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第13発明 故郷・爆食・ボンバー亭なのじゃ 

六つの争いを乗り越え、

たけきのこの国には久しぶりの平和が訪れていた。

いつもの騒がしい町はずれの研究所は、

今日はうってかわって静かな空気が満ちていた。


場所は変わり、ここは国の中心。


東西南北の食材が揃う、国一番の人気スポット。

「スーパーウルトラグレートデリシャスワンダフルボンバー亭」


通称、ボンバー亭。


活気に満ちた店内。

食欲をそそる匂いと、人々のざわめきが渦巻いている。

その中にある四人の姿――

博士、カルテ、アル、カロである。


アルが店内をぐるりと見渡す。

「おぉ......さすがボンバー亭。国一番の人気食堂なだけあって、すごい盛況だな」


カロがカルテへと視線を向けた。

「いいの?カルテちゃん。私たちまで一緒についてきちゃって」

カルテはにこりと笑う。

「親方から四人分のビュッフェ券をいただいたんで大丈夫ですよ」

「お二人にはいつもお世話になっていますし」

その言葉を聞くより早く、アルはすでに席を引いていた。

「なぁなぁ、早く注文しようぜ。カルテもこう言ってることだしさ」

カロは少し間を置いてフッと笑う。

「……じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかしら」

その時。


――フンッ!!


異様に気合の入った鼻息が、場の空気を揺らした。

三人が同時に振り向く。

そこには――


自宅から持参した箸を構える博士の姿があった。

それは――


「ピカソ」と名付けられた、マイ箸である。

構え。

視線。

気迫。

そのすべてが、

完全に戦闘態勢だった。博士の鼻息が荒かった。



美味い飯があれば、自然と話に花が咲く。

やがて四人の会話は、それぞれの故郷の話へと移っていった。

アルが角煮を一口で頬張りながら言う。

「最近さ、東の国で俺の呼び名が変わってきててな……」

わかめスープで流し込む。

「孤高の天才じゃなくて、不死身のアル・デンテだとよ……」

少し間が空く。

「......まえのほうが良かったのに」

カルテがくすっと笑う。

「まぁまぁ。でも不死身もかっこいいですよ。ね、カロさん」

カロは何種類もの果実とたっぷりのホイップクリームを挟んだフルーツサンドを一口かじりながら答えた。

「あんたにピッタリよ」

アルは何とも言えない顔をした。

カルテが興味深そうに身を乗り出す。

「アル君の故郷ってどんなところなんですか」

「東の国は川が多くてさ」

アルは少し考えながら答える。

「海も近いから海産物が豊富なんだ」

アルは続けた。

「へぇ......」

カルテの目が輝く。

「私、東の大海老が好きなんです」

「身が大きくて、ボンバー亭のメニューにもありましたよ」

アルは肩をすくめる。

「俺はどっちかっていうと肉派なんだけどな」

カロがフッと微笑む。

「西は寒くてね......」

カロは少し遠い目をした。

「でもね、精霊の力が満ちているから、果物がすごくよく育つのよ」

フルーツサンドを、もう一口頬張る。

「冬が長いから保存食なんかも発達していてね」

「私が好きなのはイチジクのはちみつ漬け。毎年欠かさず食べているわ」

カルテが嬉しそうにうなずく。

「イチジクのはちみつ漬けのタルト、私の大好物です」

「最高よね」

カロが微笑み返す。

そして、ふと尋ねた。

「そういえばカルテちゃんはどこ出身なの?」

「私はこの国の出身です」

カルテはお茶を一口飲んだ。

「たけきのこの国はいろんな食材が流通する場所ですからね、おいしいものがたくさんあります」

少し考えてから付け加えた。

「最近はタンパク質多めのものが増えてる気がしますけど……」

その時だった。

「おかわりっ」

博士の声が会話をぶった切る。

三人が一斉に振り返る。

皿。

皿。

皿。

積み上がっていた。

いつの間に食べたのか。


博士は、時折思い出したようにメモ帳を取り出し、

何かを必死に書き込んでいる。

カルテが小声でアルに言った。

「こんな時でも研究のことを考えてるんですね......」

アルも小声で返した。

「……すごいな。飯食いながらアイデア浮かぶのかよ」

カロが紅茶を一口飲みながら言った。

「さすがね。研究者の鑑だわ」


三人は、しばらく無言で

メモを書き続ける博士を見つめていた。

やがて―――

アルがそっとメモを覗き込む。

そして固まった。

メモにはこう書いてあった。


肉団子 丸。

魚のスープ 二重丸。

巨大イカのフライ 花丸。


―――料理の感想が書いてあっただけだった。


三人はそろって額に手を当てた。




挿絵(By みてみん)

グルメ回......また書きたい。

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