第6章:悲しみ
超音波を放つ能力を持つ手下が前に進み出て、アラキに向かって咆哮を轟かせた。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
しかし、アラキは微塵も吹き飛ばされる様子も、傷つく気配もなく、平然とそこに立ち尽くしていた。
「まったく……」アラキはその手下を近くの花棚へと平手打ちで吹き飛ばした。「同じ技が二度も通用すると思うな」
彼は首領の方を向き、近づこうとした。すると、今度は火炎放射の能力を持つ者が彼の前に立ちはだかり、アラキに向けて猛烈な炎を吹き付けた。だが刹那、アラキの身体はあらゆる熱を遮断する耐熱物質へと変貌した。火炎使いの男は恐怖に目を見張り、迫り来るアラキを怯えた表情で見つめることしかできなかった。直後、アラキの超音速の拳から放たれた【ドゴォォォン!!!】という衝撃音とともに、男は吹き飛ばされ、全身の関節が完全に破壊された。
「実に見事だ」
いつの間にか、ボスは左側に立ち、アラキの動きを綿密に観察していた。
「お前の能力が何なのか気になっていたが、どうやら並大抵の超能力ではないな」
「何らかの変質能力か?」
アラキは即座に彼の顎を狙ってジャブを放ったが、ボスはそれを容易くかわし、自らの手でアラキの顔面を殴りつけた。その一撃にアラキはわずかに脳を揺らされる。
「お前の能力は、超速度(神速)か?」
「おっと、気づくのが早いな。だが、おしい、そんなところだ」
【ヴンッ!!!】と、彼は再び姿を消し、今度はアラキの背後に現れた。
「ちょっと遅いな」
【バキッ!】と、彼はアラキの背中を殴りつけ、近くの花棚へと激しく吹き飛ばした。
自分が、母親の最も愛していた花が置かれている花棚に向かって飛んでいることに気づき、アラキは即座に両手を使って強引にブレーキをかけた。
「さあさあ、もしその石を渡さないのなら……」
ボスはアラキに立て直す隙を与えなかった。凄まじい速度で突進すると、さらにアラキを蹴り飛ばし、いくつかの植木鉢に叩きつけた。
「……かなり苦しんで死ぬことになるぞ」
花棚はへし折れた。土の入った鉢はタイルの床の上で粉々に砕け散り、黒い土が飛び散って、すでに倒れた手下たちの赤黒い血溜まりと混ざり合った。しかし、アラキはそんなことには目もくれなかった。彼の紫色の瞳は見開かれ、地面に散らばるひまわりの花を目にした瞬間、瞳孔が収縮した。鮮やかな黄色の花びらは、今や泥と血に塗れていた。
「嘘だ……嘘だ……」
アラキは這い上がり、震える両手で残された花を一つ一つ拾い集めようとした。かつて花崗岩をも粉砕したその無骨な指先が、今はまるで自分の涙を受け止めようとする子供のように震えていた。彼はそれらを集め、潰れた花びらを愛おしそうに抱きかかえた。自分が十分に注意深く扱いさえすれば、元通りになるかのように。
「頼む……頼むから、やめてくれ……」
「見てみろ」背後からボスの声が響いた。その低く温かみのある声には、どこか愉悦が混じっていた。彼は両手をポケットに突っ込んだままそこに立ち、もがく手負いの獣を見るかのようにアラキを観察していた。「強者であっても、時に精神的な弱点を持つということか」
最後の手下――虎の力を持つ男が左側から歩み寄ってきた。彼の身体は部分的に変貌していた。肌には黒い縞模様が現れ、爪は鋭い鉤爪へと伸び、黄金色の瞳は凶暴に細められていた。彼は喉を鳴らして笑い、獣の牙のように伸びた歯を剥き出しにした。
「全くだ、笑わせる。俺の兄弟たちをあれほど残虐に殺しておきながら、こんな雑草ごときのために跪くとはな?」彼は近くにあった紫のチューリップの鉢を蹴り飛ばした。繊細な花びらが空中へと四散する。「おい、てめえ、ただの狂人か?」
ボスはそれを止めなかった。ただそこに立ち、他者が苦しむ姿を見慣れた者の冷酷な微笑みを浮かべるだけだった。
アラキは答えなかった。彼はなおも花を拾い集めようとしていた。赤い薔薇――かつて母が「永遠の愛」の象徴だと教えてくれた花。黄色い菊――毎朝、畑へ行く前に母が好んで髪に挿していた花。そしてひまわりの花――どんな嵐が来ようとも、常に太陽の方を向いて咲く花。
「当ててみよう」ボスはゆっくりと歩み寄った。その一歩一歩が、まるでカウントダウンを刻む時計の音のように響く。「誰かと花屋を開く約束でもしたのか? 亡き人との約束か? ロマンチックだな。だが……実につまらん(無駄だ)」
彼はアラキの真ん前で足を止めた。ピカピカに磨かれた革靴が、アラキの手からこぼれ落ちたばかりの一輪のひまわりの上にピタリと止まる。
「いいか、この700年の間、俺は多くの『器』に出会ってきた。名誉のために戦う者、使命のために戦う者、この世界のために戦う者……」彼は身をかがめ、底知れぬ悪意を込めた囁き声で言った。「だがお前は……お前はこんな花切れのために戦うのか。実に見窄らしい(哀れだ)」
そして、彼はそれを踏みつぶした。
ぐしゃり、と小さな音が響いた。鮮やかな黄色の花びらは革靴の底で容赦なく踏みにじられ、透明な植物の汁が溢れ出してタイルの床の汚れと混ざり合う。ボスは、まるで価値のない煙草の吸殻を揉み消すかのように、踵を軽くひねった。
「おっと、すまない」彼は肩をすくめ、皮肉に満ちた声で言った。「わざとじゃないんだ……いや、やっぱりわざとだな」
虎の手下が野蛮な笑い声を上げた。「頭! あいつの顔を見てくださいよ! 今にも泣き出しそうだ! 40歳にもなる大男が、たかが踏みつぶされた花一輪のために泣きそうになってる! 本当に滑稽な見世物だ、ハバハバハバ!」
しかし、アラキにはもう彼らの笑い声すら聞こえていなかった。
その瞬間、彼の周囲のあらゆる音が途絶えた。手下の笑い声も、裏庭から吹き込む風の音も、入り口の風鈴の音も――すべてが消え去り、絶対的な静寂へと取って代わられた。
視界にあるのは、革靴の底で無残に潰されたひまわりの姿だけ。
脳裏にあるのは、優しい微笑みを浮かべた痩せ細った母親の記憶だけ――彼女は縁側に座り、星空を夢見心地で見上げていた。
『お母さんね、花屋を開きたいの。小さなお店でいいのよ、色とりどりの花がたくさん並んでいるような。薔薇、菊、チューリップ……それから、ひまわりも。ひまわりはね、どんな嵐が来ても、いつも太陽の方を向いて咲くのよ』
『お母さんなら絶対にそんな花屋を開けるよ』記憶の中の10歳の少年の声が、確固たる決意と希望に満ちて響く。『約束する。いつか僕が、お母さんのために花屋を開いてあげる』
『じゃあ、お母さんその日を楽しみに待ってるね』
母は、その日を待つことはできなかった。
彼女は死んだ。あの運命の夜、化け物によって無残に引き裂かれたのだ。当時10歳だった少年は逃げ出し、母親を見捨て、卑怯にも生き延びた。[そしてそれからの23年間、彼はたった一つの約束――母のために花屋を開くという約束だけを胸に生きてきた。]
この花屋が彼のすべてだった。これらの花々が、かつての約束のすべてだった。
それが今、人間の皮を被った化け物どもの足元で、無残に踏みにじられている。
最初の涙がこぼれ落ちた。
そして二滴目。
三滴目。
アラキ・シドリは23年もの間、一度も泣いたことがなかった。肉体的、精神的なあらゆる苦痛に歯を食いしばって耐え抜き、10歳の頃から「涙は過去を思い出させるだけで、自分を成長させない」と学んできた男が――今、泣いていた。
涙が彼の鋭い輪郭の頬を伝い、手のひらの中の潰れた花びらの上へと落ちていく。
「おいおい、本当に泣いてんのかよ?」虎の手下は首を傾げ、驚きと面白さが入り混じった表情を浮かべた。「頭! 見てください! 本当に泣いてますよ! 弱虫め!」
「弱者ほどよく泣くものだ」ボスは退屈そうに答えた。彼は胸ポケットから煙草を取り出して火をつけ、深く煙を吸い込んだ。白い煙が立ち上り、血と土の臭いが立ち込める空気へと混ざり合う。「だが、もう十分だ。どんな余興にも終わりはある」
彼は身をかがめ、涙に濡れたアラキの紫の瞳をまっすぐに見つめた。その唇に浮かぶ微笑みは、微塵も崩れなかった。
「選べ。石を差し出すか、死ぬかだ」
沈黙。
1秒。
2秒。
3秒。
アラキはうつむき、紫色の髪がその顔を覆い隠した。両手はまだ、粉々に潰れた花々を抱え込んだままだ。彼の肩が激しく震えていたが、それが涙のせいなのか、あるいは別の何かのせいなのかは誰にも分からなかった。
そして……
「俺は死を選ぶ!!」
虎の手下には、ただ一本の黒い影が自分に向かって突進してくるのしか見えなかった。虎としての戦闘本能が彼に爪を立てて防御させたが、それは全くの無意味だった。
なぜなら、彼に向かって突っ込んできたのは人間ではなかったからだ。
それは、ある天使のような存在によって抑え込まれていなければ、自分をゴミ屑のように扱ってきた者たちに牙を剥いていたはずの、化け物の怒りそのものだった。
アラキは男の両腕を掴み、まるで濡れた紙を破るかのように、その身体から力任せに引きちぎった。血が滝のように噴き出し、壁の一面を真っ赤に染め上げた。手下は叫ぼうと口を開けたが、声が出るよりも早く、アラキの拳がその顔面の中心を打ち抜いた。鼻梁は砕け散り、頬骨は粉砕され、眼球が眼窩から飛び出す。そして、店内に響き渡る野蛮な咆哮とともに、アラキは男の肋骨の両側を掴み、その身体を真っ二つに引き裂いた。
内臓、血、骨がタイルの床一面に飛び散った。手下の真っ二つになった身体が、じっとりとした鈍い音を立てて地面に落ち、誰も見たくないような内部を晒し出した。男の血がアラキの顔に、彼の紫色の髪に、そして手のひらの中で潰れた花々の上に激しく飛び散った。
しかし、アラキは止まらなかった。
彼は血の海と死体の真ん中に立ち、引き裂いたばかりの死体の両半身を未だに両手で固く握りしめていた。胸が激しく上下する。その息遣いは野獣のように荒い。[そして、かつて母親に「世界で一番美しい」と言われたその紫色の瞳は、今はただ二つの紫色の炭火のように燃え上がり、人間らしさは微塵も残されていなかった。]
ボスは、この対峙が始まって以来初めて、その眉をひそめた。
「ずいぶんと残酷だな。お前には……人の心がないのか?」
第6章 完




