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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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7 ユキライアナ侯爵家 魔導初期本

ヴァリアード様は魔空間から、一冊の本を取り出した。


「これは、もう爵位を返上してしまったユキライアナ侯爵家に伝わる、魔導初期の本だ。

本への書き込みは禁止されているのに、エミリアはよく書き足していたんだ。

『わざわざ難しく書かなくてもいいのに』って、よく文句を言っていたよ。

次に会うまでに読んで、分からないところがあったら質問してくれるかい?」


そう言って、ヴァリアード様は本をルノアに手渡した。


――あぁ……これもレアアイテムだ。


言葉が出なかった。


この本があれば、すべての魔法の初期課程を、課金なしでスキップできた。


そう……私は本当に苦労しながら、一つ一つ魔法を習得していった。


今となっては、それもいい思い出だ。


けれど、目の前にある本は違う。


ずっしりとした重さ。


長い年月を経た紙の匂い。


そこに刻まれた歴史の重み。


一体、どんなことが書かれているのだろう。


そう思うと、手が震えた。


ヴァリアード様は、そんなルノアを見ながら続けた。


「ただ、魔法は想像力と工夫次第で、自分が使いやすいやり方を身につけることも大切なんだ。

ルノアが私に指輪を付けてくれたときも、無意識に『私を解放したい』と願ってくれたんだと思う。

だからこそ、その思いの強さが、そのまま重い魔力として伝わってきた。

私は、本当に嬉しかったよ。

ただし、誰かに対して強い悪感情を抱けば、その感情も魔力として相手に伝わってしまう。

ルノアの魔力量なら、それが危険につながる可能性がある。

だからこそ、誠実に、真面目に学ばなければならないよ。

……試しに、一つだけやってみようか。

ルノア、自分の右手の掌で、左胸に優しく触れてみて。

そこに、温かいものを感じるかい?」


ルノアは言われた通り、左胸に右手を当てた。


――熱い。


掌からはみ出してしまうほどの熱を感じる。


両手を使っても、とても支えきれない。


大きくて、重い。


まるで赤い岩の塊のようなものが、胸の奥にある。


ルノアが感じたものをそのまま伝えると、父とヴァリアード様は顔を見合わせた。


二人とも、驚愕の表情を浮かべている。


その表情を見て、ルノアは不安そうな顔になった。


「あぁ……すまない。簡単に説明するよ。

魔力を持つ者は、王立魔術学園に通うことになるのは知っているね?

最終学年になると、魔力量の多い者だけが受ける秘匿授業がある。

教師についてもらい、自分の魔力を枯渇させないぎりぎりのところまで、魔力を引き出す訓練をするんだ。

魔力枯渇は、死に直結するからね。

その訓練を重ねて、初めて自分の本当の魔力量の大きさを知ることができる。

そして、その部分を鍛えていくことで、魔力量はさらに増えていく。

ただし、かなり厳しい訓練だ。

誰もが、そのときに必ず自分の限界を感じる。

ちなみに、私の場合は――」


ヴァリアード様は自分の掌を見せた。


「このくらいだよ。掌からはみ出しているくらいの塊だ」


父も、困ったように眉を下げた。


「ルノアを不安な顔にさせてしまって、すまない。

私も、エミリアと同じくらいまで、と頑張ったんだ。

自分の掌に収まるくらいの魔力を感じられるところまで、訓練した。

それでも、ヴァリアード様の次に魔力量が多いと、学園では言われていたんだ。

友人たちは、親指ほどの大きさや、指輪の宝石くらいの大きさだったり、赤い光を感じるだけの人が多かった。

だからこそ、他の人がどのくらいの魔力を持っているのかを知っておくことも大切なんだと、今、強く思ったよ」


ヴァリアード様はルノアを見つめた。


「ラルフ殿。

今のルノアに、魔力を閉じる方法を教えても大丈夫だろうか?

今、自分の魔力を意識できてしまったからね。

このまま魔力が活性化してしまう可能性もある。そうなると危険だ」


「分かりました。ルノア、大丈夫かい?」


心配そうに尋ねる父に、ルノアは大きく頷いた。


「大丈夫です。教えてください。

この塊を小さくすればいいんですか?

薄い膜で閉じ込めてしまうような感じですか?

それとも、先ほどのヴァリアード様の魔空間のような場所に隠す感じですか?」


ヴァリアード様は、驚いたように目を見開いた。


「……エミリアと同じことを言うんだな」


そして、少し懐かしそうに笑った。


「実は、エミリアにも私が教えていたんだ。

よく体調を崩して、学園を休んでいたからね。

そのときも、学園の本は『難しく書きすぎだ』って怒っていたよ。

それで、自分が分かりやすいように、自分の言葉で書き足していたんだ」


ヴァリアード様は、懐かしそうな、優しい笑顔をルノアへ向けた。


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