表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/47

第14発明 激突・大食い・ボンバー亭なのじゃ

グルメ回、グルメ回、グルメ回~♪


「博士……研究のメモじゃなかったんですね」

カルテがため息混じりに言った。

「当たり前じゃ」

博士は新しい皿をぐいっと引き寄せる。

「飯の感想はその場で書かんと忘れる」

「研究と同じくらい大事なのじゃ」

アルが額に手を当てる。

「同じくらいって言ったか今」

カロが何事もなかったかのようにフルーツサンドの二個目を手に取る。

「……まあ、そういう人よね」


その時―――

新たな料理が次々と運ばれてきた。


ジュウっと音を立てて皿に乗せられる。


東の国の名物、大海老の踊り焼き。

香ばしい匂いとともに、赤く艶めく殻が輝く。


西の国の名物、精霊果実のタルト。

色とりどりの果実が宝石のように並び、淡い甘い香りを放つ。


南の国の名物、竜骨スープ。

深い色合いのスープから、湯気とともに濃厚な旨味が立ち上る。


北の国の名物、鉄板蒸し餃子。

鉄板の上で音を立てながら、こんがりと焼き色をつけている。


カルテが目が一気に輝いた。

「すごい、全部揃ってる」

アルが大海老に手を伸ばしながら言った。



挿絵(By みてみん)



「南の竜骨スープか……懐かしい匂いがするな」

湯気を吸いこみわずかに目を細める。

カロが首をかしげる。

「南に行ったことがあるの?」

「あぁ、大会で何度か」

アルはスープを一口すすった。

「ドラゴンの骨でとった出汁はなかなか他所じゃ飲めないぜ」

カルテがぼそっと言った。

「アムレアさんの盾も同じ素材でしたね」

アルの箸が止まる。

「……それ今言う必要あったか」

「すみません」

素直に頭を下げるカルテ。

カロが精霊果実のタルトを一切れ取りながら言った。

「これよ、これ」

一口食べて、ゆっくりと目を細める。

「実家の味には及ばないけど……悪くない」

カルテが隣からそっと覗き込む。



挿絵(By みてみん)



「カロさん、甘いもの食べてる時だけ表情が違いますね」

「そう?」

「すごく穏やかです」

カロはカルテを見て、少し間を置く。

そして――

「……あなたといると穏やかになるのよ」

カルテが一瞬固まる。それから頬をほんのり赤くした。

「そんな......私、何もしてないですよ」

顔は静かに首を振る。

「してるわよ」

カロは一言。

「気づいてないだけ」

アルが鉄板蒸し餃子を頬張りながら横目で見た。

「……珍しくいいこと言うじゃねーか」

カロは即座に返す。

「うるさい」


―――その時。


「おかわりっ」

また博士の声がした。

三人が振り返る。

そこには――

さらに高くなった皿の山。

横目で見ながら、カロがほほ笑む。

「ほんとよく食べるわねぇ」

視線をカルテへと向ける。

「でも、よく食べる男の人って――いくつになってもかわいく見えるものよ」

カルテが少し戸惑ったように返す。

「そう......ですかぁ......?」

アルがすっと立ち上がった。

「……負けてられるか」

「アル君?」

「俺も食うぞ」

カロが眉をひそめる。

「急にどうしたの」

アルは袖をまくった。

「6連覇の東の拳士が、食い物で負けるわけにはいかねぇ」

カルテが小声でカロに言った。

「勝負になると思いますか」

カロは静かに首を振った。

「ならないと思うけど」



――それから一時間後。

テーブルの上には、空になった皿が山のように積み上げられていた。

アルは椅子にもたれ、天井を見上げている。

「……参った」

完全に力尽きた。

だが―――

博士はまだ食べていた。もくもくと。

時折メモ帳に何かを書きこんでいる。

カルテが皿を数えた。

アル、二十一皿、博士、八十三皿。

「博士……」

カルテが恐る恐る聞いた。

「お腹は大丈夫ですか」

博士は顔もあげずに答えた。

「まだいけるのじゃ」

アルが虚ろな目で言った。

「化け物め」

カロが紅茶を一口飲んで言った。

「止めなかった私たちも大概ね」

四人の笑いが、食堂に広がった。



食事が終わり、四人は食堂を出た。

夕暮れの通りを、並んで歩く。

カルテが大きく伸びをした。

「食べすぎました……幸せです」

アルが腹をさすりながら言った。

「次は絶対負けない」

「言ってなさい」

カロが涼しい顔で言った。

博士はすでにメモ帳を開いていた。

「ボンバー亭の巨大イカのフライ……花丸じゃ」

ペンが走る。

「次は巨大タコのタコ焼きに挑戦っと」

カルテが苦笑する。

「それ今書くんですね」

四人の足音が、夕暮れの石畳に響く。

その時。


カルテがふと、通りの向こうに目をとめた。

人混みの中に、一人の男が立っていた。

フードを深くかぶり、顔は見えない。

すれ違いざま、フードの隙間から胸元が見えた。

刺繍が入った外套。

見たことのない紋章。

2匹の蛇がお互いの尻尾を噛み、円を描いている。


ーーー共食いの紋章。


カルテの胸がヒヤリとする。

男の姿は、人混みの中へと消えるように消えていった。

まるで最初から、いなかったかのように。


カルテはその場に立ち尽くす。

「カルテちゃん、どうしたの」

カロの声に、カルテは我に返った。

「……いえ、なんでもないです」

それだけを言って歩き出す。

三人の背中を追うように。


夕暮れの通りに、四人の影が伸びていた。




夜中に食うラーメンは昼間の3倍美味い。

罪悪感という名の調味料。


ごはんをもっとおいしそうに描写したい(*'ω'*)


感想いただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ