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部長の失敗
「しまった――!!」
部長の声がフロアに響いた。
珍しいことでもないので、私達は、黙々と仕事を続ける。
でも、次に聞こえてきた言葉は、聞き捨てならないことだった。
「永瀬くんに、資料を渡すのを忘れた――!!」
え――っ!?
永瀬さんに資料を渡すのを忘れた!?
たしか、永瀬さんは今日は出張だったはず。
部長、なんてことをしてくれたんだ!
「永瀬くん、明日会議で前日移動してるんだよなあ。」
「私は動けないし、困ったなあ。」
「――そうだ!」
部長が、私の方を見て言った。
「相沢くん、たしか、京都好きだったよな?」
「君の相棒のピンチだ!助けに行ってこい!!」
な――に――!!
そう、永瀬さんは京都に出張中だった。
確かに、京都は好きだけど――、
今、永瀬さんと微妙な感じなのに……。
もっと違うタイミングにしてほしかった。
「任せたぞ、相沢くん!」
有無を言わさず、決定してしまう。
早速、永瀬さんに電話をする部長。
――もう、行くしかない。




