予測街の行動
俺が基地を後にしてバイクを走らせていると、この間ウィルスの暴走があった道路にきた。
『相変わらず―—何もなかったように元通りだ』
表面はもう完全に治っているように見える。だが、俺は知っている。
その下層のプログラムはまだ破損したままで、実際安全かどうかはわからないという事。
にもかかわらず、人々は普通にあるいて、その上を車で走っていた。
「……」
他人事だが、ゾットする。
気持ち悪さを感じて、俺は道を変えようとした時だった。
『ハヤブサ!』
通信機から司令の声がしたと同時に、周囲が激しい衝撃に包まれていた。
「な!」
俺の目の前には地面の中から、何かが飛び出してきたように見えた。
「せ、戦車!?」
そう―—戦車と呼ばれたかつて大戦で使われた、陸上兵器だ。
『ウイルスが発生してる、お前も現場に——』
「もういる!」
短くそう答えると、権堂は他の退院への指示に向かったようだ。
「まだ昼間だぜおいおい!」
幸いにもターミナルが混む時間帯ではない、それだけは幸いだったかもしれないが。
今まで夜しか発生しなかったウィルスが、昼間に出てきた。
俺にはそれの意味がよく分からないが、何やら恐ろしい事になっている事だけはわかった。
「くそ!」
バリアを展開して、戦車の周りをグルリと回る。
『形状は——前回と一緒か?』
戦車の形状は前回と一緒、ならば倒し方を気を付ければいけるはずだと俺は判断した。
「よし——!?」
敵に向き直ろうとしたとき、閃光が俺のほほをかすめた。
「は??」
バリアは機能しなかったのか?破られたのかわからない。ただ一つわかるのは、明確に敵の攻撃が俺に届いてる事だ。
「司令!聞こえるか、バリアがきかない!」
俺はすぐさま、権堂に報告をする。
『こっちも同様の報告を受けている!被害は甚大だ!』
『だろうな』と俺は口を開きそうになるがその言葉を飲み込んだ。
「くそ」
『最悪、撤退を許可する!』
そういうと、権堂は通信を切った。
「増援無しか―—」
そう呟いて、俺は退路を探す。
敵の戦車は数体、10体はいないだろう。うまく隙をつけば逃げれそうだった。
「やれやれ、命は大事に——」
そう言いかけて、俺はバイクの進路を変えるのを辞めた。
『成美!?』
とっさに目に入った彼女の姿、見間違えるはずもないポニーテール。
こんな時に、こんな場所でと言いたい気持ちを俺は堪える。
「てめえら!こっちむけ!」
俺はエアダッシュをつかい、敵戦車にバリアを展開した体当たりを慣行する。
そして、支給品の銃を構えた。
「敵はこっちにいるぞ!俺をみろ!」
成美の逃げる時間を稼ぐため、少しでもいいから騒いで目だとうと俺はする。
敵の戦車からの光線が何度もバリアを貫通して、俺に向かうが、間一髪。
かすり傷で俺はすんでいる。
「!!」
戦車の一体が成美に砲塔を向けるのが見えた。
「やめろ……」
狙いを定める。
「やめてくれ……」
祈るような声が俺から出る。
「やらせねえええええ!!」
感情が爆発したように俺はバリアを全展開して、彼女との間に入る。
「うおおおおおおお!」
そしてバリアを展開したまま、戦車の下に入り、フルスロットルでエアダッシュをした。
ムーンサルトと名付けたモーションだ。
「は、隼人!?」
「成美早く!!」
戦車が一体ひっくり返ったのを確認すると。俺はすぐに成美にヘルメットを渡した。
「絶対に離すなよ!!」
「う、うん!」
成美が後ろに乗ったのを確認すると、俺はすぐさま退路に定めたルートを走りその場から撤退をした。
「隼人――っ!?」
「話してる余裕がない、舌をかまないよう捕まってろ!」
何かを言いたそうな成美に、俺はかまってる余裕が無かった。
戦車の光線から逃れながら、安全圏へ行くことで手一杯だったのだ。
『こちらプロトアウト、プロトアウト——』
「援軍か?」
俺の通信機から司令部の声がする。
『プロトアウトは壊滅した、これよりこのサーバーは……』
「――は??」
プロトアウトから告げられたのは、衝撃的な言葉であった。
周りではパニックになり、敵のひしめくターミナルへ向かうもの。
避難場所を探す人々であふれかえっていた。
「隼人――」
「こんな……バカな話」
俺は無力感を痛感しながら、退路を必死に走っていた。




