

「カラメルソース!!」

老婆がキセルをひと吹きした。

「記録によれば……ア・ラモードのカラメル砲は触れたものを全て固めるというのじゃ」

グレートダンベルガーZが跳ぶ。

カラメルが地面に着弾した。

ドロドロと広がっていく。

「逃げろーーー!!」

国民たちが後退する。


アルが博士に叫ぶ。

「博士!甲羅が硬くてカラメルまで飛んでくるぞ!どうするんだ!!」

博士は少し黙った。


「恋のシグナル♪」

「青信号♪」

「急停止は~ダメダメなのじゃ♪」

「邪魔だろ、この歌!!」



しばらくの激闘の後。

グレートダンベルガーZはカラメルをかわし続けていた。

しかし甲羅には傷一つつかない。


アルの顔に焦りが浮かぶ。

「……どうする」

博士が静かに言った。

「甲羅の隙間じゃ」

「え?」

「ア・ラモードの甲羅と体の間に隙間があるのじゃ」

「ひっくり返すのじゃ」

アルは一拍置いた。

「……どうやって」

「てこの原理なのじゃ」

「シンプルだな!!」


グレートダンベルガーZが低く構えた。

ア・ラモードが再びカラメル砲を放つ。

今度は躱さなかった。

「博士!!」

「信じるのじゃ、アル」

アルは歯を食いしばった。

グレートダンベルガーZがカラメルを両腕で受けた。

ドロッ。

両腕がカラメルに覆われる。

固まっていく。

しかし――

博士は器用に腕を動かし、カラメルを長い板状に固めていく。

博士の全身の筋肉が膨張した。

チューブが引っ張られる。

グレートダンベルガーZが飛び上がる。

ア・ラモードの甲羅の隙間にカラメルの板を差し込んだ。


「「うおおおおおおおーーーーーっ!!!!」」


博士とアルの声が重なった。

ドンッッ!!!!!

山を使って、てこの原理を利用する。

ア・ラモードの巨体が、宙に浮いた。

そして――

ひっくり返った。

ドォォォォンッ!!!!!!

地響きが広場を揺らした。

ア・ラモードは仰向けになった。

四本の足が空を掻いている。

動けない。

広場が静まり返った。

そして――

どよめいた。


「やった!!」

「ひっくり返した!!」


カルテが跳び上がった。

「博士ーーー!!アル君ーーー!!」

カロが小さく笑った。

「……やるわね」

ハリガネが静かに言った。

「あいつ……いつもこんな修行しているのか」



しばらくして。

ア・ラモードは静かに動かなくなった。

死んではいない。

ひっくり返ったまま、眠ってしまったのだった。

老婆がキセルをひと吹きした。

「記録によれば……ひっくり返されたア・ラモードは次の100年まで眠り続けるとあるのじゃ」

カルテがため息をつく。

「あとでプリン亀がゆっくり眠れるように静かなところにダンベルガーに運んでもらいます」


グレートダンベルガーZが静かに立っていた。

動かない。

アルが中から叫ぶ。

「出してくれ!!」

「……今回は出口を作る予算がなかったのじゃ」

アルの声が低くなった。

「……何に使った」

「作曲を依頼したんじゃ」

「ラブソングのためかーーーーっ!!」

カロが口元に手を当てる。

「作詞は博士なのね?」

カルテはすでにハンマーを用意していた。

「さ、二人を救出しますよ」


老婆がキセルを吹かし一言。

「我ながらいい曲ができたわい」



三時間後。

博士とアルが脱出した。

アルは地面に大の字に倒れた。

「……閉じ込められてる間ずっとあの歌が」

カロがそっとアルの頭に氷を当てた。

「お疲れ様」

アルは目を閉じたまま言った。

「ありがとな」

ハリガネが隣に座った。

「……お前たち、いつもこうなのか」

アルは空を見上げたまま答えた。

「いつもだ」

ハリガネは少し黙った。

「……楽しそうだな」

アルが目を細めた。

「そうか?」

「ああ」

ハリガネは広場を見渡した。

国民たちが笑い合っている。

カルテが博士に何か言っている。

カロがカフェラテを飲んでいる。

「……俺も」

ハリガネは静かに言った。

「治ったら、また来てもいいか」

アルは少し間を置いた。

「当たり前だろ」

二人は並んで、空を見上げた。

こうして博士はレシピを開発した。

今回は新しいお菓子が誕生した。

その名は――


プロテインプリン。

こうしてたけきのこの国に、

筋肉を育てるプリン

が誕生したのであった。


めでたしめでたし。


今日も伊沢博士は研究室で、

ダ・ヴィンチと名付けたマイクを持ちながらつぶやく。

「発明は世界を救う。

だが筋肉は――

もっと手っ取り早く救う。」


カルテがぼそっと言った。

「……博士、ダンベルガーの動力源ってなんなんですか?」

博士は答えた。

「太陽エンジンなのじゃ」

カルテは少し考える。

「それって......ソーラーパネル的なことですか?」

「違うのじゃ、中にちっちゃい太陽を入れとるんじゃ」

「なんか危なそうなんですけど......」


博士のメガネがキラリと光る。

ただ、静かにマイクを持ち上げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ