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振り回される
え、何――?
永瀬さんの手が伸びてきて、私の動きが止まる。
――そして、
「こんなところに、生クリームがついていますよ」
笑いながら、指で拭っていった。
今、顔を永瀬さんに触られた――?
信じられない事実に、一気に顔に熱が集まってくる。
「相沢さん、大丈夫ですか?体調、悪くないですか??」
追い討ちをかけるように、そっと私の手を握った。
「あれっ、冷たいですね……。」
「この冷たさはいけません。温めないと。」
あ、温める!!
そ、それって、このまま握っていてくれるの!?
自分の妄想が、本当になるなんて、なんて幸せなんだろう。
……このまま、離さないでほしい。
嬉しいような、恥ずかしいような気持ちで固まっていると、永瀬さんが店員さんを呼んだ。
「ホットコーヒーをお願いします。」
「相沢さん、ホットコーヒーのカップを握ったら、暖かくなりますよ!」
キラキラスマイルで、永瀬さんが言った。
ん――、そうじゃない。
ちょっと残念に思いながら、
心臓が壊れなかったことに、安心もした。
やっぱり、永瀬さんは無自覚に罪な人だ。
永瀬さんに振り回される幸せに浸っていた私だったけど、
浸っている場合ではなくなるなんて、この時は知らなかったんだ――。




