0011 Blacksmith(鍛冶師)
おいらは鍛冶師。
名前はペペッドリ=ドリアンサッティ。ドリアン族のサッティ家のペペッドリ。
魔法は使えないが、炎の妖精を従えてる、テイマー。
テイマーは魔術師と呼ばれるより精霊師と呼ばれる。でも根底は精霊が好む魔力を放出し、それによって精霊を従えている。魔力をつかうことから、根底は魔法使い、魔術師と同じである。
精霊は気まぐれだが、気に入るととことんついてきてくれる。おいらが使役する精霊は炎の精霊だから、鍛冶に非常に相性がいい。
鍛冶は金属を熱で熱し、金属結合を解きほぐし、柔らかくなったところで、曲げ、ひねり、たたき、形を作り出す技術。金属の細かな粒が、手を取り足を取り、スクラムを組みように結合していると考えられており、そのスクラムの状態によって、金属の固さが、硬くもなるし柔らかくもなる。用途に応じた金属を作り出すことができる。様々な金属でそのようなことができると、ようやく一人前で独り立ちができる。
鍛冶のイメージは、青い炎、赤い炎、黄色い炎で金属を赤くなるまで熱し、鉄床の上でハンマーを振り下ろし、金属の花火を散らし、キンキン、コンコンと音をたてる。そんなイメージだと思う。ここで一番難しいのは温度コントロールと温度の見極めだ。どちらも経験とその経験をいつも行えるように、年紀というものがいる。修業が必要なのだ。
私がテイマーとして鍛冶に有利なのは、火おこしと、温度管理なんだ。炉の温度というのは実際は一定でない。ふいごを動かす手を休める間に温度は50度ぐらい下がったり、うごかす感覚が忙しくなると50度ぐらい上がったりする。そうなると金属組織が変化し固くも柔らかくにもなってしまう。炎精霊を従えてるので、炎の温度管理が非常に安定して行える。またもう一つうまいのが炉の火おこしだ。石炭や木炭に火をつけるというのは、バーベキューを行ったりする人においては、わかると思うが、安定した火力にするには非常に手間がかかる。その辺の火付けと火の管理を火精霊に丸投げできる。そのため修業期間は短縮されて、この都市最年少の鍛冶職人の誕生とか言われた。
炉をバックに後ろを向き、3人を前に、
では質問?キンキン、コンコンこの違いは何から来るとおもうか?
「加工中の金属厚みが異なる。」
「正解。」たたく金属厚みが異なれば音は違うものだ。
「金属の質が違う。」
「それも正解。」金属結合の話をさらりとしたが、良く気づいたね。
「加工中の金属と金床の隙間が違う。」
「それも正解。」もろい金属もあるから、ハンマーの衝撃時の勢いを削ぐというテクニック。
「温度?」
「それも正解。」柔らかな金属と、熱が足らず固い金属。元が同じ金属でも音が変わる。
「たたくハンマーの振り下ろし速度」
「正解。」
はかには?弟弟子たちがうつむく。
「・・・・・もうありません。」
「ありがとう。音だけで金属の状態はある程度推測できる。そして弟弟子たちが今まで知りえた経験が今の答えとなっている。5つも答えが出てきた。それはあなたたちがまじめに経験を積んでるという事だ。そこが素晴らしい。
そして答えは一つだけではない。それらの回答が紡ぎ合って、鍛冶という作業ができる。だからまずは経験をためて、今何が足りていないかという、現状をもとに答えが導き出されたら、そこで一人前。だからがんばれ。」
「兄弟子ありがとうございます。」
「にいさん、わかりやすく教えていただき、ありがとうございます。」
「また機会を設けてください。」
弟弟子たちが本来の作業に戻ると、親方が寄ってきた。
「ありがとよ。俺は教えるのが下手なんだ。」
「わかってますよ。親方。」
「お前が、きっちり面倒見てくれるから、うちの工房は離職率が低く、生産性が高い。お前がいて本当に助かる。」
「親方、私も一人前にはなりましたが、まだあなたの弟子でもあるんですよ。弟弟子の中の親方の息子さんが一人前になるまで給金をためて自分の工房を作る資金のためにここにいます。息子さんが一人前になったら、この工房から離れ、故郷の街で鍛冶工房作るつもりなんですから、それまでには親方レベルにまで仕込んでくださいね。」
「それが契約だからな。わかってるさ。」
手を振りながら、親方が仕事に戻る。
俺には鍛冶師としての目標がある。鍛冶錬金術師になりたいんだ。錬金師は鉛から金を作り出すものと思われてるが、そうでもあるが、それだけでは終わらない。万物の事象を知るもの、また確変できるものをいう。知識が基本となり、魔術師である必要はない。錬金学と冶金学をまぜて、ミスリル、アダマンタイト、金剛石、黒鉄を上回る新しい金属をいつか自分の手で作り出してみたい。そんな夢がある。




