「イマジン」
最近中国と日本の関係が話題になる中、今回はジョン・レノンの「イマジン」です。
「イマジン」は世界平和を歌った曲ですが、日常の些細な言い争いの修復も世界平和の欠片の一つではないでしょうか。
大学一年の初日、クラスメイトの一人が「これから二年間、このクラスで続くんだし交流会しない?」と言った。
僕らの大学は必須科目だけ同じクラスメイトで授業を行う。
約二十人ぐらいが集まり、夕方から居酒屋に行った。
その後の二次会のカラオケで隣りに座ったのが彼女だった。
僕が「名前なんていうんだっけ?」と隣りに座った彼女に聞くと、「超有名な武将だよ」という答えが返ってきた。
「織田?」
「違う」
「徳川じゃないよね」
「違う」
その後も「上杉」「武田」「伊達」「まさか豊臣?」などと続けたが、正解に辿り着けない。
「もう、誰?」と聞くと、彼女は「劉」と答えた。
「三国志じゃん!ってことは中国の留学生?」
「そうだよ」
あまりに流暢な日本語で気付かなかった。
彼女はカラオケも日本のヒット曲を歌った。
「日本の曲は中国でも流行ってるよ」
そういう彼女は、「なのにすぐ日本のコンテンツを規制しやがるんだよ」と自国を嘆いていた。
僕も中国側は何に対する日本への抵抗なのだろうといつも不思議でいた。彼女は「日本に嫉妬してるのかな」と呟いた。
僕が「国の偉い人が勝手にやってることだよ」と言うと、彼女は「国境なんて関係ないのにね」とウーロン杯を一口飲んで、「薄い」と言った。
それから僕らは、都合が合えば学食でランチをする仲になった。
その頻度も上がり、二人で居酒屋で飲んだりするようにもなった。
そんなある夜の二人での居酒屋だった。
少し酔った彼女が「あのさ」と言う。
「私たちって何なの?」
僕は彼女のさわやかな裏表のない性格が好きだった。学内で一番話し易い女性だと思う。
「なんなのって…仲のいい友達?」
「その程度で毎日のように私と会ってたの?」
「いけないの?」
「あんたばか?私はあなたが誘ってきたら何より優先してたんだよ?もういいよ。何もわかってない」
彼女はお金を置いて出て行った。僕も急いで会計して出て行った時は、彼女は見当たらなかった。
それから彼女にLINE通話した。「ごめん」と謝る。何故謝るのか多少疑問だったが、僕も彼女が好きだ。ただ、恋愛対象として考えないようにしていたのかもしれない。
「謝るならその感情を私に見せなさい」
「なんで命令されるんだよ(笑) …でもわかった。これから劉のマンションに行く」
「三十分以内にね」
多少流されている感じもあったが、優柔不断な僕には劉みたいな子がいいのかもしれない。
僕は、住所を聞いて彼女のマンションに急いだ。
それから僕らは、カレシとカノジョになった。
僕が用事がある時だけにしかLINEしないと、「毎日LINEして!」と言う。
最初は可愛いなと思ったけど、そのうち「中国人はこれを使っているの。あなたも使って」と中国版のLINEのようなWeChatというアプリを勧めてきて、彼女だけのメッセージアプリとして利用することになった。
でも余計見ることを忘れてしまう。
二人で並木道を歩いている時だった。
彼女は突然「愛情表現が足りない」と伝えてきた。
「え?そうかなあ」と僕は疑問に思う。
「愛してるとか言わないじゃない」と彼女。
「日本人はあまり言わないよ」
「国の問題じゃないでしょ!?」
「そっちこそ国の問題じゃないよ。中国じゃ当たり前みたいに言わないでよ」
そして思わず口にしてしまった。
「劉といると文化の違いで疲れるよ」
「疲れる??」と彼女は怒り顔だ。
でもよく考えると、僕は交際相手ではなく友達のように接していたかも知れない。
僕は言った。
「理解し合えばもっといい二人になれると思う。僕も劉の気持ちに応えないとね」
「今さら?じゃあ『愛してる』って気持ち込めて言ってよ」
「…」
僕は無言で抱きしめた。
「本当だったら言葉が通じ合わない二人だよ。これだけでも伝わらない?」
もっと強く抱きしめる。
「きつい」と彼女。「仕方ない。許す」
「許すって、酷いこと何もしてないよ?」
「確かにそうだ。私もねだりすぎた」
「そういえば国境なんて関係ないって最初に話したね」
「そうだった。国が違うこと忘れてたよ(笑)」
「忘れよう。唯一無二の二人だよ」
僕らはまた並木道を歩き出した。
読んでいただきありがとうございました!
また引き続き、違う曲で書いていこうと思います。




