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私は湯たんぽ
「どれにしよう……」
メニュー表を、真剣に見る永瀬さん。
同じく、真剣に見る私。
「あ、メニュー、見にくくないですか?」
そう言いながら、永瀬さんが私の隣に移動してきた。
――え。
確かに、メニュー表は見やすくなった。
でも、あまりに近い距離に、頭が真っ白になる。
「永瀬さん、選んでください……」
なにも考えられなくなった私は、
永瀬さんに、全て委ねることにした。
「相沢さん、遠慮しなくていいのに。」
また勘違いしている永瀬さん。
「じゃあ、美味しそうなの、セレクトしますね。」
店員さんを呼ぶと、スマートに注文をしてくれた。
もう、メニューを見なくてもいいんだけど、永瀬さんは動こうとしない。
「あ、あの……」
どうしたものかと声をかけようとした、
その時――、
「相沢さんの隣、温かいですね。
もうしばらく、ここにいてもいいですか??」
と聞いてきた。
――私は、湯たんぽですか?
いえ、好きなだけ暖まってもらっていいですが!?
混乱を極める頭で、
「どうぞ……」
と、なんとか声を絞りだした。




